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29【恋愛小説もどき×親友との思い出】

今日は体育祭当日
うちの高校の体育祭は例年6月に行われる
応援合戦は連日準備を重ねてきたおかげで
想像以上のクオリティに仕上がり、盛大に盛り上がっていた
そして、台風の目、綱引き、リレー、、、
どの種目でも歓声が沸き、白熱していた

意外だったのは、めがねくんが走るのがめっちゃ速かったこと!
走っている姿がもう、馬!(最高の褒め言葉)
インドアのイメージが強かったから、
てっきり運動は苦手なのかと思っていた笑
このギャップは、かっこよ過ぎる!!

ちなみに私は50m走は8秒5でちょうど平均の
良くも悪くもない普通の運動神経の持ち主である
高校ではわずか半年でテニス部を退部し、
完全に運動不足だった
だから、急に運動するのは、けっこうキツい
しかも、最近は睡眠不足が続いているせいで
身体がだるい、、、

前でマイクを持って話しているめがねくんが見えた
こんな大勢の人間を前にして、堂々と挨拶できるなんて
めがねくん度胸あるなあ、、、
しかも、笑いをとってる!すごっ

あれ、なんかやっぱり調子わるいかも、、、
頭がぼーっとする
目の前がかすんでいく、、、
倒れそうになっている身体の感覚を自覚しながらも、
自制がきかず立っていられなくなってきた、、、

「あ、向こうに倒れかけている人!救助をお願いします」

マイクでめがねくんがそう言うのが聞こえた
素早く何人かが駆け寄ってくれて、私の身体を支えてくれた

その間にめがねくんは車椅子を持ってきてくれた
私は身体を支えられながら車椅子に乗った
そして、めがねくんに車椅子を押してもらいながら
保健室まで移動することになった、、、

朦朧とする意識の中で思った

いやや、、めっちゃダサいよおぉぉぉぉ!!!!!

こんな時って少女漫画ではお姫様抱っこじゃなかったっけ?
車椅子かあ、、、抱っこは恥ずかしいけども、
おんぶとかが良かったなあ、、、
いや、こんな時に何を考えてるんや
迷惑かけまくっているのに

それにしても、、、めがねくんが体調不良に真っ先に気付いて
飛んできてくれたのが嬉しい!そして、さすが!
めがねくんは視野が広いし機転が利くんやな、、、

車いすの背中ごしにめがねくんの気配と体温を感じた
なんとなく、めがねくんの匂いがするような気もする
それだけで、顔が紅潮してしまう
今日は耳までしっかり赤くなっている気がする

めがねくんが車いすのレバーを操作する時、
一瞬だけめがねくんの息が耳にかかった気がした
その時、頭の先まで電流が流れて痺れるような感覚がした
後にも先にも、そんな経験は1回きり
不思議な体験だった、、、

特別な人には触れられなくても、気配だけで体が反応して
電流が流れるような感覚になる!!

私はいま、背中に好きな人の体温を感じられて幸せだ
頭の中では、
天才バンドの『ビューティフルグッバイ』
の曲が流れていた

なぜ幸せの瞬間に少し切ないメロディが浮かぶのか
分からないけど、私は本能的に感じているのかも知れない
この幸せは長くは続かない
だとしても、いまこの瞬間の幸せを大切にしよう







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