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32【恋愛小説もどき×親友との思い出】

一枚の写真の中に気になる女性がいた
めがねくんが大きくプリントしているものだから
はっきりと表情が読み取れる
かわいらしさと強さが共存したような、、
要するに、私から見て、とても魅力的な女性だった

「この人は、幼馴染やねん、、
 白黒はっきりしてそうに見えるし、実際そうやけど
 結構ぬけてるところもあって、優しいやつやねん
 お前が思ってるみたいな甘い関係じゃないよ、
 東京におるから、遠距離でほとんど会ってへんし」
聞いてないけど、聞かされてしまった、、、
めっちゃ饒舌になってるやん、めがねくん

重たいパンチをくらってしまったような気持ち
すぐには受け止めきれないかも知れない
でも、薄々は感じていた
そうか、と合点がいった

だってめがねくんは、学校の女子に興味なさそう
高校生男子ってモテたいから、もの凄く女子に媚びる
めがねくんはどちらかというと距離を保っている感じ
試合前になるとスコートを着ている女子の足見たさに
テニスコートに通ってくる男子達とは違う
めがねくんはエロ男子達と一緒にいるけど、
下ネタもがんがん言うけど、
いやらしい視線を送ってくることはない

「はあ(ため息)、、、しばらく立ち直れそうにない」

「なに言うてんの?大丈夫?」
やば、母に聞かれた!
ショック過ぎて、声を出してしまった
あー、帰り道の記憶がない、、、家に帰って来てたんや

「あっちゃんに、悲しい思いさせたね
 おばあちゃんのところ行こうか?」
おばあちゃんは、他界している
母の言う「おばあちゃんのところ」とはお墓参りのことだ
母は辛い時、決まって私をお墓参りに誘う

うちのお墓は京都の大谷祖廟にある
元おばあちゃんの家は京都の烏丸というところにあった
我が家では「ついで参り」は禁止されている
だから家族で京都の河原町に行くと
錦市場も清水寺も行かない
まっすぐ大谷祖廟に行き、まっすぐに帰る
まあ、京都でライブに行く時には
たまに八坂神社を通っておばあちゃんのお墓に
寄ったりしているんやけどね笑

「帰りに、錦市場でも行く?」
「えっ、いいの??」
「いいよ」

ロングコートダディ堂前さんが
錦市場のエビが美味しいと言っていた
次京都にライブに行った時には
錦市場には絶対行ってみたい!!

八坂神社から円山公園を通って大谷祖廟に行く時に、
本当に小さな川がある
私はそこでしばし川の流れを眺める

「ゆく河の流れは絶えずして しかも元の水にあらず
 よどみに浮かぶうたかたは かつ消えかつ結びて
 久しくとどまりたるためしなし」
鴨長明『方丈記』より

母はいつもにこにこしていて弱音を吐かない
最近は自分の時間もなさそうやし、、

「お母さんって、ストレスたまらへんの?」
「たまらんよ、あっちゃんと話したら嫌なこともすぐ忘れるから」

母はどこまでも母だった
母には一生かなわないだろうな、と思った











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