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30【恋愛小説もどき×親友との思い出】

「ちょっと赤いけど、顔色だいぶよくなってきたな
 、、、最近なんかあった?」
車いすを押しているめがねくんが、
私の顔を覗きながら言う
めがねくんは、基本的に優しい
そして、よく気がつく

めがねくん、私は今とても寂しい
映画を観ても音楽を聴いても絵本を読んでも
涙が出そうになる
今まで当たり前だと思っていた大切な日常が
大きく変わろうとしている
もっと時間が欲しい、、
いや、もし叶うならずっとこのままでもいい、、

めがねくんは、私の気持ち聞いてくれるの?

「去年まで弟を膝の上に抱っこして可愛がっててんけど、
 最近は、甘やかさんとこうって思って、止めてん、、
 、、、でも急に弟が私よりおっきくなって、、ううっ
 もっと抱っこしたら良かった、、うえーん」

私は我慢できずに大きな声で、
しっかりと泣いてしまった
めがねくんはいつもみたいに
「何の話やねん」とか言わなかった

「ふむ」とおじいさんみたいな相槌をしたあと、
そっとタオルを差し出してくれた
めがねくんのタオルで涙を拭くと、
めがねくんの家の匂いがした
何でかな、、、めがねくんには多くを語らなくても
理解してもらえているんじゃないか、
そういう気持ちになる

しんどい時に、話を聞いてもらいたいという人もいる
私は、しんどい時ほど話すのがしんどい
しんどい時は、映画を観て音楽聴いて好きな絵本を読む
夢の世界で笑って泣いて、しんどいことを忘れたい
そして、話して安心な人にだけ、
本音をちょっとだけ、聞いて欲しいと思う

だから、安心なめがねくんに気持ちを吐露して
楽になった、、、
私もめがねくんにとって、安心な存在になりたいな

私はめがねくんと
『星の王子さま』のキツネと王子さまみたいに、
ゆっくりと仲良くなりたい
卒業したらばいばい、は寂しいな
また会いたいねって言えるような関係になりたい

王子さまはキツネと友達になって
会えなくなっても、
金の麦を見てキツネを思い出す
私は、アンジェラアキの『手紙』を聴いた時に
めがねくんのことを思い出すようになるのかな、、、笑

「拝啓~この手紙~読んでいるあなたは~どこで何をしているのだろう♪」

アンジェラアキの『手紙』だった!
すごいタイミングでこの曲が聴こえてきた!!

視界の隅の方で、クラスのみんなが何やら沸いている様子
中央に担任の先生が立って、その周囲を
みんなが囲うようにゆっくりと回っているのが見えた

みんなで『手紙』の合唱をしながら、先生の周りをぐるぐる、、、
歌いながら目元を拭って泣いている子もいた、、、

「青春やなあ」

めがねくんの言葉をきっかけに、
もう我慢できないと思ってしまった

はっはははははっははっははっは!!!!!!!
はっははっはっはっははっははっははっははは

「お前やばいって、声でか過ぎ!」
分かっているよ、絶対ここで笑ったらあかん!
でも、そう思えば思うほど、笑いが止まらなくなってしまう

はっはははははっははっははっは!!!!!!!
はっははっはっはっははっははっははっははは

今度はめがねくんも笑い出してしまった

「ええーめがねくん、やばいって!
みんな青春してる時に、笑ったらあかんって笑」
「お前もな笑」












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