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40【恋愛小説もどき×親友との思い出】

「うちの観葉植物お前にあげるわ」

父が枯れかけた観葉植物を指して言った
実家は観葉植物だらけになっている
特別なことはしていないけど、
私がお世話した植物は、ぐんぐん成長する
気付けば初めの何倍も大きくなっていることもある
だから、元気がなくなった植物を
みんな私のところに持ってくるのだ

いつものことなので、深くは考えなかった

父は家に残り、私たちは弟のライブに行った
ライブ前はちょっとはらはらしたけど、
実際に思っていたより、ずっと弟のベースは良かった
隣にいる母も目を輝かせて、弟を見つめている
驚いたのは、全部オリジナル曲だった
友達が作ったそうだけど、すごいなと思った

弟は女子に人気がありそうだった
たくさんの女子が弟を見てきゃーきゃー言っていた
その中でも一番気の強そうな女の子が、
ライブの後、弟の隣をキープしていた
弟はちょっと苦労するかもね、と思った

帰り際、弟の友達がこっそり教えてくれた

「あっちゃんの話、よく聞いてます!笑」

次に弟が近づいてきた

「あびちゃんのベースはえぐいわー」

一瞬なんのことか分からなかった
弟は私がよく聴いていた
銀杏BOYSの曲をやろうとしたのか!
と少し後で気づいた

離れた場所にいても、こころが繋がっていることを知った
明日からはまたお互い違う場所で
それぞれの生活を営むのだ

帰りは少し寂しいけど、、、
東京に来て、本当に良かったな、、、


その夜、父が消えた



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