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39【恋愛小説もどき×親友との思い出】

夏休みに入ってすぐ弟から電話があった

「あっちゃん、ライブやるで、遊びにおいで」

弟のベースの腕前は、まあまあひどかった
電話を切った後、急に心配になってきた、、

楽器ができる人、本当に尊敬する!
楽器は何年やっていても、練習しないと
絶対に、絶対に、上手くならない!
私は2歳からピアノをやっているけど、
しゃれにならないくらい弾けないから、分かる笑

弟よ、練習しているのか、、?

夏休みに入って、私と母、妹は、東京に遊びに行った
父と弟は、東京の町田というところに住んでいた
町田は神奈川にかなり近い
だから、弟は東京23区にはあまり土地勘がなさそうだった
私は東京を案内してもらう気満々だったので、
ちょっとがっかりした、、、
とはいえ町田は、マルイ、ルミネ、ジョルナ、東急ツインズ、小田急百貨店、、、
駅ビルが多いので買い物には困らなさそうだった

久しぶりに会う弟は身長が伸びても髭はなく、
相変わらずお肌つるつるだった
そして、若干標準語になっていた
大阪の中でも関西弁うすめの地域に住んでいたので、
染まりやすいのかも知れない、、
うすめ地域とはいえ、濃いめ関西弁を話す人もいる
濃いめ関西弁の人たちは
元々関西弁を話していた人が標準語を話すと
「きもい!」とかなり強い嫌悪感をあらわすことが多い
弟よ、大阪に帰ってきた時には気を付けてね

東京の自宅は最寄り駅が淵野辺駅
そこから車で10分程離れた住宅街の中にあった

「おじゃましまーす」

2人とも綺麗好きなので、部屋は清潔感に溢れていた
どこもかしこも、びしっと整理整頓されていた
さらに、凝った手料理でおもてなししてくれた

母と私は家事の要領がよく似ていて、
一見すると物がなくて部屋は綺麗だけど、
整理整頓が苦手で、
クローゼットの中がぐちゃぐちゃだったりする
料理も基本30分以内でさっと作れる簡単なものばかり笑
家事は男性チームの方が圧倒的に得意そうだ

久しぶりに会うので、母と妹と弟は
テンションが高く、ずっとおしゃべりが止まらない
一方私は、なぜか父と2人きりになった
気まずいのでお茶を淹れようと立ち上がろうとしたら
父が「座っとけ」と言って、
丁寧にお茶を淹れてくれた
緊張するぅ~
父はかなり怖い存在だった
母がいるとめちゃくちゃ機嫌がいいのだけど、、、
母が傍にいない、どうしよう、、

父は、私の話し言葉を聞いて
「正しい日本語使え」とよく注意した
小銭じゃらじゃらの財布の中を見られた時には、
「お前頭ぬくいのぅ、小銭は999円以上には絶対ならへんのや」
と、こてこての関西弁で言われた
バイト先に電話しているのを聞かれた時には、
「5分以内にかけ直されへんのやったら、折り返しとか言うなよ」
と怒られたこともある

そんな父が、今日は優しい
統計学の話とか、難しい話を分かりやすく教えてくれた
父には先見の明があった
この時父が言っていたことは、
後で考えると不思議とぴたりと当たっていた

父は日本はいずれ経済が伸び悩み、
他のアジア諸国の勢いの方が勝るだろうと言った
そして、日本の少子化には必ず歯止めがかかるとも言った
私が活躍する時代がくるとも、、、
本当かな

私の名前の由来についても話してくれた

「産まれてきたお前の顔をみた時に、
 人を癒す力があるなと思った
 それで、この名前をつけた」

くすぐったいような嬉しい気持ちになった
同時に、
なんだかお別れの挨拶をしているみたいだな、と思った





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