いつからでしょうか。
気が付けば、あらゆるところで「控えめに言って」という表現を見かけるようになりました。「ごく控えめに言って」とか「控えめに言っても」といった派生形もあります。
お洒落な響きがあります。翻訳文のようです。冒頭に引用した村上春樹さんの文章は素晴らしいですね。「ごく控えめに言って」があるのとないのとでは、文章の味わいが、まるで異なります。
そもそも「控えめに言って」という表現の実態は何でしょう?
これはつまり、遠慮して言ってますよ、誇張してませんよ、本当はもっと凄いんですよ、なんなら2割増しくらいで言いたいくらいですよ(敢えて言いませんけど)、大事をとって低めに言ってますよ、話を盛ってないんですよ、要するにわたしって謙虚なんですよ・・・といった、微妙なニュアンスと奥深さと謙虚さ、ごく微量の「おためごかし」を感じさせる言葉です。
謙虚なスタンスを取りながら、凄いとアピールするには、とても便利です。
近年、若者を中心に、好んで使用されるのも、よく分かります。
ちなみに、「控えめに言って」を英語で表現すると"To say the least"です。英語ではカジュアルに使われる表現です。
いくつか例文をあげてみます。
"To say the least(控えめに言っても)"という英語表現は、良い意味ばかりでなく、悪い意味でも使用可能なところが興味深いです。
ただし、日本語で「控えめに言って」を悪い意味で使うと、ちょっとふざけた感じになりますね。「控えめに言って無能」とか「控えめに言って貧相」とか、おちょくってるよね?みたいな感じです。
いずれ「控えめに言って」は悪口を言う際のスタンダードな「枕詞」になりそうな予感があります。
Youtubeで「控えめに言って」を検索したみたのですが、信じられない数の動画がありました。なかでも、一番かわいらしい動画を貼っておきます。
控えめに言って可愛すぎる子猫
控えめに言ってかわいい。癒されました。