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#059 自由進度学習〜成果と課題〜

 自由進度学習を取り入れてみた成果と課題をまとめる。今回は、算数「三角形と四角形の面積」の単元内で取り入れた。大きな成果を得られた一方、単元内ではなくもっと大きな括り(年間)で行うことをできると感じている。

成果①とにかく主体的(楽しそう)

 自由進度学習を取り入れてみて初めに感じた成果が、子供たちの主体的に取り組む姿である。今まで受け身で授業を受けていた子が机に乗り出すように取り組んだり、授業後も友達と話し合ったりする姿が見られた。自分のペースで友達と自由に相談できることがこれほど楽しいのだと改めて感じた。

成果②確実にできた(証明がノート上に)

 タブレットでノートを撮影しオクリンクで提出するため全員が課題をクリアしているかが一目で分かる。これまでは、教師がノートを集めて確認することが基本であったが、オクリンクだと一目で分かるためチェックの時間も大幅に削減できる。また、「これまでは、先生や友達が言ったことを聞く(書く)だけで済ますこともできたが、このやり方だと自分でやるしかない。(良い意味で)」と言っている子もいた。

成果③定着も良い?

 定着も良かった(特に、低位の子)。今までの授業スタイルでは、目立たなく理解した風の子を見落としていたと感じた。しかし、自由進度で一人一人の理解度が授業中にわかったので、見落としがちな子をフォローすることができた。結果、定着も良かったように思う。ただし、単元終了直後に学級閉鎖になりテストを予定通りの日程で行うことができなかったため、この点は今後も検証していく必要がある。

成果④教師と子供のコミュニケーションも充実

 授業の大半で教師の手が空く。授業中の教師の仕事は、個別の支援や子供と子供をつなぐことである。必然的に教師と子供のコミュニケーションが授業内で行われるため学習の定着だけでなく、生徒指導的な側面からも効果を感じている。

成果⑤自ら学ぶ力が

 子供たちには「自由進度学習を通して自ら学ぶ力をつけている。」と伝え続けてきた。結果、教科書があれば自分で課題を見つけ、解決することができるようになりつつある。教師が居なくても、学校に登校できなくても自分で学び続けることができる子を育てることができる。もちろん、学校で仲間と学ぶことは大切である。しかし、教師が居ないと学ぶことができないのは私の目指す理想的な姿ではない。
 偶然にも、この単元が終わった翌週に学級閉鎖になった。ここでの成果を活かし、次の単元もミッション表をオクリンクで共有すると子供たちは自走し、学級閉鎖中に学習を進めることができた。

課題①高位の子への課題提供

 自由進度学習をやってみて、高位の子にとって今までの一斉授業が形骸的で効果的な学びではなかったと思った。なぜなら、高位の子は自らミッションをクリアし、すぐに終えることができたからだ。そういった子にとっては、次のミッションに取り組ませても良いと感じた。そこで課題となるのが、どの程度の問題を与え、取り組ませるかである。今回は、単元内での自由進度であったため差はそこまで広がらなかったが、年間通して行うようなっことになるともっと広がる。次の学年の学習まで行って良いのかも悩ましい。まずは、ドリルパーク(ミライシード)に載っている次学年の問題を取り組ませることくらいはやらせてみようと思う。

課題②できた差をどう捉えるか(埋める必要は?)

 課題①と通じるが、差が大きく広がる。それ自体は、問題ではないと思うが、最低限のラインは必要だと考える。そこで、頼りになるのが学習指導要領解説である。低位の子であっても学習指導要領解説に記載されているレベルまでは到達させるように意識していきたい。

課題③確認作業を減らす

 ミッションのまとまり毎に行っている確認作業の時間は、必要ないと感じた。一方で、低位の子への支援、指導は必要だと思う。そのため、一斉で確認作業を行うのではなく、個別学習の際に、低位の子を見取り見逃さないようにして個々にフォローしたり子供と子供を繋げたりしていきたい。

課題④次学年への引き継ぎ

 私は、自由進度学習を取り入れてみて、大きな手応えを感じている。society5.0の時代においては、最良の方法だと思っているため、多くの先生に発信し、取り入れていきたいと考えているが、現在この学習方法は主流ではない。そのため、1年間やってしまうと次年度の担当教員によるギャップが生まれ、最終的には子供達を混乱させてしまう。それを防ぐためには、年間通して子供たちに「自ら学ぶことの意義」を伝え続けることが大切である。しかし、これは高学年の子供にとっては一定数受け入れられても、公立小学校のように毎年、担任が変わるようなシステムだと難しい。

まとめ

 3つの分けて、自由進度学習についてまとめてみた。たった1単元15時間の実践ではあるが、多くの成果と学びがあった。この学習方法は、子供たちに本質的な学びを伝える良い方法である。「何を教えるか(教科の目標)」にとどまらず「何ができるようになったか(学び方を習得)」することができると感じた。今後は、算数科を中心に「主体的、対話的で深い学び」の実現を図るための自由進度学習を行いつつ、従来の一斉授業の良さも検証していきたい。

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