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本が好きだった自分へ(本の話)

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図書館司書の資格を取るくらい本が好きだったのに、最近ほとんど読まず。気になる話やまた読みたい記事も載せてます。
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2022年9月の記事一覧

衝撃的な冒頭シーンから引き込まれる一冊! 真保裕一『英雄』内田剛さんによる書評を特別公開

■戦後史の空気を再現した傑作サスペンス  なんと濃密なファミリーストーリーなのだろう。昭和から平成、そして令和という時代を貫く、堂々とした風格を感じる傑作の誕生だ。作家が紡ぎだした創作物であると同時に時代が生み出したドラマティックな一冊であると言ってよいだろう。むせ返るような時代の空気をそのままに再現させ戦後史を貫く迫真の物語。真のリーダーが不在となり混沌とした時代の節目にこの『英雄』が登場したことには大きな意味があるのだ。  本書は「小説トリッパー」連載をまとめた一冊だが

北村薫さんによる感動の傑作長編『ひとがた流し』が文庫新装版に!『日日是好日』の森下典子さんによる文庫解説を特別公開

〈あなたがどこかで生きているということがずっと私の支えだった――。〉 アナウンサーとして活躍する千波、受験を控えた娘を持つ牧子、あらたなパートナーと新しい生活を歩んできた美々。三人は進む道を違えながらも、人生の大きな危機に直面したときに手を差し伸べ支えあい、四十代になった。 二度とない永遠 なんと精緻な、そして壮大な物語なのだろう……。 『ひとがた流し』は、私が初めて読んだ北村薫さんの小説である。  ストーリーは所々で枝分かれし、さまざまな登場人物の人生を物語り、それぞれの

読書の秋!食欲の秋!食エッセイ特集。

早いものでもう9月も終わり。ゴリゴリの秋です!!タイトルに「読書の秋」やら「食欲の秋」やら書きましたが… 私にとっては読書も食欲も年中無休であることに、今更ながら気付きました。笑 でも、秋になると、栗やかぼちゃやさつまいもを使ったスイーツが登場して、その「期間限定」の誘惑には抗えない… やっぱり、食欲の秋ですね!!笑 ということで、今回は食にまつわるエッセイについて紹介します。 食エッセイとは…「食エッセイ」と聞いて、どんな内容を思い浮かべるでしょうか? 美食家たちが

児童文庫は初めて同士の作家×編集者が、本を作ったら!? 『マリ×トラ事件ファイル』ができました!

突然ですが、このたび、こんな本ができました! 本日、9月14日に発売される『マリ×トラ事件ファイル ①届いた依頼はラブレター!?』(以下、マリトラ)です! マリトラは、第1回ポプラキミノベル小説大賞のピュアラブ部門の<大賞>受賞作品。 ちなみに、ポプラキミノベル小説大賞とは、小説投稿サイト エブリスタさんとポプラキミノベル編集部が一緒に行っている、児童文庫の小説コンテストです。 第1回ポプラキミノベル小説大賞が開催されたのは、2021年の5月~8月。応募総数663作品

家にある角川文庫の横溝正史作品、表紙絵が恐すぎる(『三つ首塔』の感想)

昭和のミステリー良いです。昭和30年~50年くらいのやつ。 今回は、家にあったこちらを読みました。 『三つ首塔』  / 横溝正史 横溝正史氏の作品読むのは初めてじゃないはず?!だが記憶が無い。 氏とゆかりがある、江戸川乱歩作品は10代の頃の愛読書でした。 ↑大人向けのやつ。今思うと内容的に思春期に読むのは刺激が強すぎでは。 そんな頃を思い出しつつ、 「探偵・金田一耕助の犯人当てミステリーいいかも~」と、 軽い気持ちで『三つ首塔』を手に取ったら・・・ 箱入りお嬢様目線

【読書メモ】『砂の器』 著:松本 清張(新潮文庫 / 1973年刊)

自分が思う松本清張作品の魅力 この夏、『点と線』にて松本清張氏の作品を初めて読みました。 昭和の日本の雰囲気を感じる事が出来てとても興味深いのです。 ミステリーとしても、先が気になって止まらないストーリー。 そして、欠かせない要素である(?)ミステリアスな美女の存在・・・。 当時のあらすじや表記への素朴な疑問 まず気になったのは、あらすじの「老練刑事」という主人公の人物紹介。 主人公の今西刑事は45歳です。盆栽と俳句を嗜むなど渋さはありますが、息子さんはまだ10歳くらい