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#9 前十字靭帯損傷の秘密教えます ④手術治療と適応

こんにちは!理学療法士のKEIです!

はじめに

前回は前十字靭帯損傷における保存療法と適応について記事にしました。

今回は前回の反対で手術治療についての記事になります。

ぜひ最後までご覧ください。
それではいってみましょう!


手術適応

ACL損傷後に保存治療を選択する根拠は、AAOSから発表されています。

活動性が低く膝の不安定性が少ない“low risk“のACL損傷例では、保存治療をサポートする根拠が限定的ながらある
AAOS ACL損傷診療ガイドライン

しかしlow risk群で保存治療を選択した症例のうち、25%が後で半月板縫合やACL再建の手術が必要になったようなので、保存治療の選択は注意が必要です。

上記のようにACL損傷を放置すると不安定性が残存したり、半月板などその他関節構成体の損傷が起きやすいので、活動性が高く不安定性のある症例は再建術が第一選択になります。

ACL再建術により膝関節の主観的・客観的不安定性が改善することから、ACL再建術を行うことを推奨する
ACL損傷診療ガイドライン 2019

このように保存治療に比較して手術治療の方が根拠としては優れているようです。

中高年

若年者と同様の効果が得られるので、スポーツするなら第一選択となります。

小児

骨端線が残存している場合には閉鎖まで待機することもありますが、不安定性が強かったりキャッチングやロッキングを頻繁に繰り返す症例では待機は難しく手術を選択する場合もあります。

ただ変形や脚長差発現などのリスクを十分に考慮した上での選択になります。


時期

ACL再建術は受傷早期(3〜6ヶ月以内)に行うことを推奨する
ACL損傷診療ガイドライン 2019

受傷後あまり早期に手術を行うと術後に関節拘縮が起こりやすいと報告があります。しかし8日以内の超早期でも3ヶ月待機してからの例でも関節線維症の発生に差がないとの報告もあります。

どちらにしても関節可動域に制限を残したまま手術を行うことは望ましくなく、損傷後に早く可動域訓練を開始すると術後に可動域制限を残さないために有益です。


手術

グラフト

過去には人工靭帯を使用していたこともありましたが、再断裂率の高さなどで成績があまりよくなかったようです。
そのため現在では自家腱か同種腱が主流になっています。

現在よく使用される自家腱についてメリット・デメリットを紹介します。

STG、BTB間の臨床成績において有意はないと言われています。
最近では大腿四頭筋腱も使用されることがあるようですが、私自身はまだみたことがありません。

骨孔作製

ACL再建には大腿骨、脛骨に移植腱を通す骨孔を作る必要があります。

理学療法士としてあまり関われる領域ではありませんが、侵襲箇所などを把握するためには知っていてもいいかもしれません。


まとめ

今回は前十字靭帯損傷後の再建術とその適応について記事にしてみました。
もちろん記事にある内容がすべてではありませんが、知らないこともあったのではないでしょうか。

★ポイント
ACL再建は自家腱を用いることが多く、STG・BTBが主流
活動性が高い、不安定性が強い症例は再建術が第一選択になる

今回はここまで。

本記事をご覧いただきありがとうございました。
次回もお楽しみに!

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