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アイドルと無人島とわたし -1年間で50回同じアイドルのライブに通うことになった顛末-

1年前の私は想像もしていなかった、自分がアイドルヲタクになるなんて。毎週のようにライブハウスに通い、ツアーの予定が出たらせっせと予定を組んで北は札幌・西は香川までカメラを担いで遠征し、灼熱の炎天下の中リリースイベントに参加し、ふと思い立って週末の新幹線を抑えて地方まで行って、毎日ニコニコしながら帰ってくるなんて、本当に今でも信じられない。

現場に通った回数は実際どうでもよく、たまたま行ける距離の現場が多かったり、条件に恵まれていただけなのですが。それにしても平均で週に1回のペースを1年続けていると考えると、すごいことだなと思います。でもそれは私がというより、メンバーが。年間200本ライブの目標を掲げて、アイドルの中でも相当激しいダンスと歌を1日ワンマン2公演、ときに10日連続やハードな遠征スケジュールでこなしながら、幸せそうに「今日はみんなと会えて嬉しかった、ステージからみんなの顔が見えた、来てくれてありがとう」と言ってくれるメンバー。


きっかけは1年前、友人の好きなアイドルグループがいきなり無人島に行くことになったと言うのです。

企画発表と同時公開されたMVは酷いもので、周回遅れ、手遅れじゃん、と辛辣な歌詞の中、メンバーが全裸風で森を走り回ったり謎の液体をかけられたり、あげく103回連続で表題曲を踊って最後は過呼吸になって泣いている。え?なんでこんな酷いことをするんだろう。この子たち、本当にすごいライブをするのに。


GO TO THE BEDSはもともとGANG PARADEというグループが分裂してできたグループでした。野音や中野サンプラザを埋めるほどの集客を持っていたGANG PARADEが、分裂して新しく1からグループを始めると発表があったのが3月末。


その後、コロナ禍でなかなか活動開始できず、8月に行われた事務所合同公演の無観客配信でお披露目となりました。GANG PARADEの所属歴が長い順で5人が集まったGO TO THE BEDSは、1年前の私がアイドルと言われたら想像もつかないような、激しいサウンドでライブをするグループでした。観客も入れられない、リリースイベントもできない制約の中でアルバムの売り上げは伸びず、9月の初ワンマン公演も感染対策でキャパ30%という厳しい条件での開催。それでも初めてのワンマンは、GO TO THE BEDSというグループのコンセプトを強く印象付けるものでした。キャリアに裏打ちされた激しいダンスと強い歌声。高いライブパフォーマンスのクオリティ。

その数週間後に無人島企画が発表されました。


企画内容は意外とハードで、ニコ生コメント以外のアドバイスなし、スマホは没収、コメと水とテントなど最低限の道具以外はほぼ現地調達、最終日に手作りのイカダで脱出できなければ後日のライブ配信は無し。

そんな辛いことやらなくても、ライブで人気出るんじゃないかなあ、アイドルって大変なんだな。心配だからちょっと見てみようかな…。

私の心配をよそに、無人島特番はとても賑やかな配信となりました。メンバーは明るく気遣いにあふれていて、毎日火を起こすのに苦戦したり、いつまでも炊けないお米にお腹を空かせたり、慣れない道具に苦戦しながらも悲壮感はなく、おしゃべりが途切れません。泣き言ひとつ言わず、絶対に脱出するぞと火を囲んで歌ったり、視聴者に見せたいと一生懸命魚を釣って見せたり、コメントを読んで視聴者と喧嘩したり、燃やすものがなくなってパンツまで燃やしたり、ひたすら笑って元気をもらえました。本当にいい子たちなんだな、こんなところで折れずに絶対に売れてほしい。


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最終日は横からの風が強く、いくらイカダを漕いでも流されて目的地の堤防に一向に近づかない。それでもあきらめず漕ぎ続けてようやく3時間後にゴールに辿り着いたとき、泣いている姿を見て、この子たちを応援しようと決めたのでした。

その後、GO TO THE BEDS は1年間にわたってライブを全国に届けてきました。2021年は年間200本ライブという、ライブメインで活動するアイドルの中でも厳しい目標を掲げながら走り抜け、ときに情勢でライブが中止になってもメンバーは誰1人休むことなく、途中新しいメンバーが1人増え、無人島脱出翌日から1年後の9/27にツアーファイナルを迎えます。

本当に一度も飽きることがなかった。1年間150本近くこなして練り上げたライブ、客席を巻き込むパフォーマンスと一体感、メンバーの表情はコロコロ変わり、同じ時間を生きている人間が今この瞬間を届けてくれる高揚感。
きっと私はGO TO THE BEDSと出会わなかったらこんなにアイドルを好きにならなかったから、純粋に今のGO TO THE BEDSで中野やそれ以上の光景を見たい。

私はこの1年間の答え合わせをするような気持ちで、その日を迎えます。きっと、あのとき応援したいと思った気持ちをまたもらえるんだろうな。そんな1年前の私のような人が、このライブで1人でも増えてくれることを願っています。
信じられないくらい濃い時間と思い出をいっぱいありがとう。

次の1年もよろしくねの気持ちで、ツアーファイナルに行きます。


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