見出し画像

10 子安浜オデッセイ 建築新人戦

子安浜-続編

さて、今日は、大阪で行われた建築新人戦での話だ。いつも文章が硬いので今日はゆるくいこう!あと、書かれていることはただの事実。何も面白くないで!笑笑

index
夏休み前
アジア選出
新人戦当日
繰り返される悪夢

-

夏休み前
よーし、新人戦だすぞー。しかし、テストと提出期間が被っている。クマったな〜。少しずつ準備を始めよう。

そう言いつつ結局出したのは、期限の前日。マジ、指定のファイルとか何?まず名古屋にはそんなもん売っとらんのだ!amazonは売り切れ。周りのみんなも焦ってる。

関西系の大学は、どうやら生協で取り寄せてて、余裕で出してる。

おいおい、スタートダッシュですでに我らは遅れをとっているぞ。

まあ、とにかく出せたのでセーフ。

最初に新人戦の流れを説明すると、
①まずシート審査があって100選が決まる。
②次に、選ばれた人が模型とシートを大阪の会場で展示される。
③それで16選、8選が決まり、
④壇上のプレゼンで上位が決まる。

夏休み中に①の100選が決まった。一応選ばれている。
しかし、その直後、驚きの電話がきたのだ。

-

アジア選出

「ああ、リーですけど、君、台湾これる?」

ほ?イキナリだった。アジア建築新人戦のお誘いである。腰が抜ける。しかも、まだ大阪行ってない。16選とか8選とか、選ばれる前に決まっちゃうんだ…にしても、やるっきゃない。

「はい…大丈夫です。」

即答した。
不安を抑え込んだ。

色々確認事項を聞かれる。問題なし。

電話が切れる。
ふぅ。

マジか。台湾に行ける!タダで外国に行ける!これは建築坊主にとって、たまらなく嬉しかったのだ。

しかしながら、当日の緊張感が薄れてしまった。
準備が必要だから早めに教えてくれたのだろう。めっちゃ、ありがたい、けど…

画像1

画像2

新人戦当日
そそりたつ梅田スカイビル。原広司設計。青空と一体化したそのサーフェイスに、僕は入っていった。

梱包箱から子安浜を取り出す。

僕は模型を四方から見て欲しかったので、回転台を下に仕込んでおいた。頑丈に作ってあるので、是非みんなに触って欲しかった。

普通、人の模型って触っちゃいけない。しかし、僕は触りたい派の人間である。だから、こっそり触れる。でも直前に、一瞬躊躇する。みんなにはこの感情を味合わせたくなかった。もっと展示にアミューズメント要素を入れたかったのだ。

見事、回してくれる人がチラホラいた。嬉しかった。それでもまだ抵抗がある人がいるらしい。いいんだよ。ガンガン触っちゃいなよ。(矢沢風)

審査委員が回ってくる。

全然回してくれない。泣泣
改善が必要そうだ。

画像3

一応、7人中3人が票を入れてくれた。全体で一番得票数は多かったのだ。でも、16選。8選には入れなかった。うえーん、なんでぇ。

どうやら、それぞれのイチオシが壇上に上がるらしい。つまり僕の作品は、みんなから選ばれるが、そこまでの輝きを持っていなかったらしい。

はあ〜。ため息しか出なかった。でも、なぜか台湾行けるんだよなあ〜。全く日本のイチオシじゃないのに笑。複雑だった。

実は、アジアに行けるのは2名いた。

大会前にもうひとりの人とは仲良くなった。彼は明るい。そして特異なオーラを発していた。チャラいが面白くて真面目なのである。掴み所がない。笑

でも、凄くいい人。天才でもあった。

彼は8選だった。そうなると上位の人と日本代表が違う人になる。よく分からない。不思議な世の中である。

彼もまた、100選が決まった直後に電話がきたのだろうか。そうすると、僕と同じ気持ちだったのかもしれない。しかし、例の如く彼はこんな事では悩む類の人ではなさそう。彼は一個下であったが、自分の芯があった。少しそこに助けられた部分がある。

-

間奏
少し休憩。これから新人戦などのコンペを出す人向けにちょっくら注意事項を書いておこう。

①住宅はやめとけ。美術館やデッカイのがいいかも。
自分は自邸を出してしまったが、16選の中では一人。集住もいたが、大きめであった。8選のうち6つは美術館などの観賞施設だった。これはあくまで傾向でしかないが、大きいもんやれよ。という事かもしれない。だが、別に何をだそうが凄いものなら関係ないと思うが。

②新人戦や地方の卒制は、その地域の風が吹いている。
地方特有の流れや考え方がある。関西には関西の派閥が、関東には関東のが。僕は名古屋なので、そんなことは知る由もない。また、知っている大学の課題や教え子の作品の方がもちろん理解しやすい。特に早稲田のハイパースクールなどは有名すぎる。それに打ち勝つには相当な戦略が必要ですよ。

-

繰り返される悪夢
実は、新人戦に似た経験をした。それは卒制展で行われた決勝戦の話だ。

僕は、またもや審査員4人から満票をもらった。しかしながら、僕を「一位にはさせられない」と皆いうのだ。お、これがデジャブか。

決選投票が始まる。

ひとりはドローイングのみの作品。素晴らしかった。僕も感動した。確かに自分が審査員だったら、彼女に票を入れるだろう。

もう一人は完璧な設計。落ち度のない優等生。

そして僕。癖が強い設計。誰にも作れない作品ではあった。

この3人の中から決める。挙手で決まった。
最初の彼女と一騎討になる。

2票づつが入った。同票。結局、審査委員長の内藤廣が決めることになる。

「名古屋はドローイングを選ぶ。全国から非難を浴びるかもしれない。でも、それは気持ちがいい」

真っ当な判断だ。僕自身も異論はなかった。その気持ち良さが分かってしまったからだ。

またしても、1番は取れなかった。連敗である。
これを糧にして頑張ろうというのが僕の現状である。

しかし、その内容を精査する必要はある。そうでなきゃ、この悲惨な経験は意味をなさない。

と言うわけで、次回はなぜ1位を取れないのか。決して1位が欲しいわけではないけど、その理由は興味深い。それを一旦片付けてから台湾の話へいこう。

では、バイバイ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?