04 レヴィ=ストロースと銀シャリ

あなたは、呪いや都市伝説を信じていない。僕も同じ。でも、便利なんです。

今日は、レヴィ=ストロース愛を語る回。代表作『野生の思考』の具体の科学を僕なりに紹介しようと思います。彼は、ブリコラージュという言葉を発見したことでも有名です。他にも世の中の見方が180度変わる話が盛りだくさん。是非一読してもらいたいもの。

ただ、あまりにも面白すぎるので、麻薬的な力を持ちます。どっぷり浸からず、ドライに捉えて欲しいのです。私がいうのもなんですが。

では早速、具体の科学とは何か。
「オーストラリアの原住民」と「お笑い芸人・銀シャリ 鰻」の2つの話をしよう。

-

トーテミズム
トーテムポール。聞いたことあるよね。このトーテムが主題。意味は、特定の集団と関係がある動植物や自然現象です。

原住民の部族に、ワシ族やクマ族、ヘビ族など動物の名前がよく用いられるのは、イメージしやすいですよね。ただ、これは単なる記号ではないのです。

複数の部族で1つの共同体を作ります。それで1つの地域を支配するのです。その時に、動植物の乱獲を防ぐ役割が部族名にあります。自分たちの名の生き物を獲って食べることは禁忌とされます。

それによって、特定の地域ではある生き物は保存され、全体で見ると、生態系が守られることになります。

また、禁忌は食べ物だけではなく、結婚まで及びます。

ヨルバ語では、「めとる」と「食べる」は同じ1つの単語です。(野生の思考p155)他にも「食う」という言葉は、性的な隠語としても使われます。日本でもよく聞きますよね。実はコレ、世界共通なんです。それ以上は、野生の思考の普遍化でまた読んでください。

そう、性と食べるは、非常に近しい関係にあるのです。

話を戻すと、その共同体には決して部外者は入ることはできません。そこで問題になるのが、近親相姦です。DNAの近いもので交配することは、生まれてくる子どもに害を及ぼす可能性があります。大昔の天皇家でも問題になりましたね。

これを回避する時に役立つのが、これまたトーテムです。

例えばワシ族はクマ族に娘を渡し、クマ族はヘビ族に。と循環するように定められています。本当はもっと複雑ですが。

こんな感じで血が濃くならないようします。禁忌に従って見えざる数列が組まれ、結婚相手が決まるのです。これにより部族と共同体は常に安泰です。なんか複雑な気持ち。

野生の思考は1962年に世に出ましたが、当時西洋人は原住民の非科学的な呪術や儀式をバカにしていました。しかし、レヴィ=ストロースによってその考えは完全に否定されました。実は科学を用いなくても、手っ取り早く処方できる方法だったのです。非常に論理的なのです。

-

次にもう少し身近な例でご紹介します。

これは、これは2011年11月のダウンタウンDXで、銀シャリの鰻さんが話した名前にまつわるエピソードです。

鰻という苗字は、全国に十数世帯しかいない珍しい名前だそうです。そして、昔から「鰻は絶対食べるな。タタリが起きるぞ」という一家の言い伝えがあるそうなんです。また、それで先祖2人が原因不明の心臓麻痺でなくなったらしいのです。

しかし、鰻さんの兄はそんなことを信じず、
「まあ、うなぎパイなら大丈夫っしょ」

と食べたら…泡をふいて倒れたそうです。大事には至らなかったらしいのですが。

他にも情報を整理します。この言い伝えが適用されるのは直系のみで、母は食べれるそうです。またアナゴは問題ない。

当時中学生の僕は、奇妙な話だなあ。と思っただけでした。しかし、野生の思考を読んだ大学3年の春、その意味が分かったのです。

「鰻家の先祖は、自分たちが鰻アレルギーだ。ということを伝えるために、苗字と言い伝えを使ったのではないか」

ここにも科学は必要ありませんでした。経験と変な逸話が科学の役割をはたしたのです。

これが具体の科学です。

-

レヴィ=ストロースの面白さを分かってもらえただろうか。

ただ、冒頭でお伝えした通り、このことはドライに扱って欲しいのです。

僕が通学していた名古屋に、とある御神木があります。高速道路の計画で潰そうとした関係者が次々に謎の死を遂げる、イワくつき木でした。まあ、これはただの噂や都市伝説に過ぎませんが。結局高速は9mズレて木は残りました。地域の文化を守る狡猾な戦略だったのです。

このように僕らも、具体の科学を利用してみては?
設計でどのように生きてくるかわかりませんけど、かなり強力な力を持っています。

アフリカの一部の地域では、呪いを法律で真面目に禁止しています。事実は小説より奇なりとはこのことでしょう。


ただ、使いすぎは厳禁です。怪しい人になってしまいますから。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?