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WHY JAPANESE LEARN GERMAN!?

こんにちは。

日本人がドイツ語を学ぶときに、最も多い動機が何か知っていますか?

教養

だそうです。

もちろん、大学の必修科目だから、ドイツ語圏へ赴任すから・・などの外発的動機でドイツ語を学び始める人もあるのですが、教養はどちらかというと学び自体が目的であり、それ自体から 喜びや満足感を得ることを動機としている、と理解できると思います。
私の関わっている生徒さん達にもそんなアプローチでドイツ語学習している人たちがいますが、今日はそんな生徒さん達から見る、人生100年時代のワケある学習のさまざまをご紹介します。

私が関わっている生徒さんたちの学習の仕方には、主に2つのタイプがあります。
一つ目は受験。

高校・大学受験


日本であれ、ドイツ語圏の高校・大学であれ、その入学にはそれぞれの教育機関で定められたドイツ語のレベルを証明するための能力試験を受験しなくてはならないため、そのための学習が中心となります。白黒はっきりした線引きがあって、まずはそれをクリアすることが目的の学習です。

学習しているのは、日本で受験するよりも、ほとんどがスイス・オーストリアを含むドイツ語圏の高校や大学に入学する子たちなので、求められるレベルは欧州言語共通参照枠(CEFR)でいうところのB2/C1レベルとなります。
こちらは文法を固めながら、ゲーテ・インスティトュートで使用するテキストや教授法に則って、ある程度のレベルからはドイツ語で授業を進めていきます。現役の学生ということもあり、馴染みある英語に似ているドイツ語学習には英語からのアプローチもしています。

ドイツ語での授業には、耳が慣れてきてヒアリングの理解に役立つこと、特に文法用語がドイツ語でインプットされることで、現地で語学学校に通うことになっても形容詞や従属接続詞、助動詞などといった文法を学ぶ際の最低限のワードがドイツ語で苦なく理解出来ているという大きなメリットがあります。

生徒さん達の将来は様々です。
ピアノ科や声楽、また弦楽器で音大を目指す子たち、また建築、医学、宇宙工学などの自然科学分野で大学を目指す子たちが多いですが、みんな最初はアルファベットから始めます。中学、高校でドイツ語の素養がある子というのも珍しいですから当然といえば当然ですが、それでも僅かな期間で求められるレベルまで到達することを考えると、受験も体力です(笑)。

さて、私が関わっている二番目のタイプの生徒さん達の学習の仕方です。
それは終わりなき趣味・教養の世界です。

ニッチでエンドレス


こちらは受験組と比べ、年齢分布も大きく広がります。そして正解のない、学ぶこと自体を目的とした人たちが集まっています。その世界は広く、ドイツ語を起点としていることだけが共通の、無数に広がる世界です。

面白いのは、多くの場合、生徒さんがご自身でテキストを持参してくることです。持ち込まれるのは古典、ミュージカルやオペラの脚本、法律文書、詩、現地の教科書、料理レシピ、マンガ、また紙媒体のみならず、動画の一部やDVD、写真、映画だったりもします。
それぞれがその分野で、専門家顔負けの博識ぶりを発揮している趣味であったり、その道の専門家であったりするため、こちらは歴史的・文化的背景からの言語アプローチを手助けするだけです。

こちらで求められているのは、個々の文法理解というような狭義のドイツ語学習ではなく、体系的な言語知識とその背景です。ドイツ語の文法を知らなくても、生徒さん達は自分の知りたいことと、知っている事をよく理解して十分に得たい知識を得ています。オペラ歌手なら、発音と書かれた時代の詩の解釈を、クリエイターなら言語から見える社会的背景を、またあるドイツ人作家に人生を捧げた人は、その人生を追体験するかの如くその世界観に浸かることを求めています。彼らの求めるものは、時にある一つの食材、ある一つの部品の名称、たった一行の文章だったりします。ドイツ語のレベルも様々です。

共通しているのは、ドイツ語の学習がメインではないという事でしょうか(笑)。

ドイツ語は入り口だったりきっかけだったりはしますが、みなさんそれぞれ専門分野や趣味の知識や理解を深めることが目的ですので、ドイツ語は痒いところにピンポイントで手が届くようなサポートさえあれば、あとはご自身の知識と経験でブワッと広げていけるのです。
受験のための学習では、インプットしたことを試験でアウトプットする訳ですが、こちらのアプローチでは、インプットしたことをそれぞれの経験・知識を通じて専門分野でアウトプットするので、一つの理解からより大きな領域の理解へとつながる、相乗効果や新たな発見のある、言い換えれば知識の獲得が体験的なものとして感じられるようなダイナミックなものです。

どこからでもどんな情報にもアクセス可能な時代に、どこで見つけてきたのかと思うようなニッチなドイツ語をぶら下げてやってくる老若男女が、今日もどこかでドイツ語と繋がっています。

最後まで読んでくださってありがとうございました。


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