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大文字小文字の- どっち?③

こんにちは。

今回は3回目、大文字小文字の最後の回(怪?)です。

数詞の大文字小文字、それとも形容詞の大文字小文字、どちらを書こうか迷っていたら一週間過ぎてしまいました。。

今回は、悩む頻度がより高そうな形容詞の大文字、小文字の話にします。
1つのテーマについての投稿が4回以上の深掘りの気分が乗ってきちゃったら↗️、レアすぎて役に立つかどうかはまた別問題になってきそうなので、基本の3回シリーズを貫いていこうと思います(笑)。

今回は一つの単語だけに絞って考えます。

Deutsch/ deutsch

ドイツ語を習ってるのに「ドイツ・ドイツ語の」が意外と正しく使えない。。
主に「ドイツ語」とか「ドイツ(人)の」などを意味するこの単語のまさかの使い勝手の悪さに、そろそろ終止符を打ちたいと思っている人も少なくないのではないでしょうか。

これには以下のような原因があるのかな、と考えています。

  • 地名/国名+er形の「ドイツ人」という単語が存在せず、
    Amerika→Amerikaner, England→Engländer, Japan→Japaner はあるのに
    Deutschland→Deutschlander がないこと。言い換えれば、他にもder Französeやder Chinese、der Russe(いずれも国民名)はあれど、der Deutsche(ドイツ人)だけは形容詞変化する名詞であること。

  • 加えて、形容詞deutschが名詞化されて大文字になると、名詞Deutscher(ドイツ人男性)/ Deutsche(ドイツ人女性)と同型になることもあり、何かと渋滞気味。さらに格語尾変化も考慮しなくてはいけない。

  • そもそも、形容詞deutschがどんな時に大文字になるのか分からない。

文字で見るとややこしそうなので、実際にみていきましょう。 

さてこの単語、同じ発音・綴りで2つの品詞があります。
1. 名詞:das Deutsch (ドイツ語、また履修科目としてのドイツ語)
2. 形容詞:deutsch (ドイツ・ドイツ人の、ドイツ・ドイツ人的な、ドイツ語の、ドイツ語表記の)

今回のテーマは上記2番の形容詞の方です。
この、本来小文字で始まる形容詞deutschが、大文字で記述される場合や、大文字でも小文字でもどちらでもいい場合などがあるよ、という話です。

大文字になる場合だけを見ていきます。

deutschがDeutschになる時

早速、理屈抜きにいくつか例を挙げていきます。

  • Deutsche Bahn AG (DB: 日本のJR)

  • Deutscher Akademischer Austauschdienst (DAAD: ドイツ学術交流会)

  • Deutscher Fussball Bund (DFB: ドイツサッカー連盟)

  • der Tag der Deutschen Einheit (ドイツ統一の日)

  • der Deutsche Schäferhund (ジャーマンシェパード)

上記、全て形容詞deutschのDが大文字表記になっています。つまり、形容詞deutschを大文字で書き始めるのは、上記の例のように固有名詞の一部や特定の名詞の組み合わせの場合のみです。そしてその語尾は形容詞の様に語尾変化します。

逆に言えば、

  • das deutsche Volk (ドイツ民族)

  • die deutsche Sprache (ドイツの言葉)

  • das deutsche Recht (ドイツの法律)

  • die deutsche Gesellschaft (ドイツ社会)

  • Wir tragen unsere Rede deutsch vor. (私たちはドイツ語で発表した)

などは、固有名詞ではありませんので小文字で書き出すと言うことになります。
その場合の判断基準として、「どんな?」の問いに答えられるかどうか、あるいはdeutsch をjapanischなどに置き換えても意味が通じるかどうかで確かめることができます。上記の例だと、どんな民族?どんな言葉?どんな法律?どんな社会?の問いに「ドイツの」と答えられ、また他の任意の形容詞に置き換えられて意味の通じることも、小文字で書き出す形容詞を見分けるポイントです。

さて、話は戻って形容詞deutschがDeutsch になるのもう一つの場合があります。以下を見てみましょう。

  • etwas auf Deutsch sagen(何かドイツ語で言う)

  • der Brief ist in Deutsch abgefasst(この手紙はドイツ語で書かれている)

  • eine Zusammenfassung in Deutsch(ドイツ語によるまとめ)

  • auf gut Deutsch gesagt(一言で・簡潔に・明確にと言うと)

  • das heißt auf Deutsch(ドイツ語でそのように言う)

  • ins Deutsche übersetzt(ドイツ語に翻訳する)

「ドイツ語の・で」という言語の名称の意味で使用される時、前置詞と一緒に使用され名詞的に使用されているのでこれらの場合も大文字で書き始めます。これがJapaischや Italienischでも同様、大文字で書き始めます。

では最後にこんな時。

Spricht er englisch?   それとも Spricht er Englisch?

wieの問いを作って考えましょう。

Spricht er englisch?→ Wie spricht er? →englisch
(彼は英語で話すの?→彼はどんな言葉で話すの?→ 英語で)
この問いに答えられるので、小文字で正解ですね。
この場合のenglischは形容詞的に使われています。
ところが、
Spricht er Englisch?→ Was spricht er? →Englisch
(彼は英語を話すの?→彼は語を話すの?→ 英語)
この場合のEnglischは名詞的に使われていますので、大文字で正解ですね。

この文のように、WieとWasの両方で問いが立ち、言語名(この場合englisch/ Englisch)が一つの文中で、形容詞・副詞的(彼は英語で話します)、また名詞的(彼は英語を話します)な働きを持つ場合は、

大文字でも小文字でも構いません

正書法は、新たに定められることもあれば変更になることもあったりで流動的なのこともあるので、あまり細部には拘らずに、原則から個々の場面に当てはめながら考えていくことで楽しく学べるかもしれません。

今日も最後までお読みくださりありがとうございました。

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