死に慣れて、いいはずがないのに
初めて目の前に現れた津波は、波ではなく、巨大な水の塊だった。
その塊は、コンクリートの壁を乗り越え、暴力的な強さと勢いを持つ激流となって、町に流れ込んでいった。
直前までそこにあった生活の証し、家や店など町並みだったものが粉々に破壊され、木材のかけらや、捻じ曲がった金属片になりかわった。
そして、多くの人の命が奪われていった。
ついさっきまでいた場所。
現実感がわかないまま、カメラを回し続けた。
これは、記者になって3年目、突然、ひとり災害取材の最前線に放り出された私の