【放送部の思い出3】いよいよ入部!放送部!

練習って・・・何するの?

私はとある高校に入学した。

仮にM高校としておこう。

以前、進路に悩んでいた私だが、校長先生にアナウンスを褒められたことをきっかけに、放送部というものを見つけた。

そして、私のいる静岡県でM高校の放送部が結構強いと聞いて、志望校をそこに決めたのだ。

もちろん当てつけだ。

やりたいことも将来の夢も無くて志望校が無い私は毎日先生や親に心配されて疲れてた。

だから無理矢理「放送部ってとこに入りたい!」と言って、さもM高校に入りたいように見せかけて親を安心させたのだ。

軽音部はちょっと興味があったが、「いや放送部入らないと怒られる」と思って我慢し、放送部のドアを叩いた。

本当は軽音部でギターボーカルになってモテたかったのだが・・・。

まずは入部ガイダンス

入部希望者と部活の先輩たちで幾つかのグループになり、親睦を深めるために雑談をすることになった。

意外と美人の女性が多くて驚いた。放送部ってマイナーだと思っていたが、M高校内に限ってはそうでも無いようだ。

なぜかというとM高校は静岡県の中でも異常な強さで、毎年必ず全国大会に出場している。

顧問の経験値力であったり伝統的な要因もあるが、一番は資金力だった。

かなり学費の高い高校であるため、普通の高校には無いような設備が整っている。

本物のマイクを使ったり、大講堂を使っての大会対策練習などは、そこらへんの学校ではできないだろう・・・。

先輩たちとおしゃべりをしていた時、急に顧問が現れた。

その顧問は私に話しかけてきた。

「君、入部希望者?」

「は・・・はい」

「ふーん・・・変わった声をしているね」

「そ、そうですか・・・?」

不思議な雰囲気を醸し出す顧問はそう言うとその場を去った。

声にも良い悪いがあった

先生に言われた「変わった声」について少し考えた。

そういえば中学生の頃、夏休みの演劇体験に通っていた時に観客から「声が良かった」と言われたり、以前付き合っていた彼女からも「声が好きだ」と言われた。

今まで全然気にしていなかったが、どうも「いい声」と「悪い声」があるようだ。

そしてどうやら周りの反応からすると、私は「良い声」の部類に入るようだ。そう思うと校長先生に「うまい」と言われたのもそのせいなのか・・・?

だんだんと私は調子に乗った。ひょっとして自分には才能があるのでは無いか、と。

このことが、後に私の前に大きな壁として立ちはだかる。

確かに声質や感性などの部分で、私は他の人よりかなり恵まれていた。だがそのことに頼りすぎたことで、事態はどんどん悪い方向へ傾くのだった。

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