【放送部の思い出4】深呼吸ばかりさせられる毎日
いよいよ部活!始動!驚きの練習メニューとは?!
ガイダンスも終わり、いよいよ私は放送部に入部した。
一体どんな練習をするんだろうと思いきや・・・
寝かされた
レジャーシートの上にゴロンと寝かされた。
そして先輩が、
「腹式呼吸を覚えてもらうね。お腹で息を深く吸って、なるべくゆっくり『スー』って音を立てながら吐いて」
と説明してきた。
新入部員一同、困惑しながらスーハースーハー息をした。
・・・なんだこれは
年頃の男女が教室の床に横になりながらひたすら呼吸だけをしている。
宗教団体の朝活だろうか。
その日は活動中の数時間、ずっと寝っ転がりながら深呼吸をしていた。
そしてその苦行はその後もずっと続いた。
月曜日から金曜日まで5日もの間、永遠とも言える時間の中で我々は深呼吸をしていた・・・。
やっと声を出せるか?
2週間目、先輩に手鏡を持ってくるよう命令された。
手鏡を何に使うかはわからないけど、やっと違う訓練ができる!
100均でコンパクトミラーを買い、ルンルン気分で部活に向かった。
腹式呼吸以外の訓練ができる。それが嬉しかった。
この1週間で数人は放送部を辞めていた。当たり前だ。私も何度挫けそうになったことか。セブンイレブン(静岡は時給700円)でバイトして金稼いで女子たちとカラオケでも行った方が絶対有意義だ。花の高校生なのだから。花の高校生がなんで貴重な放課後の数時間を声も出さず呼吸だけしていなくてはならないのだ。
練習場に到着し、先輩に指示を仰いだ。
「今日は口の形を教えるね。このテキストを見ながら『アイウエオ』の口の形をしっかり真似してみて。声は出さなくていいから」
ほう!また無言で訓練か!
心が折れそうになりながら「あ・い・う・え・お」と口の形をひたすら作った。
その日から1週間、寝てスーハーと無言アイウエオをひたすら続けた。もちろん、何人か部活を辞めた。
果たしてこの練習は必要だったのか
寝てスーハーしたり口の形を作ったり。これはどんな意味があったのか。
しばらくして知ったのだが、ちゃんと意味はあった。
まず腹式呼吸。これはよく聞く。
普通に胸で息を吸うより、お腹で息を吸う方が大きくてしっかりした声が出せるのだ。ちなみにお腹で息は吸えない。お腹で肺を下に引っ張ることでより多くの酸素を取り込むことができる、という意味。
で、普段は胸式呼吸をしている私たちを寝かせることで、強制的に腹式呼吸にし、慣れさせることが目的だったというわけだ。(人は横になると腹式呼吸になる)
加えて、腹式呼吸に特化した人体構造に変形させることも目的だ。
アコースティックギターは弦を弾くと箱の中で音が共鳴して美しい音色が響く。人体も体の中で声を共鳴させると良い声が出るそうなので、腹式呼吸に適した形状に内臓を変化させるのが良いんですね。
口の形も滑舌や発音、伝達に関わるので、練習は確かに必要だ。
でも
2週間ひたすらやらせるのはやっぱりおかしいのでそこは直して欲しい。
ただ!しかし!
もしこれを読んでいる人の中にアナウンサーや声優の養成所に通っている人がいたら見て欲しい。
養成所での練習じゃ全く足りない。それこそ、1週間ひたすら腹式呼吸や口の形について考えたり訓練するぐらいの気持ちは持って欲しい。じゃないと基礎力がつかないので!それは覚えておいて!
声はテクニック以前に、内臓を変形させるところから始めないといけないのだから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?