夜莺(ナイチンゲール)/祖父と孫娘の田舎への旅

夜莺(ナイチンゲール)

お金持ちの両親の元で常に電子パッドを片手にする少女が、両親不在のために祖父に預けられることに。祖父は喜び、計画していたナイチンゲールを伴う郷里への旅に、少女を同伴させる。都会から離れ、道を間違え林を彷徨い、洞窟で眠る2人。反抗的だった少女はいつのまにか、祖父に心を開いていく。

面白かった!
質素な祖父の暮らしから始まって、すぐに都会の少女の暮らしに移るので、どうなるのだろうと興味が沸く。

都会に住む孫娘、少女レンシンの暮らしぶりがとにかく豪華!綺麗な会場を借りて司会付きの大人数の誕生日パーティーをひらき、家は広くて清潔なマンションの一室で、海外を飛ぶ両親にかわってお手伝いさんがいる。何不自由なく揃えられるが、けれど、両親もレンシンもそれぞれに電話をかけても誰にもつながらない空虚さも併せ持つ。
それ故か、この子が大変に反抗的。祖父に預けられての寝台列車の2人旅では、ご飯を食べずにお腹が減って夜に祖父を起こすし、靴を部屋から運び去ってしまう。ここで祖父はよく耐えているのだけれど、これはかつて自分のおこした過ちへの負い目や、普段親しまない孫へのひけめなのかも。

それからトラブルが続いて深い自然を彷徨ったり片田舎に滞在することになる。この辺り、独特の音楽がとても綺麗で、緑の景色ととてもよくあっていた。片田舎にのこる文化というか、風習もよい。屋根の形が独特で、日本で言う瓦のよう。
それでこれをみていてとても思ったのは、文明が発展していくと均一になって、どこの国も大差はなくなるのだなあと。都心の車の走る高速ビル群は、東京とそれほど変わらない。そういう気づきも面白かった。

そんなわけで楽しんでみたのだけれど、しかしこの映画、とても淡白。
良くも悪くも展開が早いから、もうちょっとそこは書き込んでもいいのでは?という場面が多々あった。次第に、というのがない。

レンシンと祖父が洞窟の中で一夜を過ごす時に、祖父が昔話をしているのだけれど、ここでいきなり2人の距離が縮まっている。
お世話になった田舎、仲良く遊んだ子どもらとの別れはない。
回想の描かれなかった、祖父の過去の失敗。鳥市場でレンシンが迷子になった?

それから、物語の核となるはずのナイチンゲール。
ほとんどスポットが当たらない。祖父がナイチンゲールを可愛がる序盤と、中盤の一瞬くらい。あとはラストか。それも残念だった。

情感が過ぎるのものびてしまうけれど、ナイチンゲールは大筋が良かった分ここいらあたりが惜しかった。

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