「カモメの日の読書」を読んで

俳人の小津夜景氏による漢詩と日常を綴ったエッセイ集。漢詩らしい話題から、漢詩とは距離のある話題であったり、さまざまなテーマが漢詩と絡めて語られます。本書は、漢詩と、著者による日本語訳があり、そこから、著者の短いエッセイ、という構成で、さまざまな漢詩が紹介されます。そこで紹介されている漢詩のどこが面白いか、ということが著者の視点から語られるのが、本書の面白い部分でもあります。また、漢詩で描かれている光景についての説明であったり、といったものが、漢詩だけではなく、他の知識や話題からも説明されます。本書は、著者を通して語られる漢詩の世界、日常世界、と、言葉の世界の豊富さというものを思い出させてくれます。本書は、詩によって捉えられた人間であったり、社会であったり、そういった複雑なものを複雑なままに受け取るための言葉の世界というものを考えさせるような一冊だと感じました。

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