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毎日投稿4日目(怖い話)

毎日の基準がガバガバだって?気にしたら負けだ!

昨日おまけの夜の(柿沼キヨシ)さんのスペースで怖い話を聴いて触発されたので前に創作した怖い話を書こうと思います。
拙い文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。

ちなみに「ヴァルゲイル・シグルドソン」の楽曲がとても合います。 


視線


あるところに幼い姉弟が暮らしていた。
彼女たちはいつも遅くまで遊んでしまい中々家にかえらない。
その度にママが向かえに来てくれるのだった。

学校が夏休みに入り数日経つと彼女たちは時折人の視線を感じるようになったことに気がついた。
それは公園や街の通りでもどこにいても感じるのだった。
彼女たちはこの視線が一体全体「誰の、なんの」ものなのか分からなかった。

それから夏休みが終わった今も視線は変わらずそこにあるようにも思えた。

幼さゆえの妄想なのか、或いは本当に何者かに見られているのか。

ある日の学校からの帰り2人はすぐ家に帰らずに寄り道をして近所の森林公園に遊びに来ていた。
ひとしきり遊び1時間ほど経っただろうかという時に突然大雨が降り出した。
2人は慌てて遊具のトンネルに身を隠した。
夏も終わりに差し掛かっておりこの大雨で気温が段々と下がってきて2人はとても心細くなってきた。
近所とはいえ家まではやや遠いが走って帰るか。
しかし弟が風邪を引いてしまっては可哀想だし。
そんなことを考えていると(またあの視線だ)弟が呟く。
言われて私も視線に気がつく。
雨の音に混じって足音が近づいてきた。
それは自然の主だと思われた。
二人はますます不安になり抱き合い目を閉じた。

どんどん近づく足音。

通り過ぎてくれることを願う二人だがトンネルの目の前で足音は止まった。

誰かの呼吸音が聞こえる身をかがめてトンネルを覗き込んでいるようだ。

「もうお終いだ」

そう思った時。

(あななたち!ここにいたのね!探したわ)

ママの声だった。

二人はパッと目を開け声の方を見た。
そこにはいたのは紛れもなく二人の母親だった。

謎の視線などやはり不安が生み出す妄想の産物だった。

二人は安堵してママ!とトンネルから急いで這い出した。
ママは二人を抱き寄せ頭を撫でてくれた。
'こんなところ'にいても見つけてくれるなんて流石はママだなと姉は思った。

帰り道は疲れてしまって終始無言だった。

その夜姉はとてもとても怖い夢を見た。
それは誰かに話して聞かせるのも嫌なほどの悪夢だった。
目を覚ますともう昼だった。
起きあがろうとするも目眩がして起き上がることができなかった。
熱があるみたいだ。
今はこのまま寝てしまおう。
そう思って目を閉じて眠りつく。
ほんの少しあの視線を感じた気がした。

その日からいつもママが迎えに来るようになった。
今までは遅くなった時だけだっが今ではすっかり心配性になってしまったらしかった。

視線は今でも続いている。
不思議なことに2人でいる時に最初に視線に気がつくのは弟だった。

ここ最近、ママがすぐ迎えにきてしまうので2人は見つからなさそうな場所を選んで遊ぶようになっていた。
しかしどこで聞いたかママは必ず迎えに来る。
最初は友達の親に聞いたりしたのだろうと思ったが学校帰りではなく家から遊びに出て誰にも言ってない時なども迎えに来るのだった。

姉はムキになってここなら絶対に見つからないだろうというところに隠れた。
雨の日帰れなくなった森林公園のちょっとした山道の途中にある休憩所だ。
大人なら然程の山ではないがまさか子供が2人で登ったとは思うまい。
やっとのことで参道の休憩所に着いた。
弟とお喋りしながら持ってきたトランプなんかをして遊んだ。
話題に上がったのは勿論最近のママのことだ。
心配性すぎじゃないか、何でそんなに信用してくれないのだろうか。
そろそろ日が暮れる。
流石にまた帰れなくなっては目も当てられないので家に帰ることにした。
すると
(きた、、、)
弟が言った。
「本当だ視線だ...」
(ママだ)
「え、流石にここは」
そう言った時急に声がした。
(全くこんなところまできて!早く帰るわよ!)
足音も立てずにいきなり現れたママを見て姉は固まってしまった。
どうして?何でわかるの?
頭が混乱している。
今思えば視線の後にはほぼ必ずママが迎えにきていた。
視線の正体はママ?
だとしたら何故私達をずっと見ているのだろう。
(どうしたの?暗くなるから早く帰ろう?)
「うん、、」
言いようのない感情を抱えて帰路に着いた。

それから意識し始めると不自然にママが現れる。
不信感は募るばかりだ。
この頃は家にいる時も強く視線を感じるようになった。
弟はそれに怯えている。
家から離れると幾分か良くなるので今まで以上に外で遊ぶことが増えた。

ある夜のこと。
視線に耐えかねた姉は半泣きになっている弟を連れ出してこっそりと家を出た。
幼い子供を見守るのは当たり前かもしれない。
でもそれはそんな類のものではなく愛情の視線ではなかったのだ。
得体の知れない不安を与えるようなそんなものだった。

しばらく街を歩くと視線、後ろから足音が聞こえる。

(どこへいくの?)

ママの声だ。
でも振り返ってはいけない気がした。
きっとあれはママじゃない。
その確信だけがあった。
「いくよ」
弟の手を取って一心不乱に走った。
しばらく走りとある路地裏まで来た。

(どこへいくの?)

通りからママが現れたが姿は暗くてよく見えない。

走る、走る、走る走る。
もうどのくらい走っただろうか。
ふと横を見やると弟がぐったりしてしまっていた。
これだけは知ったのだ無理はないだろう。
「水を買ってくるからここで待っていてね」
そう言い残しすぐ近くのコンビニに入った。
水を買って外に出ると弟がいない。
「ねぇ、どこにいったの?」
返事はない。
すると背後からあの視線が迫った。
まずい、まずい、でももしかしたら弟が一緒にいるかもしれない。
意を決して振り返る。

そこにいたのは弟だった。

あの視線の正体は弟だったのだ。
頭がぐちゃぐちゃになった。
弟はこの視線が怖くて怯えていたのではないか?
弟からこの視線を感じるのは何故だ?
わけがわからない.....

(お姉ちゃん、、、、)

コツコツコツと足音が近づく。

(どこへいくの?)

謎の視線の主である弟とどこまでも追ってきたママに挟まれて私はうずくまって耳を塞ぎ強く強く目を閉じた。
消えろ、消えろ、消えろ消えろ。

どれくらいそうしていたろうか。

そっと当たりを見回すと私は一人だった。
最初からそうだったように。

外にいるのがたまらなく怖くなった私は家に帰ることにした。

きっと変な夢を見たからこんな妄想に陥ってしまったんだ。
家に帰ればいつもの弟とママが出迎えてくれるはずだ。
夕食の時間は過ぎてしまったけど許してくるはずだ。
家の前に着くと明かりがついていなかった。
「ただいま〜?」

((おかえり))

弟とママの声がどこからともなく聞こえた。
背後からは視線。
私は一目さんに部屋に逃げ込み布団を被った。

部屋のあちらこちらから声と視線が私に集まる。
もう響く声は何を言っているか分からない。

私は泣きじゃくり叫ぶことしかできなかった。

ふと目を覚ます。

部屋の中はもう明るくなっていた。
何だかとても散らかっているな。

それにとても変な臭いがする。

視線や声はもうなく恐る恐る部屋から出ると臭いがキツくなった。
「○○?ママ?」
弟の部屋の前に来た。
異臭がひどい。一体なんだ。ひどく頭が痛い。 
どびらを開ける。
そこには何だかよく分からない形をした弟を抱えた変な方向を見たままのママがいた。
ひどい耳鳴りに襲われた。
何一つとしてその光景を理解することができなかった。
一目さんに外へ駆け出し嘔吐した。
そこで彼女の意識は途絶えた。


最後まで読んでくれてありがとうございます!

今日はこの辺で!

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