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道しるべは心の負荷【どうやってゲームライターになったのか】

 ギリギリ滑り込みの投稿で申し訳ない。今月もうひとつのテーマである「どうやってゲームライターになったのか」という話については、正直おもしろい話ではない。……いや、別に暗い話ではないんだ。山あり谷ありの起伏に富んだ人生であれば、こういった機会に書き出すことで幾分かネタになるのかもしれないけど、山もなければ谷もない。少なくても自分ではそう感じてはいる。だから悲観的な話でもないのだけど、まぁともあれ聞いていってくれたまえ。

 大学は美大だった。といっても絵が上手いわけではなく、入ったのはいわゆる学芸員とかを目指す人たちがいる学部なので、入試に絵の上手さは関係なかった。それでも美大に入ったのは、そこしか受からなかったからだ。いや、受かったかな……? 正直そのあたりはよく覚えていないんだ。

 というのも、本来は別のプランがあったから。俺は中学入試組で、中高一貫の学校に入学した。で、その学校は大学もあって、内部試験に合格すればその大学まで直接行けたんだ。この文脈から察せられるとは思うけど、その内部試験で落ちてしまったんだな。外から普通に受験するよりは簡単な試験であると言われてはいたけど、俺の勉強パワーは中学入試のときに絶頂を迎えており、その後はゲームで遊び惚けてしまっていたのだ。

 ということで、確か不合格の発表があったのが高校3年の今くらいの時期だったと思う。大学入試まで数ヵ月しかないという段階で、初めて勉強をしなければならなくなった。

「さて、どこの学校行くべや」となったとき、当時から美術の授業が好きだったこと、つねに落書きをしていたこと等あり、親に美大とか受けたら? と言われたわけだ。もともと、内部受験で受けようとしていたのも美術学部みたいな、そんな感じのところだったしね。といっても、普通の学部は絵の試験があって(今からでは実力的に)受けられない。通常は美術予備校とかに行き、デッサンの練習とかをするものだからね。親もそれをわかっていたので、勉強だけで入れるところを探してきてくれた。

 正直、大学って何をするところかよくわかっていなかったし、「これがやりたい!」という目標もなかったので、言われるがままに受けたのがこの美大だったという感じ。

 なんとかギリギリで合格することはできたものの、実際に通ってみると、俺がイメージしていた美大は「絵の試験が必要な学部」のほうで、俺が入った学部については興味がほとんどわかなかったんだよね。

 といっても5年かけて一応卒業はした。1年留年しているのは、一時期サークル活動中心でスケジュールを組んだ結果、夕方~夜にかけてサークル、その後に深夜バイト、朝~昼にかけて寝るという生活になってしまい、まともに授業に出ていなかったからだね。

 大学も後半になると、就職どうすっか~というムードが出てくるのは美大も変わらない。今の美大はゲーム会社を希望する人も多くて、サークルでできた“絵を描ける人たち”がゲームやアニメなど、エンタメ業界に受かっていくのを見て、羨ましがっていた。俺は絵を描くのが好きだけど、練習をしてこなかったから、受かるほどの実力がないからね。といっても、別に落ち込んだりしていたわけでもない。それはそれ、これはこれ。

 ゲーム趣味をやめて、大学入ってからでも絵を描き続けるという選択肢もあったけど、俺にとってゲームは生活の中につねにあるもので、簡単に捨てられるものでもなかったし、そんな深刻に悩んでいたわけでもない。だってゲーム楽しいんだもの。俺は基本的に自堕落エンジンを内蔵しているため、“自分の心への負荷”、つまりストレスを生活の基準に置いている。

 これが就職活動にどう働くかというと、「朝9時出社の会社とか、通勤ラッシュに乗りたくないからナシだな~」とか、「営業とか、知らない人と話すのイヤだしナシだな~」と、自分がやりたくないものを徹底的に省いていく。

 一方で、“耐えられそうなもの”も考えていた。「ゲームに携わる会社であれば通勤ラッシュくらいは耐えられるかも」とか。そのバランスを基準に就活で企業を選んでいくわけだ。でも、そもそも就活という活動自体がそもそも面倒くさくなって、結局受けた企業は片手で数えるほど。

 当然すべての企業に落ちたので(一部は書類不備で試験すら受けられなかったけど)、フリーター生活を覚悟するよね。まぁフリーターをしつつ、自分がやりたいことについての技術を学ぼう、みたいな感じ。

 バイトをするにしても、自分の興味があることのほうが良い。そう思ってた俺が、ゲーム雑誌のアルバイト募集に興味を惹かれるのも自然なこと。ただ、見つけたのがアルバイトではなく、ライター募集の広告だった。それだけ。

 応募要項に「好きな作品について書いてください」みたいな文面が乗ってた。レビューだったか紹介用の文面を書くんだったかは覚えていないけど、まぁ書いて送ったわけだ。ちょっとアレなのは電撃PlayStationという雑誌への応募なのに、書いたタイトルが「Magic: The Gathering」と(確か)「Star Wars Galaxies」だったところかな。どっちも家庭用ゲームではないし、片方にいたっては電源ゲームですらない。それでも、書類選考・面接と終え、ライターとしての第一歩を踏み出したというわけ。

 正直、ゲームライターという職業は、今の俺の体感だと儲かる仕事とは間違いなく言えないし、時間拘束もでかい。何ならゲームをするのが仕事なのに、(まともに生きていこうとすると)そのゲームをやる時間がないという矛盾すら起こる。その辺り構造的な欠陥もある気はするけど、俺にとっては仕事でかかるストレス自体はそんなにキツくないんだ。だから今でも続けてる。

 好きだから続けられるっていうのは、環境次第ではマイナスに捉えられることもあるし、実際にそういう面がないとは言わない。俺も「労力は変わらず、今の2倍稼げる」くらいの条件であれば、ラッシュを歯を食いしばって耐え、転職を考えるかもしれない。

 でも一方で、最近はゲームライターが少し前に出てくるようになったおかげで、書いた記事への反応を見られるようになってきた。配信やこのゲームライターマガジンもそうだね。これはけっこう嬉しいもので、お金に代え難い(代えられないとは言わないけど)魅力がある。実際、俺がライターを始めてからも、ライターを辞めていった人が何人もいるけど、「この記事読んで気になって買っちゃいました!」みたいな反応があると、「んん~、もうちょっと頑張ってみるか!」みたいな気分になるんだよね。

 基本的にライターはフリーランスなので、取り巻く環境はつねに変化し続けていて、最近は特に同じことをやっているばかりだと暮らしていけなくなりそうだな~という流れがある。俺も、生きていくためにいろいろ模索していかなきゃいけない。でも、やっぱり生きていくなら、できるだけ楽しく生きていきたいじゃんね。

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