成功するキャンペーンについて自由研究してみた
こんにちは。
LAPRAS株式会社でPMMをしているnagasakoと申します。
LAPRASではこの夏、メンバーがそれぞれ自由研究したことを記事でアウトプットする「#LAPRAS夏の自由研究リレー」というものを進めています。
私もそれにのっかって今回は「うまくいくキャンペーン」について自由研究してみました。
商品やサービスの利用者を増やすためのアイデアとして、「プロダクトアイデア」や「コミュニケーションアイデア」、「アクセスしやすくするアイデア」など様々なものがあります。
プロダクトアイデアでどんどん多くの人を喜ばせる変化を起こしていければ最高ですが、現実問題さまざまな理由でリソースは限られており、そんな乱発はできないことが多いのではないでしょうか。
また、いくらプロダクトが良くても、それを知ってもらえてなかったり、正しい理解や共感を得られていなければ、非常にもったいないことになります。
コミュニケーションアイデアで、頭といくらかのお金を使えば、それまで商品を知らなかった人に魅力を知ってもらえる可能性があります。
知ってても使う気になっていなかった人に対しても、使ってもらえる機会を増やせるかもしれないです。
今回はそんなコミュニケーションアイデアに属する「キャンペーン」について、うまくいくためには何が必要なのかを分析してみました。
ここでのキャンペーンは「『商品やサービスの利用者を増やす』などの目的を達成させるために行う、一時的なコミュニケーションアイデア施策」としました。
LAPRASでもたまにキャンペーンを実施しています。
たとえば先月はこんなキャンペーンを実施していました。
今後も実施していきたいと思っています。LAPRASが気になる方はぜひご確認していただけると嬉しいです。
本題に戻ります。
お盆休みのなかの半日を利用して、キャンペーン事例を数百見てみました。
その中から、「うまくいっていそうだったもの」を独断と偏見で選び、「なぜうまくいっていそうなのか」を分析しました。
(本当にうまくいったかどうかはわかりません。世の中には対外的にうまくいったと言っていても社内では失敗だったと思っているものも山程ありそうですし、その逆もあるかと思います)
そしてキャンペーンがうまくいく要因として大きく5つにまとめてみました。
この5つを紹介してみます。
①ターゲットのやりたいことを叶える/やりたくないことをやりたくする
キャンペーンに参加してほしい方をここからは「ターゲット」と示すことにします。
1つめは「ターゲットがしたいことを叶える」「ターゲットがしたくないことをしたいと思わせる」というものです。一言でいえば「それをやりたい!」と思ってもらうものです。
たとえば、ロシアでワールドカップが開催された2018年、パナマ国は初出場を決めました。
その時にもしあなたがパナマで生まれ育った人だったら、「せっかくの初出場なので祝いたい、ぜひ現地でその興奮を見たい」と思うのではないでしょうか。しかし、開催はロシアなので、なかなか行くことは難しい人が多そうです。
そこで、マクドナルドのとある店舗が内装や外装をすべてロシア風に変えることで、ロシアに行きたい人がロシアに行った気分になれるというキャンペーンを行いました。
「ワールドカップをロシアまで見に行きたい」という願いを、店内をすべて変えることで、雰囲気だけでも味わえるようにしたのです。
やりたくてもできないことをキャンペーンでできるようにする、という考え方は、企画するときに役に立ちそうです。
一方で、やりたくないことをやりたくするものではこんな事例もありました。
「ふだん入ってみたいと思ってもなかなか入れない」場所に投票所が設置され、選挙に投票する人はそこに入れるというキャンペーンです。
クイズ番組のセットやコンサートホールのど真ん中などに設置され、投票する人はそこに実際に入ることが出来るというものでした。
「選挙は行ったほうがいいと思うが面倒くさい」という思いを、「投票すれば行ってみたかったところに行ける」というアイデアで克服しようとしています。
②サービスのベネフィットが最大限感じられる環境や方法を提供する
2つめは商品やサービスの役に立つ/凄いところを最大限に感じられる環境や方法をキャンペーンでつくるというものです。
たとえば、とても軽いダウンジャケットであるということを訴求するために、ドローンでそのダウンジャケットを飛ばし、捕まえた人にあげるというゲリラ的に行われたキャンペーンがありました。
https://adgang.jp/2018/11/168256.html
空に飛ばすことで、とにかく軽いことが印象的に視覚的に伝わります。たとえ直接見てなくても、動画で見るだけでも覚えてしまうのではないでしょうか。
商品の良さを最大限活かせる新しい方法を提案するものとしては、こんなものもありました。
https://koikeya.co.jp/news/detail/922.html
サクサクとした食感と素材の旨味がウリなすこし高級なポテトチップスのキャンペーンです。サクサクさと旨味が活かせるお茶漬けにして食べて欲しい、という提案をすることで、ふだんポテトチップスを食べない人も含めて興味を持ってもらえないかを試していそうです。
商品の良さを最大限に活かせる「思わず試してみたくなる方法」を提案することもコミュニケーションアイデアの1つとしてあるのだと思います。
③ターゲットが強い興味をもっている他のフォーマットに合わせる
3つめは既にターゲットが強い興味がある他のフォーマットに当てはめてみて、興味を持ってもらえないかと試みるものです。
1つめの「ターゲットのやりたいことを叶える / やりたくないことをやりたくする」と似てますが、そのまま叶えるのではなく、応用させているイメージです。
これはキャンペーンというよりは番組内での工夫になるのですが、AbemaTVが相撲番組で力士をトレーディングカード化して紹介した事例があります。
https://www.oricon.co.jp/special/51074/
相撲は面白そうだと思っても楽しむためには知識が必要そうに思えます。なかなかとっつきづらく感じてしまうものなのですが、ゲームが好きな層を狙って、もともと興味をもっていてとっつきやすいであろうトレーディングカード風に表示することで、楽しみやすくしていました。
ほかには、人気オンラインゲームの中に心肺蘇生法のやりかたを含ませて、心肺蘇生法を広めたキャンペーンがあります。
http://www.mif-design.com/blog/2019/06/03-08312151483.php
これはゲームの参加者を増やす目的というよりも、CSR活動なのかもしれないです。
認知率が低い心肺蘇生法をもっと多くの人に知ってもらうために、ふだん遊んでいるオンラインゲームの中で、キャラクターが倒れたときの方法として心肺蘇生法をやってもらうというものです。
ふだん楽しんでいるものに (邪魔にならないように) 入り込ませてもらえれば、自ずと興味が持ってもらえ、覚えてもらえるのではないかと思います。
④ツッコまれる要素を用意する
4つめはキャンペーンの中にツッコまれる要素を用意することです。
たとえばフォルクスワーゲンのAmarok V6 Ultimate 580というクルマが「Amarok V6 Ultimate 580」というキャンペーンをしていました。
テレビCMで走行能力を訴求したい。でもワイルドな走りをCMで表現してしまうと危険運転を煽っているという理由で放送規制がかかってしまうという背景がありました。
そこで規制がかかりそうな部分をおもちゃで代替していました。
商品の良さを表現したいという意思を強く叶えるために、トンチのようなもので克服し、強く印象に残そうとしているのだと感じます。(これは強いバランス感覚が求められそうですが...)
ほかには「雨の日はタクシー代20%OFF」という広告を雨の日にしか見えない方法でつくったキャンペーンがあります。
撥水スプレーで書いたものなので、晴れの日は何も見えず、雨の日になると弾かれた水滴で見えるようになるものです。
発見した人が思わず誰かに言いたくなるような、対象を限定的にしているキャンペーンは、結果的に幅広い人を対象とするよりもむしろ参加する人が多くなるのではないかとも感じます。
⑤リアルの場やアナログな物に変える
5つめはリアルの場やアナログな物でインパクトを残すというやりかたです。
たとえば商店街をまるごと人生ゲームにしたキャンペーンがありました、
https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20181105083/
商店街のお店を実際に人生ゲームのすごろくの要領で歩いていく街歩きキャンペーンです(これは人生ゲームの売上貢献もありながら、脱出ゲームのような街の集客企画の色のほうが強いのかもしれません)。
好評で、いまも全国各地で複数回行われているようです。
ふだん家の中でおこなっているような遊びが、広い日常の空間で出来ることは、非日常の体験になり印象に強く残りそうです。
また、看板やメニューに絵文字しか使われていないラーメン屋があります。(これは一時的なものではなさそうなので、キャンペーンではないのですが...)
スマホの画面の中でよく見るものが、リアルの場で出てくるととたんに興味が強くなる例なのではないかと思います。
以上、キャンペーンアイデアの5つのうまくいきそうな要素分析でした。
ちなみに
本当は「マーケティング・マネジメントをn枚のスライドにしてみた」という自由研究を書こうとしていました。
(めちゃくちゃ分厚いこの本です)
読みながらスライドを下書き程度に作ってみてもいました。
しかし、個人利用の範囲ではなく、インターネット上で不特定多数の方に内容を紹介するものとなるため、権利者の許諾・判断が必要になります。
原著出版社のPearson社さんに許諾をいただけないかと8月頭にメールをしてみたのですが、返信はもらえませんでした。。
ですので、もし許可をいただけた際には、「マーケティング・マネジメントをn枚のスライドにしてみた」という自由研究も書いてみたいと思います。
以上、お読みいただきありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。
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