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個展「ふうわりゆらり」

2023/11/18〜22
名古屋のギャラリーカフェテオさんにて
個展「ふうわりゆらり」を開催しました。

今年1年、展示は全て同じテーマで行ってきましたが
その一番最後の展示です。



ふうわり

ゆらり

近づいて

離れて

触れられない

けれど
確かにそこにあるもの



まずは会場全体の様子からどうぞ。
その後に、新作旧作 全て解説(?)を付けます。




今回のテーマは「終わりと始まり」「原点回帰」
そのテーマから、リメイクのような作品もございます。
そしてクラゲが好きで始めたアレコレなので
クラゲをとにかく描きたいという思いが強く、とにかくクラゲを描きました。
展示タイトルの「ふうわりゆらり」とは主にクラゲの泳ぎ方から。
そしてあちら側で漂う住人(海洋生物)達が自由に過ごしている様子から。
また、あちら側が もしかしたら存在していないのではないか。夢のようなものではないか、という不確かさからです。

私が描く全ての作品において、海洋生物達はあちら側(死後の世界)を漂う魂として描いています。

所々、説明の為に以前のnote記事を貼りますので
読みづらいやもです。先に謝ります。申し訳ございません。

ふうわりゆらり
ドローイング


あちら側の始まりから終わりまでの6つのシーンを5種類のクラゲとインクの色で表現した
抽象?作品です。
この終わりと始まりは、輪廻を意味しています。
描いたクラゲは左から
ベニクラゲ、インドネシアンシーネットル、タコクラゲ、ミズクラゲ、カツオノエボシです。


沈みゆく陽。(上)
始まりの波間と揺り籠。
眠りは旅立ち。

記憶の波。(下)
浮かぶのは、大切にしていた宝物。
共にふわり流れゆく。



深く深く。(上)
振り返る事も無く。
ただただ漂い。沈みゆく。


水底。(下)
その「シンカイ」ではただひとり
溶けゆく意識に身を任せる。



薄まる記憶。(上)
心地よくゆらめくは懐かしき思い出
やがて懐かしい声に包まれる。


青く、白い、懐かしき始まり。(下)
それは新しく生まれるものたちへ
泡沫のような祝福を。


各々好きなシーンを「ちいさなたからもの」として切り取り、大切にできたらいいな。
という思いを姫豆色紙のサイズに込めました。





あぶくのようなきおくたち

いつかの空に見たあの存在は
たくさんの記憶を背負って泳いでいる。


新しい表現にチャレンジしてみました。
ミニキャンバス をたくさん並べてクジラを表現した作品です。
なかなかクジラらしい形にするのは難しいですね…。
ミニキャンバス達は「ちいさなたからもの」達です。
その中でクラゲ達は様々な記憶を内包して自由に泳いでいます。
月はハンドメイドイベントでパネルを借りた時に飾ったものを使いました。

「あの存在」の事も記憶として薄れてしまっている。
と表現したかったのではっきりとは描かず
なんとなくクジラに見える形に、とクラゲのミニキャンバス達を並べました。

また、右上の月は角度により青く光ります!
が、展示会場的に色々な角度で見れません。
申し訳ございません。



くゆる


けぶる

2対の絵です。

クラゲを煙のように、ゆらめかせて描きたい。というとこからこのタイトルになっています。
くゆるは女性の手
ふわりと手放すイメージで描いています。
色が白っぽく、ひび割れている所からこれからあちら側に行く人を表してます。

けぶるは男性の手をモデルにしてます。
するりと落としてしまったようなイメージで描いています。
こちらは血色良く描いています。
こちら側に残る人です。
2つ合わせて、こちら側とあちら側。
2人の別れの絵となります。

以前描いていた「little sea moon」のシリーズと同じような作品です。





ゆらめくこころ

こちらもクラゲを煙のようにゆらめかせて描いています。
こちらはがっつりと「little sea moon」のシリーズと同じ感じです。
クラゲが角度を変えないと見えないようになっているのは
手の主は気付けないけれど、確かにそこにいる。
という表現の為です。



月凍る夜の窓
   舞うは香雲の鯨
(つきこおるよるのまど まうはこううんのくじら)


幸運を呼ぶと言われているクジラに出会うため
満月の夜、扉を開く。 

今年の春、東京のサトウ画材さんでの個展「ふうわりゆらり〜prologue〜」で展示した絵です。
今年一年のメインテーマ作品です。

表現しているのは
こちら側の終わりと、次に向かうはずのあちら側。

香雲は満開の桜の景色を雲に例えた言葉。
それと幸運をかけてます。
香雲を泳ぐ薄いクラゲ達はこれから生まれ変わる魂達。

この絵を見ている人が
あちら側に想いを馳せている、こちら側の存在。
となれる作品を目指しました。
ですが実際この絵を見ている方々は窓に阻まれてあちら側には行くことはできません。
でも、今、この幸運の鯨の目に映った事で
その時来て窓があいたら鯨が迎えにきてくれる。
きっと。

と、あちら側に焦がれる絵です。
去年の個展「シンカイ」で、展示会場をあちら側と繋げるような空間を作りました。
それが、今回は閉じています。
そこも、この絵のコンセプトを表現できていたらと思います。




「献花」の「献」です。
初個展の時に描いた絵「Cerulean ⇄ Flow」を元に描きました。
(詳細は↓へ)

別れた後なので以前とは違い手が描かれていません。
このクラゲは祝福の花をを抱えたまま、相手を忘れないまま、ずっとこちら側とあちら側の狭間を漂い続ける子です。

旅路

久しく描いていなかったオニイトマキエイを描きました。
ただ描きたかった。それだけです。
羽ばたくように泳ぐエイの群れは長い旅をしそうだな。という印象から。
実際は遠くまでは行かずに生まれた海域周辺で過ごすとか。

月想フ

ただラブカが描きたかっただけです。
ラブカは月を手にしたい。
けれどその目にはっきりと月は映らない
届かぬ月を想いながら漂うだけの存在。

元ネタはこちらに展示したラブカです。



錦秋

秋の空を泳ぐミズクラゲ  です。
10月頃の空の色を描きました。

春に東京のサトウ画材さんで開催した展示に「霞の衣」と「月冴ゆる」という
春と冬の空を泳ぐ作品を描きました。
それの秋バージョンです。
錦秋とは「木々が紅葉して、にしきのように美しい秋」の事。
錦→金とも考えたので
角度によりクラゲが金色に見えます。
また角度を変えづらい場所に展示してあるので
手にとって色々な角度から見てください。

くらげさんとおはなシリーズ

くらげさんとハナミカヅキ


春の花  夏の花  秋の花  冬の花


新しいくらげさんとおはな です。
季節の花を三日月の形にあしらってみたら
くらげさん 達が気に入って近づいてきてくれました。


ホワイトローズ

〜prologue〜の時に出したくらげさんのいる景色です。

単体なお花とくらげさん!
ではなく、くらげさんがそこにいる景色を描きました。
とある曲をモチーフにしてます。
コピックマーカー独特の鮮やかさで作られる澄み切った青空がとっても良い空気を出してくれました。


スズラン






椿

今回の立体くらげさんとおはな は3点です。
スズランは〜prologue〜の時に作ったもの。
菊は、一番最初に作った立体の話が菊だったのでいわばリメイクです。(その時は紙で作ったものでした)
椿はこれからの季節なので、ちょうどいいかなと。
どれもUVレジンで型無しで作ったものです
(スズランの一部だけ例外)



夜行船

以前にも展示していた、立体のカツオノエボシをUVレジンで製作し標本のように額に閉じ込めた作品です。
背景は夜空、中で揺れるカツオノエボシは
ふわふわ進む船のよう。



累々シリーズ

累々
(かさねがさね)
累→しばられて離れないもの。
アクリル板を重ねて表現するところと
この生物にはこの花。とイメージが縛られてしまっているところからこのシリーズ名を付けてます。


花あかり

花あかりは夜桜の別名。
夜桜と共に舞うクラゲは綺麗だろうな。
と描きました。
下に向かっているのは 桜の下には…の話から。
元ある場所に戻ろうとしているのは
生きたいと願う心か。



優しい夜

テオさんで個展をやり始める以前に描いた
アオウミガメと鉄塔と満月の絵のリメイクです。
(流石に前すぎてちゃんとした写真がありませんでした)

ミモザは個展「青と紫と」の時に描いた
望月・蛍火(ぼうげつ ほたるび)という作品から
蛍火をイメージして。

ミモザの花言葉の「思いやり」
また険しい顔をしつつもゆったり泳ぐ姿から
優しい印象を感じるアオウミガメから
このタイトルをつけました。


百花の王

牡丹とシロナガスクジラ
百花の王とは牡丹。
圧倒的な存在の牡丹とシロナガスクジラは
まさに、王のようだと
組み合わせました。
額装も込みで、まるで花札のような姿になったところが気に入っています。


朽葉

紅葉とホウライエソ
朽葉とは落ち葉や枯れ葉。朽葉色から。
栄光が朽ちてしまい深くに追いやられるも
なお牙を剥く存在。
秋色の背景にシュッとしたエソが似合うと思って描いた物です。


桜の夢に惑う

いつかの桜の記憶から生まれた夢に惑い、舞泳ぐ魂(金魚)
ついつい描いてしまう桜と金魚の組み合わせです。
背景色は、夜をイメージして
また、惑うの印象からムラになるように染めました。
惑うと舞泳ぐの両方の印象から桜を金魚より後ろに配置してます。
この金魚は水面に映っているのか、空を泳いでいるのか。


六花

「むつのはな」と読みます。
雪の結晶とクリオネ
六花とは雪の別名。
暖かくなる前に凍えてしまった幼子達の魂。
産まれてくる前に死んでしまった子供達があちら側で漂う姿です。



星見草

菊とイルカ
星見草とは菊の別名。
口角が上がっているように見えるイルカはニコ。
真実を知りたがる者で、ヨミの恋人。
また、白い菊の花言葉は「真実」です。

ニコとヨミについて↓




無題シリーズ

個展「シンカイ」の時に描いた抽象が作品です。
「無くしてしまった記憶達」
なので
共通タイトルが「無題」です。



-無題-
宵ノ夢ニ見タ草花
(よいのゆめにみたくさばな)
「いつかの夜にみた気がする花の夢」

桜の別名で「夢見草」という呼び方があるところから描きました。
おぼろげでふうわりとした
記憶とクラゲを組み合わせています。



-無題-
夜闇ト波音ノ狭間ニ
(よやみとなみねのはざまに)
「あちら側にいく前に、どうかもう一度」

あちら側とこちら側が最も混ざりやすい海。
まだ迷いがあるためか空と海は混ざらず、
白い飛沫が境界を引いている。



-無題-
傾慕ノ心ニ永訣ヲ
(けいぼのこころにえいけつを)
「永遠の別れを告げ 狭間から旅立つもの」

思いを断ち切り、あちら側…死の世界へと
旅立つ魂。
そしてこちら側、生の世界ではその者の痕跡は泡のように消えていく。



まいちる。



しぼむ。

〜prologue〜の時に出した物です。

まいちる。 は 桜と菜の花
しぼむ。 は 藤と朝顔

のイメージで背景色をつけています。
そこに、それぞれモチーフにした花の枯れる姿の印象でクラゲを描きました。



繊月・淵源 
(せんげつ えんげん)

個展「シンカイ」の時の絵です。
夜の始まりの空と
まだ生まれ始めた月。
そこから流れてくるミズクラゲ
ミズクラゲ  にしたのは
源、という意味から一番スタンダードなクラゲにしたかったからです。
何枚かあった月のシリーズの絵の一枚。



彼誰
(かはたれ)

個展「青と紫と」の時に描いた絵です。
あちら側を管理する「ヨミ」という少年の本当の姿。
生前はイルカ、現在は骨のイルカです。
あちら側に迷い込んだ人には
人の姿で会いに来ます。
彼誰とは
「彼は誰時」(かはたれどき)
あれは誰だとはっきり見分けられない頃。
はっきり物の見分けがつかない薄暗い時刻。
夕方を黄昏時というのに対し、明け方という意味。
明け方の背景に
はっきりと見分けがつかない
3つの姿をもつヨミを合わせました。



灯台

こぼれ落ちきってしまう前に
見つけた導。

迷子のチョウチンアンコウちゃんです。
今回は骨の形で登場。
〜ensemble〜の時に描きました。
テオさんでの2回目の展示の時に描いたチョウチンアンコウが元です。
(こちらはnote記事がまだできてないので写真を)

元々は交通事故で無くした相手を
こちら側とあちら側が混ざり合う雨の夜に
やっと見つけた。
という絵でした。
今回のチョウチンアンコウはきっと
たくさんあちら側で迷った末にやっと道導をみつけたところ。です。

(ちゃんとまた、いずれ、テオさんでの2回目の展示の記事書きます)





「・-・・ ・・-・- -・-・- -・・-」

小さな窓の奥の奥にいる存在。
いまでは深い深い底に存在している。

彼の名前は「ヨミ」

彼は海を愛して、海と一緒にいるために沈み
その身を海に預けた人間。
そして沈みきった深海から
自らの国をつくりました。

それが あちら側、ヨミノクニ。


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展示会場のギャラリーカフェテオさんでは
今年もコラボメニューを作っていただきました。

それがこちら。


以前見た物と似てますね?

こちらも、リメイクとなります。
以前はくらげさん アイスの下がコーヒーゼリー(寒天)でしたが
今回は個展タイトルにちなんで ふわふわなケーキを入れてもらいました。
去年のおやつセットについてきた
テオくらげさんクッキーもいます!!

そしてこのデザートにはさらに……が付きます!
その辺りは来場者さんのSNSの投稿とかを見てみてください。
#ふうわりゆらり  で検索したら見れる…と思います!!

また、会場内で流れているBGMは毎度恒例
実兄に作っていただいたものです。
そのBGMを私が聴いた印象では
今回展示した作品の子を思い浮かびました。
どの子のことかは、会場で直接私に聞いてみてください。

==========
今年は年間通して同じテーマで
合同、企画展も合わせて4回展示を行う事ができました。
とても感謝です。
また来年も、元気に作品を作っていけますように。
ここまでお読みくださりありがとうございます!!