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私はおっさんにセクハラしているかもしれない

先日、職場での出来事。

私の上司である50代のおっさんが、人事の業務で高校生と面接をして事務所に戻ってきた。そしてパソコンで作業をする私に「今日面接した高校生、セーラー服だったよ」と言った。

その時、私が真っ先に思ったのは、「このエロに発展しそうな会話、どのように対応しようか」ということだった。

「え~? 部長そんなこと考えて面接してたんですか~?」とイジるか、「そういう目で見てるとセクハラって言われちゃいますよ」と軽く忠告するか。

考えを巡らせながら、「へえ、セーラー服だったんですか」と得意の時間稼ぎリピートを繰り出す。さて、何を言ってくる?どうする?身構えていた私に上司は、「珍しいよねえ、最近セーラー服の学校あまりないんじゃない?」と言った。「そうですねえ、珍しいかもしれませんね」と返すと、上司はそれ以上は特に何も言わず、会話は終了した。

上司は、「今日面接した高校生がセーラー服だった」としか言っていない。

別に「セーラー服っていいよな!」とか「やっぱセーラー服カワイイ!」とか、ましてや「ちょっと興奮しちゃったよグフフ」などと言ったわけでもない。自分の青春時代を思い出して懐かしかったのかもしれないし、最近セーラー服の学校が減って単純に珍しかったから言ってみたただけかもしれない。というか、この会話の内容ならそのように受け取るのが本来自然なのではないだろうか。

その上司は普段、「結婚はまだ? 選んでる暇ないんじゃない?」などと余計なことを言ってきたり、飲み会の席で若い子に下ネタを言い、「ちょっとー!」と怒られてニヤニヤしていたりと、正直、セクハラ防止意識が高いとは言えないタイプのおっさんではある。

とは言え、おっさんが「セーラー服」と口にしただけで、エロいことを言おうとしている、または考えている、と決めつけたのは私である。

これは立派なセクハラではないだろうか。

飲み会で下ネタを話すようなおっさんなので、もし私が「そんなこと考えて面接してたんですか?」と返していたら、ノリノリでグフフな発言をしていた可能性も大いにあるとは思う。でも、もしかしたらグフフな発言をしつつも、「あれ?今そういうつもりで言ったわけじゃなかったのに。まあみんな笑ってるしいいか」なんて内心ちょっと傷付いたりするかもしれない。

人は他人からの発言に多かれ少なかれ影響を受けると思う。相手の発言に応じて、誇張したり、自虐したり、つい不本意なサービスをしてしまうときが私にもある。

それをおっさんに置き換えてみると、「おっさんってこういう感じでしょ?」という周りからの空気を読んで、おっさんもおっさんを演じている部分があるのではないだろうか。私が「おっさんはすぐエロいこと言う」という趣旨の発言をすることにより、それを聞いたおっさんがエロいことを言うようになってしまう。そういうことが少なからず起こっているのではないだろうか。おっさんをエロいものとする固定観念が、おっさんのセクハラを助長する原因の一つになっている可能性はないだろうか。

もちろん、世の中全てのセクハラに当てはまるような話ではない。これはあくまで私とおっさんの話だ。私はおっさんをフラットな視点で受け止め、セクハラなしのお付き合いをしていこうと思う。


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