マガジンのカバー画像

お通しです。

15
とりあえずの気持ちで読んでほしい。
運営しているクリエイター

#表現者たちのエッセイ展覧会

食べられるさかな

その日、私は仕事帰りにとある店の暖簾をくぐった。そこは店主が一人で切り盛りする小さな居酒屋で、メインは焼き鳥だが魚介の品揃えも豊富。仕入れによって変わるメニューの数々は酒飲みを飽きさせない工夫に満ちており、もはやその存在自体が酒盗とも言える私のお気に入りの店のひとつであった。 私はいつも通り生ビールを注文し、すぐさまお品書きを手に取った。最高にそそるラインナップに胸を高ぶらせ、うきうきと眺めていたその時、衝撃が走った。お品書きの最後の方に「それ」はあった。あったのだ。 「