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9/20 高校の話(再掲)

先日、「もうnoteはネタ切れだよ〜ぴえん🥺」と嘆いていた時、スペースで高校の話をしたらめちゃめちゃ盛り上がった。
そういえば私は「高校」という爆弾を持っていた。


東京都教育委員会の調査によると、2020年度公立中学等卒業者の高校等進学率は98.52%になる。
全国的にみても98.8%。
現代に於いて高校進学はマジョリティである。

では何故、私にとって「高校」が爆弾ワードなのか。


例に漏れず高校に進学したが、入学早々いじめられてしまい、夏休み前に退学した。
夏休み明けからどうするかと考えていた時、随時転校生を受け付けている摩訶不思議な高校を親が見つけてきた。

車で見学に向かった時、校内にいる生徒が全員車に向かってお辞儀をしてきたことで、まるで自分が皇族にでもなったかのような錯覚に陥る長濱。
この時点で父親は高校を気に入り、母親はダブらずに全日制で制服を着て高校生活を送って欲しいという考えがあったことから見学当日に形だけの入試を受験。
すんなり合格した。

ここまで聞くとかなりスムーズで、再スタートは無事に切れたように見える。

しかし私はこの背景にある重大な問題を忘れていた。


この高校はダウンタウン浜田雅功氏が在学し、今田耕司氏が2度脱走した末に退学した某高校だったのだ。


当時はこの高校が周知になる「水曜日のダウンタウン」で取り上げられる前のため、私は現実を知らなかった。


そして私の学園生活が始まる。


よく、虐待を受けていた子どもは自己防衛のために虐待の記憶に蓋をして思い出せなくなる、と聞くが私の高校生活がまさにそれである。
高校生活、正直覚えていない。

というわけで、鉄板ネタだけまとめておく。


①恋愛禁止

鉄板中の鉄板。交際がバレるとお呼び出しをされ、大体が停学になり、自宅に帰され、酷い場合は退学になる。
それでもお年頃だ。交際に発展することだってある。
月に1回の帰省で地元で会う事はできるが、それまで1〜2ヶ月はまともに会話もできない。

そこでするのが「密会」だ。
密会というのは人がいない非常階段や山奥で2人きりで会う事である。
密会スポットがあり、そこでなんやかんやするとかしないとか。
私はしたことがないのでわからない。

しかし、この密会スポットは先生たちが随時巡回しているのでバレたら終わる。

男女交際に敏感な空気が漂うため、たとえ大勢がいる場所であったとしても男女が2人でいるというだけで噂を流されるし、すぐに先生の耳に入るし、即効で呼び出される。

上記のことに加えて私が転校する前に男女関係のいざこざがあったらしく、男女の仲がめちゃめちゃ悪かった。

長濱も実は2年程お付き合いをして共に卒業した彼氏がいた。
付き合っている事は完全にバレていたが、むしろ密会をせずに堂々としていた事で監視がしやすかった事が功を奏して大目に見てもらえていた。

先生、ありがとう。


②いろいろ持ち込み禁止

まず現金。脱走資金になるからだ。
学園内では3000円のプリペイドカードを支給される。
足りなくなったら申請して配られるというシステムだ。

現金は帰省当日、申請した交通費として貰える。
帰校した日は財布の中身をチェックされ、余っている現金は親の口座に振り込まれる。多分。

大学進学後、セリアに行って現金で支払いをした時、自分のお金で自由に買い物ができることに感動したのを覚えている。

次にカップ麺等の炭水化物も持ち込みも禁止だった。
確か学食を食べなくなるからという理由だった気がする。
学食のご飯はまずい。限りなくまずい。

なんの肉かわからない灰色のソテーや、湯通ししてビタミンが喪失したサラダ、卵とじという名の吐瀉物のようなおかずなんて当たり前だ。
冬になればおかずは一部凍っていた。
栄養があったのか謎である。


この頃のBMIは17.5。
足は棒のようで、完全に栄養失調だった。
それもそのはずで、学食で1番食べていたのは白米に醤油をかけただけの醤油ご飯。
これが一番美味しい世界が、想像つくだろうか。

卒業間近の頃、朝ご飯に温泉卵と納豆が同時に出た事があったが、あの時は盛り上がった。
納豆卵かけごはんが食べられるなんて、3年間で1度も無かったんだもの。

卒業後に初めてカップ麺(カレー味)の作り方を友達に教えてもらって食べた時、この世にこんな美味しいものがあるのかと泣いた。
たしかにアレがあったら学食なんて食べなくなる。

また、ケーキなどもダメだった。
まあ生物だし持ち込んで保存することもできなかったけれど、いつでもケーキが食べられる環境ではない。

18歳の長濱はどうしてもケーキが食べたい日があった。
たまたま友人と親が面会(刑務所ではない)をしていて、下界(高校の門外の世界のこと)に出かけていた日に、頼むからケーキを買ってきてくれ、と頼み込んだ。

安いケーキでよかったのに、友人はわざわざケーキ屋さんで立派なロールケーキを買ってきてくれたのだ。

それを埃まみれの掃除用具入れの中で食べた。
バレたら取り上げられるし呼び出されて怒られるのは確実だ。
それでもどうしても食べたかった。

下界の人間は、ケーキを食べたい日にケーキを食べられる。
お母さんに夕飯これ食べたいとリクエストすれば好きなものが食べられる。
スタバで新作を飲むなんて有り得ないことだった。

掃除用具入れで食べたロールケーキはめちゃめちゃ美味しかった。


③I字型カミソリ持ち込み禁止
自○防止。T字カミソリを改造する強者もいた。


④伝達式
最も伝統的な催し物。
先輩から後輩へ、後輩から先輩へ。
全↑力↓(※)の精神を伝達していく。
卒業式の前に退寮式を行うのだが、その1週間前から伝達していく。

真冬の極寒の体育館。全↑力↓の精神で乗り越える。
この時、とんでもないくらいの大声を出すので大体喉を潰す。
喉を潰して一人前まである。

そして応援歌を腕を振り上げて絶叫並みに歌う。
音程は二の次で良い。

これをしっかりしないとクソ怒られる。
酸欠でぶっ倒れる生徒もいる。

私はこの伝達式終了後、無事に喉を潰し、インフルエンザに感染したのだった。
この時リレンザの有り難みを知った。

※全↑力↓とは
学園に伝わる精神のこと。下界で言われる全↓力↓は持っている力を出す事、学園で言われる全↑力↓は持っている力以上の力を出す事である。
各教室に全力と書かれた額縁が飾ってあり、私たちは常に全↑力↓の精神で生活をする。多分。

他にもいろいろあった気がするがよく覚えていない。

公に言えないこともあるし、訴えたら勝てただろうなという話もある。
(インフルで隔離されたことを忘れられて食事が提供されず死にかけたことなど)


それでもこの高校に行った事は後悔していない。

転校する前の高校にずっと居たっていじめられた辛い記憶だけが残っていただろう。
少なくとも転校先ではいじめられる事はなかったし、人間関係で悩むことも無かった。
クラスが違っても、女子寮は全女子生徒がいるためみんなと仲が良かった。

もしもこの高校への進学を考えている方がこのnoteを読んだら怖気付くかもしれないが、私はこの学園最後の卒業生だ。

この後から高校の名前は変わり、恋愛についてもある程度は許されるようになり、校則自体かなり緩くなったと聞く。
学校名義とは言えiPhoneも配られるし、SNSも自由だ。

寮生活で集団行動を求められるのは仕方のない事だ。
辛いこともあるけれど、達成感を得られる学園祭もあった。

今でも連絡を取り合う友人もいるし、その友人たちは大学を卒業して立派に社会人をやっている。
「あんなところ行かなきゃ良かった」という話にはならない。

思い出話に花を咲かせるのはどの高校に行っても同じだろうし、辛い記憶をわざわざ掘り起こすような自傷行為をする必要はない。
そのため、楽しい思い出だけが私たちには残っている。


まぁ生まれ変わったら絶対に行きたくないけれど。



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