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ひとりアカペラ素数カラオケRTA

 ひとりアカペラ素数カラオケRTAを行います。これはその名の通り、伴奏なしのひとりカラオケで採点歌唱を行い、点数を1000倍した数値が素数になるまでの時間を競う競技です。残念ながら実際の競技状況の動画を添付ないし投稿することはできませんが、今回は代わりにスクリーンショットを付しておきます(スクリーンショットなら大丈夫というわけではありませんが、まあ大丈夫でしょう)。

 今回使用した機器はJOYSOUND MAX 2で、採点モードはJOYSOUND 分析採点マスターです。また、今回のレギュレーションでは事前に採点モードをONにすることが認められていて、ON状態で「曲を選ぶ」タブの「曲名」を選択し、画面が切り替わった瞬間にタイマースタートとなります。

(なんのシリアルコードかわからないけど一応隠しておくか)

 現在知られている中で最も演奏部分が1番短いとされている『角川ザ・テレビジョンのロゴ / 茂木由多加』(選曲番号139706)を歌います。(歌唱部分が1番短いのは『You Suffer / NAPALM DEATH』(選曲番号501123)だと思われますが、こちらのカラオケバージョンは原曲とは異なり、全体で見ると恐らく『角川ザ・テレビジョンのロゴ』より少し長いです。)『角川ザ・テレビジョンのロゴ』は検索欄にて「かと」まで入力すれば十分です。ここまでのタイムは1.16秒です。


 所期の曲名を指先で弄するのですが、カラオケ機器は得てして反応が悪く、タイムロスに繋がる可能性が高いです。確実に反応するように注意しましょう。通説では、この反応と遷移速度には日頃の行いが関わってくると言われています。

 検索画面から楽曲の詳細画面に遷移して右下の「予約」を愛撫し、「一曲目に予約できました」の文字が視界を蔽っていれば成功です。ここまで3.51秒もの歳月が経過しました。

 走者の注意は予約端末から採点画面へと移ろいます。ここから歌唱部分が来るまでの約27秒間のうちですべき事はありません。画面に映し出される風景で一句詠むなどして暇を潰しましょう。

原キーと花の散るらむ時過ぎて 今は空すら低くなりきな

 さて、歌唱部分ですが、ここで素数定理より、$${x}$$以下の素数の個数を$${\pi(x)}$$とすると、$${\frac{\pi (x)}{x} \sim \frac{1}{\log x}}$$が成り立ちます。即ち、点数が低ければ低いほどそれが素数である可能性は高まります。よってできるだけ低い点数を取るべきとなるのですが、今回のレギュレーションに於いては、何も歌わなかった場合には「採点に失敗しました」と表示されてしまうので、何か歌う必要があります。更に、音程を外しすぎることも叶わず、この場合は最終得点が必ず$${50.000}$$ 点になってしまいます。これは$${1000}$$倍すると$${50000=2^4 \cdot 5^5}$$より素数ではない為、徹底して避けなければなりません。

 したがって、中途半端に音程を合わせて「$${50.000}$$より少し高い」程度の点数を取るのがベストとなります。今回の歌唱(2023年4月8日)では、いきなりめちゃくちゃ変な奴になることで中途半端に音程を合わせることに成功しました。今回の挑戦での歌唱は30.21秒から32.71秒にかけて行われました。歌詞をよむ必要はありません。



 歌唱を終えた後、あとは点数をみるだけとなります(そのタイミングで演奏中止をしても点数表示までの時間は変わらなそうです)。表示画面に遷移した時点で43.95秒が経過しています。43.95秒だけ、死が近づいてきている。この小さな箱の中でも、少なくとも僕にとっては、時間はいつもと同じように進み続けるらしい。そのとき僕は僕を取り巻くぶんの世界を手際よく覆っていく嘔気に気が付きそうになっていたが、精一杯搾り取ったこの散逸の滴をもって、この不条理な営みを続けることにした。点数表示のテクニック分の加点が終了して総合得点が確定したタイミングで素数が表示されていればタイマーストップ、無事クリアとなります。この時の挑戦では1回目で素数である58231を引き当てることができ、今回のタイムは47.83秒となりました。感想とかはありません。

 いかがなりきや?このふみ、或いはわざが良かりきと思はば、いかにもみなもこれしたまへ。かたじけなくさうらひき。

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