「問題の深堀」に関する例え話

若手研修や、新任管理職研修などで、「問題の深堀」の重要性について私がよく例に挙げるのが「腹痛」です。トヨタの「なぜを5回繰り返す(なぜなぜ分析)」はあらゆる階層の問題解決の代表的手段ですが、それを分かりやすく説明したいと考え、例として挙げています。

ちなみに、本当のなぜなぜ分析を使いこなそうと思うと、量稽古も必要ですし、要因がどんどん枝分かれしていくことがあるため結構大変です。研修の段階では、表層的な解決策に飛びつかないことが重要、という趣旨で話をしていますので、かなり単純化しています。

よく話をする例は以下のようなものです。

お腹が痛いときに、お腹が痛い理由を考えずにすぐに胃腸薬を飲んでも、そのときは痛みが治まるかもしれませんがまた繰り返してしまう可能性もあります。典型的な対症療法です。ひとまず胃腸薬を飲んで腹痛を抑えつつ、もう少し深堀りして腹痛の原因を探ってみたらどうでしょう?お腹が冷えているのでしょうか?古くなったものを食べてしまったのでしょうか?それが分かるとお腹が冷えない服を着る、食べ物の賞味期限などを確認するといった、薬を飲むだけよりは効果的な対策を考えることができます。しかし、まだまだ対症療法の範囲内です。古くなったものを食べてしまった、という点についてさらに深堀りしてみると、冷蔵庫が故障して充分に冷えなくなってしまっているのかもしれません。そうではなく、いつも買い物をするお店に陳列されている商品は賞味期限間近のものが多いといったことが分かるかもしれません。そうしたら冷蔵庫を買いなおす、他のお店で購入するという手を打つことができます。

このように少し深堀りするだけでもより良い対策を考えることができることが分かります。例がとても単純なので簡単に見えてしまうかもしれませんが、ビジネスの現場で実践するためには訓練が必要ですし、多少の深堀はしていても、自分が見たくない現実を避けたりしているかもしれません。それ以前に、腹痛のときに胃腸薬を飲むだけの方も意外と多いのではないでしょうか。



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