見出し画像

WSL2にInternetからssh、を試してみる

自宅のWSL2の環境に外部からsshする必要があったので、構成をいろいろと考えていて、いったんできたので記録に残す。

構成

自宅のPCに直接sshログインするにはいろいろと敷居が高い(固定IPアドレスやらなにやら)ので、ここウン十年近く運用しているVPSを踏み台として、繋げようと思い立つ。

構成図はいうのような感じ。

+-----+
|     |
| PC  | @anywhere
|     |
+-----+
   |
[Internet]
   |
   v ssh
+-----+
|     |
| VPS | @ホスティング事業者
|     |
+-----+
   |
[Internet]
   |
   v ssh 
+-----+
|     |
|Win/ | @自宅
| WSL2|
+-----+

まず、VPSとWSL2との間をなんとかして、繋げなければならない。

Remote Port Forwarding

こういうとに役立つのがsshのport forwarding機能。つまり、WSL2からVPSに対してsshコネクションを張る。このとき、remote port forwardingを行うことでそれを実現する。

つまり、以下のようにVPSのsshd(port: 22)にssh接続するわけだが、

+-----+
|     |
| VPS |
|     |
+-----+
   ^ port: 22(ssh)
   |
   |
   |
+-----+
|     |
|Win/ |
| WSL2|
+-----+

このときに、「VPSの特定portを叩くと、WSL2の特定portに繋がる」ように指示するのである。sshコマンドを叩いたWSL2から見るとVPSはremoteである。だから、remote port forwardingと呼ばれる(はず)。

以下の図のように「VPSのport: 10022 を叩くと、WSL2のport 22に繋がる」という接続をしたい場合、

+-----+
|     |
| VPS |
|     |
+-----+
   | port: 10022
   |
   |
   v port: 22(ssh)
+-----+
|     |
|Win/ |
| WSL2|
+-----+

WSL2上で叩く ssh コマンドは以下となる。

ssh -R 10022:localhost:22 VPS

こうすることで、外部からVPSにssh loginさえできれば、VPS上で

ssh localhost -p 10022

と叩くことでWSL2に接続出来るようになる。
あ、もちろん、WSL2上で sshd が動いている前提です。

Port Forwardingの永続化

ここまででも繋がるのだが、sshのコネクションが切れる可能性があるということ。切れてしまうと、sshでWSL2に入れないので、Port Forwardingすることもできない。

Port Forawrding自体も常に動くように設定すれば解決ですね。

以前は、このようなサービスの永続化をするときには(私は)DJBのdaemontoolsを使用していましたが、それはもう過去。いまは systemdがありますから、それを使うことにしましょう。

こんな感じに serviceファイルを /etc/systemd/system 配下に作成します。

$ cat /etc/systemd/system/secure-tunnel@.service
[Unit]
Description=Setup a secure tunnel to %I
After=network.target

[Service]
ExecStart=/usr/bin/ssh -o StrictHostKeyChecking=no -F /etc/default/secure-tunnel.config -NT %i

# Restart every >2 seconds to avoid StartLimitInterval failure
RestartSec=5
Restart=always

[Install]
WantedBy=multi-user.target

sshコマンドの引数 -Fオプションで指定しているconfigファイルの中身は以下です。

$ cat  /etc/default/secure-tunnel.config
Host VPS
   HostName VPS.example.jp
   Port 22
   User VPS_user
   IdentityFile /secure/path/to/VPS-id_ed25519
   RemoteForward 10022 localhost:22
   ServerAliveInterval 60
   ExitOnForwardFailure yes
$

Hostname, Port, User, IdentityFileなども含めて例示ですので、適切に変更ください。

さて、この作成したサービスファイル secure-tunnel@.service を systemd に登録することでport forwardingの永続化がじつげんできます。
WSL2上で叩くコマンドは以下。

sudo systemctl enable --now secure-tunnel@VPS

ポイントはアットマークの後ろ。/etc/default/secure-tunnel.config で指定した Host の値(ここでは VPS)を指定します。これで、VPSに対してremote port forwardingするsshコマンドが叩かれることになります。そして、万が一、このsshコネクションが切れたとしてもsystemdが責任を持ってsshコマンドを叩いてくれます。

多段ssh

と、繋がるようになってめでたしめでたしですが、外部のPCからWSL2に接続するまでに2回ssh接続が必要となります。毎回毎回打ち込むのは大変なので、楽をしましょう。

外部のPCの ~/.ssh/config を以下のように設定します。

Host VPS
    HostName VPS
    User VPS_user
    Port 22
    IdentityFile ~/.ssh/id_ed25519

Host VPS-WSL2
    HostName VPS-WSL2
    User WSL2_user
    ProxyCommand ssh -W localhost:10022 VPS

1つ目のHostは、単純なVPSへの接続の設定です。
2つ目のHostが、多段sshのための設定です。HostNameはknown_hostsへの記録のために使用され、UserはWLS上のユーザーです。ProxyCommandがVPSに接続し、localhost(=VPS)の10022ポートを叩けというものです。

ですので、以下のように外部のPCからsshコマンドを叩くと、

ssh VPS-WSL2

ProxyCommandの内容が評価されます。まず、VPSに繋がり、そのあと、localhost(=VPS)の10022ポートにフォワードされ、結果としてWSL2のsshに繋がっちゃう・・・というわけです。

便利ですね、Port Forwarding。

以上、わたしの備忘録にお付き合いいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?