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さるまけ②消費者の心を鷲掴みにする方法

Clubhouse2月21日放送分(第23回)議事録

消費者が心の深い部分で本当に求めていること。
これを「消費者インサイト」といいます。

消費者インサイトを突いた商品やサービスは、消費者の痒いところに手が届き心を鷲掴みにします。

いかにして消費者の心を掴むか。
それはビジネスの大小にかかわらず外したくないポイントです。

そこで今回は、3つの代表的な消費者インサイトを解説します。


■■■1:自己愛 例:iPhone■■■

まずは、自己愛。
端的に言うと、「●●を使っている自分が好き」という感情です。

他にもスマホはいろいろあるのに、なぜiPhoneの新作が出るたび買い換えるのか?

それはiPhone自体が好きなのもあるでしょうが、「iPhoneを使っている自分が好き」という部分が刺激されています。

iPhoneやmacbookなど、Appleユーザーはこの傾向が強いですね。
Macをスタバで広げて仕事している自分が好き。という感覚です。


たとえば皇居ランナーの多くも、この自己愛が強い人たちだと私は思っています。

ウェアはなんでもいいはずだし、他の場所で走ってもいいはずなんだけど、あえて全身をNikeで固め、あえて皇居周辺を走るランナーをたくさん見ます。

そうしている自分が好きなんですね。


いわゆる広い意味でのブランドが確立されている企業というのは、消費者に自己愛を感じさせることができます。

そして自己愛を感じている消費者は、勝手に自分が使っているものを宣伝し始めるのです。
その商品との出会いであったり、良さを語りたくなるのです。

その時に重要な要素が、ストーリーです。

例えば、私が日本時代に使っていた黒の革ジャンがあります。

この革ジャンは価格が12万円ほどする、それなりに良いものでした。

実は当時26際の私はこの革ジャンを間違って買ったんです。
12,000円だと思って。

ところがいざレジに持って行ったら12万で、びっくりしてカードで買いました。

それを買ったのが2006年の1月。カードの引き起こしは3月の上旬。
そしてその引き落としの10日後に、当時勤めていた会社がいきなり潰れました。

「なんであの時こんな高い買い物をしてしまったんだろう。。。」
「値札が間違えていたと気付いた時に断るべきだった。。。」

その革ジャンを着るたびに思い出すし、人にも何度も何度もその自分と革ジャンのストーリーを語りました。

その革ジャンは、日本を発ちオランダ移住するまで14年間も着ました。
そんな劇的なストーリーを語れるアイテムになった革ジャンが好きでした。
その革ジャンを大事に着ている自分も好きでした。

この革ジャンの件はあくまでも私という消費者側でストーリーができあがった事例ですが、
ビジネスをするときは、いかに消費者自身がその買った商品について語りたくなるのか?
その自己愛を感じれるストーリーを用意してあげることが大事なのです。

■■■2:承認欲求 例:Instagram ■■■

次のインサイトは承認欲求です。

Instagramで繰り広げられている光景がその最たるものですね。

「私をみて!」「注目して!」「自慢したい」

いいね!が欲しくて欲しくてたまらない人であふれています。

実は、特に日本人はこの傾向がかなり強いのです。
日本人は、「いい人だけど、自分に自信がない」人が全体の75%を占めると言われています。

自分に自信がないということは、何をしても「これでいいのかな?」と常に不安を抱いているわけです。
すると、力強く何かを進めることができません。
自分から現実を変わていけないから、自尊心を満たすことができない。

ところが、そんなタイプの人が投稿や写真などにいいね!をもらうと、周りから評価された気になり自尊心が満たされる。

しょせん、その自尊心というのはかりそめのものなので勘違いであるんだけど、一時的に満たされるのは間違いない。

その結果、自信のない人がSNSで一度でもいいね!がもらえると病みつきになる。
それなしで生きられないくなってしまう。

いわゆる“そっちの世界の住人”になってしまうんです。
飲食店で料理が運ばれてくるやいなや食べずに撮影大会を始めたり、海外旅行に行っている最中、わざわざ現地から「いま◯◯に来ています」と写真をアップしたり。

かくして承認欲求が満たされるなら、冷静に考えておかしな行動にだって人は駆り立てられます。

それくらい、強いインサイトのひとつだといえます。


■■■3:変身願望 例:ライザップ■■■

3つ目のインサイトは変身願望です。

「今の自分は本当の自分ではない」
「きっと新しい自分がいるはずだ。それを見つけに行くんだ!」

変身。英語でいうところのtransformationですね。
いまの(満足できない)自分とは違う、質的に別の存在になりたい。

生物学的に言うと、さなぎから蝶への変貌と似ています。
変身前と後では、見た目も中身もまったく別の存在への変貌。

この変身願望に訴求した格好の事例があのライザップです。

ライザップのサイトをよく見てみると、痩せられるとは一言も書いていません。
そうではなく、「変われる」と書いてあります。

CMでよく目にする「結果にコミットする」はあくまで宣伝の文句に過ぎません。
「変われる」と言う4文字がホームページのいたるところに書いてある。

この「変われる」こそ、ライザップにとってのMSPです。

※MSPについてはこちらの記事で解説しています


RIZAPはグループの理念としてはっきりとこう謳っています。

「人は変われる。」を証明する。
「自己投資産業でグローバル№1ブランドとなる。」

ライザップとは、ただダイエットやフィットネス関連のサービスを提供している企業ではありません。

人の変身願望というインサイトを的確に掴み、徹頭徹尾突いたからこそ、あそこまでの成長を遂げられたのだといえます。

以上のように、人はインサイトを突かれると、心を鷲掴みにされ目が離せなくなります。

するとそのときはじめて、商品のメリット(特徴)などにも目を向けてもらえて、売れるようになるのです。
どんなにいい商品をつくっても、まずインサイトで振り向かせなければ強く興味を持ってはもらえません。


ただし、あまりにも露骨にインサイトを突きにいってはかえって逆効果です。
誰だって、心の奥底で思っていた本音を見透かされたと感じたらいい気分はしませんから。

くれぐれも、「あなたはこうして欲しいんでしょ?」と直接的なインサイトの突き方はしないよう注意しましょう。


現代人は、不感症になっている人が増えていると思います。
何かに接して心を動かしたり、何かに飛び込んでみるということが少なくなっている。
スマホさえあればゲームやSNSでとりあえずの楽しみを味わえてしまいますし。

しかし、それではやはり成長がない。
いつまでも見える景色が変わらない。

果たしてそれで豊かな人生だといえるのでしょうか?
それが嫌なら、いまの自分から成長しないといけません。

そして人が抜本的な変化とともに成長するには、カルチャーショックを受けるしかない。

ただ、大人になるといかんせんカルチャーショックを受ける機会になかなか巡り会えませんから、我々のような商品やサービスを提供する存在が、消費者にショックを与え、動かしていってあげないといけないのです。

その際にぜひ押さえておきたい視点、それが今回解説したインサイトです。

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