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Neutral Milk Hotel / In The Aeroplane Over The Sea (1998)

ニュートラル・ミルク・ホテルの2作目にして最後のアルバムは「最高のインディ・ロック・アルバム」と称される名盤。
NMEなど各誌が「90年代の名盤」と絶賛し、後にピッチフォークで満点を獲得するという栄誉(?)も。

バンドの中心である、当のジェフ・マンガム本人は、本作リリース後のツアーに疲れ、翌1999年にバンドを休止させることに。
それでもその後四半期に渡って、本作はその評価を高め続けている。

前作に比べてよりルーツ志向なフォーク/カントリー調の音楽性で、トランペットやバンジョー、バグパイプなども導入。その一方で前作からのノイズ・サウンドやサイケデリックなアレンジも健在で、それらが楽曲ごとにまとまりをもって磨き上げられ、アルバム全体を通したコンセプチュアルな統一感にも寄与している。

そしてジェフのどこか素っ頓狂なトーンで、時にエモーショナルに歌われる独特なヴォーカルもクセになる。「アンネの日記」からの影響も含んでいるこのアルバムは、詩的で語感も心地良い詞が綴られている。

アーケイド・ファイアもCYHSYもヴァンパイア・ウィークエンドも影響を受けたであろう傑作は、40分間の中に素晴らしく濃密な音楽体験をもたらしてくれる。
人生の中でゆっくり味わっていきたい類の名盤である。



クールかつ遊び心のある佇まい、ポップさと実験性の絶妙な共存、熱量が込められているけど決してやりすぎないバランス感覚、メッセージ性を孕みながらもどこか煙に巻くようなひねくれ具合。
そしてインディ・バンドとしての気概と矜持。

まさにインディ・ロックの理想郷のようなレコード。

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