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The War On Drugs / Wagonwheel Blues (2008)

2人のソングライター/ギタリスト、アダム・グランデュシエルとカート・ヴァイルを中心にフィラデルフィアにて結成された気鋭のインディ・ロック・バンド、ザ・ウォー・オン・ドラッグスの1作目は、カート・ヴァイル在籍時唯一のアルバム。

アダムによるディランやニール・ヤング、スプリングスティーンらの系譜のアメリカ産SSWらしいストーリーテリングと語り口に、ザ・バンドのようなルーツ音楽に根差した曲作り、カートによるサイケデリックでドリーミーな響きを持つ音作りが重なった本作には、アメリカの広大な土地を行くロード・トリップ・ミュージックと白昼夢的なドリーム・ポップが同居している。

土着的な香りと骨太さ、甘美で朧げな繊細さを両立させるその音は、モダンなUSインディ・ロックにとっての理想郷のよう。

初夏のアメリカを駆けるロード・ムーヴィーにぴったりな1枚。




清流に手を入れたら、たしかな水圧を感じ、意外に流れが急なことに気づいた。
ザ・ウォー・オン・ドラッグの音楽は、そんな感じ(どんな感じ?)。

カート・ヴァイルはこの1枚だけでバンドを離れ(共同作業は継続)、ソロとして活躍する。
そして相方のアダム・グランデュシエルはバンドとして活動を続け、音楽性も評価もどんどん高まっていく。
そんな素敵なお二人の原点。肩に無駄な力が入っていないし、その魅力もきっちりと詰まっている。大喜利が強い人もそうだけど、こういうのが才能だなあとつくづく思う。

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