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The Beach Boys / Surfer Girl (1963)

1作目からの「サーフィン3部作」の最後を締め、ブライアン・ウィルソンが当時としては珍しいセルフ・プロデュースを初めて手掛けた、ビーチ・ボーイズの最初の転機となった3rdアルバムは、初期の最高傑作とも評される。

外部のミュージシャンを臆せず起用し、ブライアンの声を重ねて作ったハーモニーとファルセットを多用し、切なく美しいバラードを生み出す。
これらがこの後のビーチ・ボーイズ(≒ブライアン・ウィルソン)のキャリア全体に繋がっていく。その意味でも重要な意味を持つアルバム。

この時期はまだアップテンポの瑞々しい楽曲を作るだけの率直さもあり、辛うじてサーフ・ロックの範疇にはあるが、もはやブライアンはそこに留まっていたくなかったのだろう。①③⑦⑪あたりにあの「ペット・サウンズ」の原型を感じられる。

時はビートルズを筆頭とした「ブリティッシュ・インヴェイジョン」前夜。
ブライアンが自らのポップ哲学/美学へと突き進む第一歩がここには記されている。



今年60周年を迎えるビーチ・ボーイズの作品群の2発目。
オープニングのタイトル曲「サーファー・ガール」とB面最初の「イン・マイ・ルーム」という、スロウで美しいメロディが特徴的な曲を両面の先頭に据えていることからもわかるとおり、流行の人気バンドとしては異例の”攻めた”内容の本作は、ブライアンのポップ・ソングへの強い愛情と信念が詰まった最初のレコードだと思う。
散々サーフィンだ車だ女の子だと歌った挙句、文字通り自室で過ごすことや、一人佇むことを歌うなんて、実に彼らしい。
一般的な評価と同様、僕も初期の「サーフィン三部作」ではこれが一番好き。楽しさと切なさが同居し、その奥で美しさが光る。
さながら波間に揺れる陽光のように。←遠い目をしながら


夏ですねえ。
30℃近くまで気温が上がった土曜の昼、例によって近くの公園をのんびり歩き、ボールを追いかける子どもたちや、池の畔でうずくまって眠るカモを眺める。
音楽と水の音を交互に聴きながら歩き回り、自宅に戻って扇風機の無愛想な風を浴びながらビールを呷る。
月並みだけど、やはりこれなんですねえ。
程よく体よく酔ったところで、ざるそばでも食おうかなと思うとります。



そうこうしているうちに、いつも似たようなことばかり書いていることに急に嫌気が差してくる。きっと疲れているのだろう。そうであってくれ。

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