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('67) Van Dyke Parks / Song Cycle

職業音楽家だったヴァン・ダイク・パークスが、ブライアン・ウィルソンとの幻のアルバム「スマイル」の制作が失敗に終わった後に作り上げたソロとして初めてのアルバム。

そのハリウッド的な絢爛豪華なオーケストラを柱とした映画音楽と、1950年代以前の古き良きアメリカ音楽(ジャズ、カントリー&ウエスタン、ブルーグラスetc)とを融合させた音は、「バーバンク・サウンド」と称された。
当時最先端の技術で録音・編集してまとめ上げられた本作は、「ペット・サウンズ」や「サージェント・ペパーズ」の系譜に連なるトータル・アルバムの名作。

狂信的で偏執的なまでのポピュラー音楽への愛が詰まった、奇妙で美しいレコード。



美しいけど、どこか狂気が潜んでいる。
狂っているけど、狂おしいほど美しい。そんな名盤。
今から55年前の11月に発表されたヴァン・ダイク・パークスの1作目。

久しぶりに早く帰宅した金曜の夜、リヴァプールのセンターバックと間違わないように注意しながら聴く。

ビートルズ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ドアーズ、ジミ・ヘンドリックス、ピンク・フロイド、クリーム、バッファロー・スプリングフィールド・・・。あまりに多くの名盤が生まれ、今見ても混乱してしまいそうな1967年、それらの革新的で刺激的な音楽はどこ吹く風。彼は自分の頭の中を流れる偉大なるアメリカン・ルーツ・ミュージックや色彩豊かで煌びやかな映画音楽の美しき断片をただひたすらに組み合わせ、積み上げ、いつのまにか金字塔を築き上げていた。

いろんな音を賑やかに入れ込んでいるのに、どこか孤独感を漂わせる。
室内楽的な、ベッドルーム・ミュージック的な響きが哀しくも心地良い。

この豊かな水脈は、約40年後のブルックリンをはじめとするUSインディ・シーンにも繋がっているような気がする。

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