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Kurt Vile / Constant Hitmaker (2008)

カート・ヴァイルのソロ・デビュー・アルバム。
ザ・ウォー・オン・ドラッグス在籍中の2003年~2007年にレコーディングされた、ローファイでソフト・サイケ感満載の1枚。

今やインディ界屈指のSSWとなったカート・ヴァイルだが、当時はまだ新進気鋭のインディ・バンドのギタリスト。それでも、リラックス・ムードの中に惹きつけられるものがある。

のちの本格的なソロ・キャリアの原点ともいえる、淡く眩いギター・サウンドと親密で流麗なメロディ、ドリーム・ポップにも通ずる朧げな白昼夢感が垣間見られる良作。



カート・ヴァイルは自己顕示欲の少ない人だなと思う。殺風景なジャケットの背景にはボロボロの壁。俯いて握るギターはしかし、中央に据えられたアンプにがっちりと繋がっている。
そう、彼はギターを手に、自分の音楽を鳴らすことだけにフォーカスしているのだ。自己主張や自己顕示といった”その他のもの”には脇目も振らず。
そうして生まれる音楽は、いつか夢に見た桃源郷のような世界を無意識に創造しているようだ。

コンスタント・ヒットメイカーというタイトルもシニカルで好き。

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