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Jack Johnson / On and On (2003)

ジャック・ジョンソンのセカンド・アルバムは、前作よりも的を絞り洗練されたアコースティック・サウンドが際立ち、サーフ&フォーク・ミュージックの魅力の詰まった1枚となった。

地元ハワイのスタジオでレコーディングし、肩の力の抜けたリラックス・ムードの楽曲が(そのうちのいくつかは小品的に)並んだ良作で、世間の喧騒や流行から離れたところで自分の好きなように自由に音楽(だけでなくサーフィンや映像製作も)を楽しむ彼の姿も含め、混迷の時代に必要な音だったのかもしれない。

その出自や音楽性から見落とされがちであるが、ジャックは巧みなストーリーテリングの才能もあるSSWでもある。ときにシリアスだったり厭世的だったりするリリックも差し込みつつ、サウンド的にはナチュラルにヒップホップなどのリズム、グルーヴ感を取り入れ、単調にならないような工夫がなされている。

前作から今作への成長を経て、彼は基本的にはこのスタイルを貫いていく。「変わらずそこにある」ことの有難みを最も感じさせてくれるアーティストの一人だ。



ジャック・ジョンソン。ハワイ出身でオーガニックなサーフ・ミュージックを奏でる、ヴァケイション・ミュージックの使者。
普段の通勤時とかに聴くことはないけれど、週末や特に夏に近づく時期なんかに無性に聴きたくなる、まさに休暇そのもののような音楽。

彼のアルバムはどれをとってもオーガニックでレイドバックしたチルアウト系のリラックスした音楽(カタカナ多すぎ)で、僕としては世界的に人気を得た3作目と、父との思い出を綴った哀愁のある5作目が特に好き。
この2作目はキャッチーなシングル曲こそなくて若干地味だけど、だからこそ、ジャケットの構図のとおり、ゆっくりと水辺で聴くにはちょうどいい。


連休最終日。こんなに晴れた気持ちの良い日は、朝からベランダに鯉のぼりのように洗濯物をたなびかせて、部屋でジャック・ジョンソンを聴くのさ。

夏日だった都内を2日間続けて歩き尽くしたもので、ふくらはぎや内腿が鈍く張っている。朝から飲み歩くのも数年ぶりだった。

久々の再会。それぞれの人生。別離や充電を経ながら、時間は絶えず押し寄せるし、嫌でも日々は続いていく。
その中でいくつかの瞬間を一緒に味わえるのであれば、こんなに幸せなことはない。
若林さんがエッセイの中で行き着いた、人生の中で「合う人と、会う」ことを大切にするということ。
僕も同じ目標に辿り着いたんだと思う。

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