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スピッツ / 名前をつけてやる (1991)

スピッツのセカンド・アルバム。
「ライド歌謡」を目指したという本作は、草野マサムネが当時影響を受けていたライドやMBVあたりのシューゲイザー風サウンドに、繊細なアコースティック・サウンド、日本のポップスのメロディを組み合わせたことで、2作目にしてオルタナティヴ・ロックとしての独自の音楽性を獲得。

ザクザクとした質感と淡い残響を心地良く共存させたギター、太く角張ったベース、シンプルな響きのドラムスに、切なさを強がりながら搾り出すような繊細なヴォーカルと、甘酸っぱさと侘しさを含んだイマジネーション豊かな散文的な詩が加わり、それが”スピッツらしさ”になっていく。

パンクからの「転向」のきっかけとなったという「恋のうた」や、本人のフェイヴァリットの一つとされている「ウサギのバイク」、どことなく大滝詠一イズムが感じられる「胸に咲いた黄色い花」や「あわ」、そして初のタイアップとなったシングル曲にして初期を代表する名曲「魔女旅に出る」など、楽曲はポップスとしての丸みや洗練を増し、スピッツのキャリアの本格始動の原動力となった重要な作品。




ハライチの岩井さんが最後のM-1の時に着ていたTシャツでもお馴染みの、引き伸ばされたネコの写真のジャケが印象的な初期スピッツの名作。

ライドっぽさ強めのシューゲイザー×歌謡曲や、初期らしいざらざらとしたエッジの立ったギター・ロック、後のスピッツの核となるような叙情性とユーモアを持った独自色のポップ・ソングが粒揃いに絶妙なバランスで並び、90年代初頭という時代性と現在まで繋がる普遍性が同居している。

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