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Pink Floyd / The Piper at the Gates of Dawn (1967)

プログレッシヴ・ロックだけでなく、ロック史上においても最大規模のバンドであるピンク・フロイドのデビュー・アルバムは、まだシド・バレットのワンマン・バンドだった最初期の作品であり、核となるシドの脳内世界を音楽で表現することに特化した内容で、サイケデリック・ロックそのものといえる孤高の傑作。

児童文学の一節をタイトルに据え、寓話的なモチーフと脳内宇宙の広がりを抽象的に散文的に(下手すると支離滅裂に)綴った詞と、⑦をはじめとした即興音楽的でトリップ感満載のサイケデリックなサウンドスケープ、パラノイアを孕んだ奇妙な効果音、そして歪ながらも不思議とポップなメロディが重なり、彼岸の音を鳴らそうとしているかのように響く。

ロジャー・ウォーターズ、リチャード・ライト、ニック・メイスンの3人はこの時点ではあくまでシド・バレットの内側を流れる音楽を具現化する媒体となることに専念している印象だが、シド脱退後の方向性も時折感じられる気がする。

実質シド・バレット在籍時唯一となる本作は、サイケ全盛の1960年代終盤、精神病に苦しみドラッグに溺れた共感覚の天才が、破滅のぎりぎり手前で残した狂おしくも美しい名盤。



今年最初の金曜日。体調が優れず早めに帰宅し、ほろ酔いで聴くのは「夜明けの口笛吹き」。
” Interstellar Overdrive ”を聴いていたら本当に飛びそうになってしまった。最後のステレオを左右に揺さぶるような音像なんて酔いが回りまくる。
サイケ!サイケ!サイケ!

シド・バレットというサイケ時代の申し子のようなカリスマティックでカルト的な天才を擁する草創期のピンク・フロイドは、壊れそうなのに狂おしいほど美しい。そして牧歌的で寓話的なのが逆に怖い。

あと、このバンドについて書くときは、文学的だったり哲学的だったりしなきゃいけない気がして嫌だ。


2023年最初の1週間。年初め3日間の仕事はとにかく低調。眠いのを誤魔化しながらやりすごしてた。そしてあまりにもありがたい明日からの3連休。今宵はゆっくり休んで、優雅な休暇に備えよう。

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