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Beach House / Devotion (2008)

ドリーム・ポップの先駆者となったビーチ・ハウスのセカンド・アルバム。

次作あたりから生まれてくる深みこそまだ薄いものの、前作より輪郭がくっきりした印象で、物憂げなリヴァーブの中、オルガンやスライド・ギターが朧げに鳴り響き、アンニュイなヴォーカルと相まって儚く美しい白昼夢が広がる。

ビーチ・ハウス特有の"適度な"陰鬱さを抱えたムードとバロック・ポップが溶け合い、気怠くも心地良いトリップ感を味わえる。




15年前の今日リリースされたという本作は、インディなドリーム・ポップとでもいうような、やりすぎない感じが実にちょうどいい。




15年前。
ちょうど今くらいの時期に最後の国立大学の試験を終え、東京遠征の大学入試を完結させ、無事に東京(というか埼玉)進出を果たすことが決まった僕は、人生で一番(当時)の解放感が全身から溢れ出していた。
1か月滞在した祖母の家から、あとは自宅に戻って、暗鬱だった高校生活の残りを消化するだけ。そして4月からはやっと地元を出て新しい生活を…。
思えば18年間で最高潮に希望に満ちていたのだろう。

祖母宅から実家に戻るときは、母から寝台特急の豪華な方の客室に乗ることを許されて凱旋気分。
その客室内のテレビで流れていた映画が、今でも大好きな「ビフォア・サンセット」だった。当時の僕には大人な恋愛すぎたけど(今の僕にだってそうだし)、しかも連作の続編から観る形だったけど、なんだか大人になっていく自分自身を夢想するかのように、新たな出逢いに胸を膨らませるように、洒脱でときに実直な会話と美しいパリの午後の風景に僕は魅了された。

今の僕はあの頃思い描いたような大人ではない・・・ってのはあまりにクリシェだな。
このところ何故だか妙に昔(18歳から23歳くらいにかけて)の出来事を遠い目をして思い返してしまう僕です。

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