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('64) The Rolling Stones / The Rolling Stones

”世界最長寿”のロック・バンド、ザ・ローリング・ストーンズ。ミック・ジャガー、キース・リチャーズ(当時はリチャードか)、ブライアン・ジョーンズ、ビル・ワイマン、チャーリー・ワッツの初期メンバーによるファースト・アルバムは、アンドリュー・ルーグ・オールダムのマネジメント&プロデュースの下、バンド名もアルバム・タイトルも載せない強気で風格のあるジャケットと名だたるブルーズ・ナンバーのエネルギッシュなカヴァーにより、彼らを特別な存在にしている。

ビートルズの弟分にして対抗馬として登場したわけだが、ビートルズが主にリズム&ブルーズに影響されたのに対して、彼らはブルーズに強く傾倒し、ブラック・フィーリングとグルーヴで、その不良のイメージと反抗心も相俟って、当時の若者を熱狂させた。

フィル・スペクターとの共作・共演という意外性やメンバー5人による「ナンカー・フェルジ」名義の曲でのキース&ブライアンのブルーズ・ギターの掛け合いがあり、ワッツのどたどたしたドラムスは早くも特徴的。そしてミックのヴォーカルはすでに抜群の存在感を放っており、ストーンズというバンドのあり方、佇まいを印象付けている。カヴァー主体の今作において、ミック&キースの初の楽曲⑨は荒削りながらそのポップさは異彩を放ち、彼らのソングライティング・センスの片鱗を感じさせる(最後にぶつっと切れて終わるのもご愛嬌)。

疾走するリズム&ブルーズ、じっくり聴かせるブルーズにより、ビートルズとは違った魅力を生み出すことで彼らのセカンド・アルバムを追い落とした今作は見事に全英チャートを制し、ストーンズは早くもアメリカへと向かう。


ビートルズを書き始めるのは荷が重いけど、ストーンズなら・・・と思わせるのは、このデビュー盤が良作でありながらカヴァー主体で”良すぎない”ので書きやすいからだ。
にしてもミックのヴォーカルの独特のクセはこの頃から全開なんだね。只者じゃない感じがするのは、これがストーンズだと知ってしまっているからなのか。でもこのブルーズ・フィーリングの中でのリズム感は気持ちいい。
恥ずかしながら、黄金期以外のストーンズの旨味に気づけたのは最近のことなんだけど、気怠い夏の夜、こののっぺりしたブルーズが肌に合うのね。


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