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Stevie Wonder / Fulfillingness' First Finale (1974)

スティーヴィー・ワンダーの24歳にして実に17枚目(!)のアルバムは、神懸かっていた70年代前半の最初の黄金期三部作(ないしは四部作)のラストを飾る、その名のとおり”ファースト・フィナーレ”。

前年の交通事故で生死の境を彷徨い、再起不能の危機を奇跡的に乗り越えたスティーヴィーは、復帰作でもある本作で達観した人生観や宗教観に基づいた、スピリチュアルな音世界と壮大なバラードを披露。

レゲエ調だったり、政治風刺だったり、お馴染みのクラヴィネット&ハーモニカの音色だったり、ジャクソン5やポール・アンカら豪華ゲストを呼んだりを交えながら、慈悲深く包容力のあるソウルの底力を発揮している。

本作は彼の一つのストーリーの帰結点を描いてはいるが、何より凄いのは、この後”小休止”を挟み、次作で再び歴史的傑作を生み出すことだ。




キャッチーさや革新性こそ前後作ほどではないものの、第一幕の終わりと生命の危機からの復活を刻んだ、必要性を持った作品。
これまでに培ってきた豊穣な音楽性をバックボーンに、本作は特にスピリチュアルな色合いが強い。
この後彼は”魂の力作”ともいうべき不朽の名作へと向かっていく。

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