XTC / Drums and Wires (1979)
XTCの転機となった3作目。
本作からプロデューサーにスティーヴ・リリーホワイトを迎え、またデビュー当初からニュー・ウェイヴを象徴するような尖った音を鳴らしていたキーボードのバリー・アンドリュースが脱退し、器用で”従順”なギタリストのデイヴ・グレゴリーが加入している。
中心人物のアンディ・パートリッジは相変わらず変態ポップ・マニアぶりを見せているが、よりストレートでポップなソングライティングが光るコリン・モールディング作の4曲も負けじと存在感を放っている。
アルバム・タイトルのとおり、サウンド面では独特のどこかダブっぽい響きのドラム・サウンドを導入するとともに、シャープでまとまりを増したバンド・サウンドへと移行しつつある。
ひねくれポップ・センスとそれを体現するサウンド・アレンジが痛快な代表作で、XTCらしさが本格化。
このあたりのレコードがブラーをはじめとした後続のブリティッシュ・バンドの参照点となったのだろう。
”真のデビュー作”といって然るべき、XTCサウンドを確立した1枚。
「XTC=アンディ・パートリッジ」ではなく、相方のコリン・モールディングの重要性も示されている。
そして今回はスティーヴ・リリーホワイトとの邂逅による効果もてきめん。
他の1979年のアルバムと比べると、70年代と80年代のブリティッシュ・ロックの橋渡し感こそ希薄だが、90年代のUKロックに大いなるインスピレーションを与えたXTCの歴史はここから始まった。
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