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世界のニュースを日本人は何も知らない2・・読書感想

1.初めに

2022年12月8日発売の最新書籍

「めいろま」こと谷本真由美さんの新刊が、上記画像のタイトルでこの12月8日に発売されました。私も早速、電子書籍で購入しました。すでに、シリーズが1〜3まで出版されており、この新作「世界のニュースを日本人は何も知らない4」が新たに出ることで、累計出版数は「40万部」を軽く超えるでしょう。
※以下、私の文章で谷本真由美さんについては全て「めいろま」さんという略称で述べさせて貰います。

私は、これまで「めいろま」さんのこのシリーズを1〜3まで購入し読んでみました。どれも面白く有意義な情報満載のシリーズですが、今回、「めいろま」さんの著作の感想文を書こうと考えたのは、このシリーズの中でシリーズ2の著作がコロナ禍で世界が大混乱になった年に、英国在住の、めいろまさんが実際に体験したことを通じて、一番私にとっては面白く有意義な情報を得ることができたので、それを感想文としてまとめてみたいと思いました。さらにいえば、このシリーズが何故これだけ多くの人に読まれるのか?私なりの感想を述べたいと思います。

このシリーズ2は2020年12月に初版発行です。前年の2019年の終わり頃から中国で原因不明の肺炎が流行との報道があり、年明け2020年に入るとそれが「コロナウイルス」による感染症としてパンデミックを起こし、世界中が大混乱となりました。「めいろま」さんが居住する英国においてもコロナ感染による多くの死者が出ました。その死者数はこの2020年だけでも10万人を超えます。
このコロナ禍の渦中において書かれたのが、「世界のニュースを日本人は何も知らない2」となります。従って本書の前半では「コロナウイルス」の各国の対応そして日本との比較に多くのページを割きます。

それを読み進むと、コロナに絞った各国の防疫・公衆衛生の対応と比較から、大袈裟かもしれなし、専門知識もない私ですが、「比較文化人類学」として、「めいろま」さんがレポートをまとめている?印象を受けました。それを以下項目(2〜4)で概略を感想としてまとめたいと思います。

また、項目の5〜7では、「めいろま」さんが得意とする「英国王室」について、あるいは今後の世界のムーブメント、日本のコンテンツビジネスについてそれぞれ感想をまとめてみました。

2.コロナ禍のマスク着用、欧米と日本との違い

①何故英国や欧州は多くの人がマスク着用を拒むのか?

「めいろま」さんは、2020年4月における英国の現状を以下のように述べています。
「中年以上の白人が白人がマスクをつけている様子は皆無、ソーシャルディスタンスは無視」→何故なのか?背景を英国はじめ欧州社会の認識を箇条書きに羅列すると
・マスクは一風変わった「東洋」の習慣
・口を隠すということは「自分の本心を隠す人」と見做される
・フランス社会では政府のメッセージが一貫して伝わらないため不信感
 を抱く人が多く社会不安も合わさって大半がマスク拒否反応を示し暴
 行にまでエスカレート
マスク着用の効果について明確な研究の裏付けがない→非常にプラグ
 マティックな考え方
→WHOは、2020年6月になってマスク着用を推
 進(大流行からなんと半年後!)

②日本と英国の問題解決の違い

「めいろま」さんは、違いについて結論を以下のように述べています
「日本」→経営者や管理者の思いつきが許される(昔からの慣習も無批
 判に励行が含まれる?)
「英国」→データを収集し、本当に効果があるか検証、そこから初めて
 導入→直感は採用されない→効果がない(失敗)は、訴訟に発展する

「めいろま」さんは、「マスク着用率」の英国と日本との違いが、死者数(英国は日本と比較して圧倒的に多い)の違いにも現れているのではないか?とし、英国は「確固たる裏付けがなければ一見役に立ちそうもなことでも事前に試さないから対応が遅れるのではないか」と述べています。

私の印象に残ったものとしては、日本は経営者や管理者の思いつきが許されるという、「めいろま」さんの指摘ですね。日本は昭和16年12月8日に真珠湾攻撃を米国に仕掛け、太平洋戦争が始まったわけですが、昭和15年頃から、日本政府下の「企画院」では、戦争に勝ち目があるかデータを収集し是非を判断する主管部署でした。企画院の判断は、南方の英国、オランダ等の植民地を攻略占領し、そこから原油等の戦略物資を海上輸送すれば、戦争は勝てるという結論を、時の東條内閣に提出しました。しかし、データを収集するといっても、シーレーンが敵から攻撃されず輸送が円滑にできたら?という、たらればの「データ」(思いつき、直感)ですね。日本は、このコロナ禍の防疫は効果があったかもしれないけれど、「めいろま」さんの指摘を受けて、色々考えちゃいますね。コロナの死者数は、現在(2022年)英国は恐らく20万人を超えていると思います。日本はそれよりも遥かに低く、2022年9月で4万8千人です。

ただ、思いつきで始めた太平洋戦争は民間人含め死者数は200万人を超えます。

3.富国強兵と日本の教育現場における「公衆衛生」

「めいろま」さんの著述で、以下の項目が非常に印象に残りました。

①日本の学校の校舎の作りは、軍隊の「兵舎」と同じ


 校舎の外に設けられた手洗い場、足洗い場は軍の兵舎と同じ→私が通
 っていた中学校の木造校舎も、まさにこの作りでした。→手洗い場、
 足洗い場は、日本陸軍の防疫対策からきています。→明治時代日本の
 平均寿命低く、乳幼児の致死率も高い→富国強兵策も掲げても、防疫
 体制が確立されてなければ兵員の質・量が維持できない。

②欧州の学校には「保健室」がない学校も多い

「めいろま」さんは、英国の学校では「健康診断」がないと述べてます
また、「食事前に手を洗う行動が奇異に思われる」とも。
結論として、日本の場合、健康への関心は「富国強兵」の無残りではないか?と述べています。それに対して、欧州、英国、米国では学校教育の場で普段から健康への関心が低く、成人社会にも及んでいるのではないかと述べています。これが、コロナの感染者数と死亡者数の、欧米と日本との差になっているのではないかと指摘しています。

4.東アジアと欧州の人々の考え方・生き方の違い

英国には、本来の白人の他にアジア系、イスラム系、インド系など様々な国から移民そしてその子孫の人々が暮らしています。「めいろま」さんはコロナ禍において、英国といっても様々な人種からなる社会で欧州人と東アジア人に絞り、それぞれのコミュニーティーがとった防疫行動を比較し、述べています。

①欧州人の特徴

 ・他人に言われたことに従わない(命令されることを嫌う)
 ・成功事例に従ったり、他の国から学んだりすることを嫌う

②東アジア人の特徴

 ・問題(コロナの蔓延)が発生した場合解決法を一生懸命習得する
 ・成功事例で良いものはどんどん取入れコミュニティー内で情報発信
  し、それを内部で横展開をする。

 以上、比較について、「めいろま」さんは、様々な具体的事例をあげ
 述べていますが、詳しくはそれは本書をご覧ください!

 結論として「めいろま」さんは、以下のようにまとめています。
 「人間の本質は言葉ではなく行動に出る」
 危機における欧州人の行動と思考回路には人間というものに対する尊
 敬や社会という枠組みに対する責務がない。
  
日本では、海外事情により詳しく一家言もつ人を「出羽の守」と呼ばれ信憑性について揶揄されることもあります。「めいろま」さんも「出羽の守」と同じ類でしょうか?私は、「めいろま」さんの著作による情報発信は客観性があり、世界の流れを見る上でその情報を尊重できると思います。
理由として
・英国に居住し、子供をロンドンの小学校に通わせ、学校事情及びその
 保護者らのメーリングリストのやり取り及び交流から、人種の違いか
 らくる価値感の違い(特に躾)を肌で感じている。

・ITコンサルタントして、内部統制にも従事し、前項目でも触れたが、
 中々規則に従わない色々な人種の人に対し、英語でやり合い是正を勧
 告する立場で、欧州、英国等の人間を上っ面ではなく、深い内面まで
 人間の観察をしている。

・本からの受け売りの知識ではなく、「めいろま」さん自身が体験、接
 したこと(バックパッカー、米国留学、国連職員時代含め)だけを書
 いている。

以上が、私が「めいろま」さんの著作を、信用、信頼している理由です。

5.英国エリザベス女王を象徴する言葉は「硬派」

Discussions with The Duke and Duchess of Sussex are at an early stage. We understand their desire to take a different approach, but these are complicated issues that will take time to work through.
(サセックス公夫婦との議論は、まだ初期段階です。彼らが異なったやり方をとりたいことは理解しますが、これは大変複雑なことがらですので、合意に達するには時間がかるでしょう)

上記、英文は、ハリー王子とメーガン妃が「英王室批判」をし、王室離脱の上、お二人が米国において勝手に王室ブランドを利用した「新たなビジネス」を展開しようとすることへの、エリザベス女王のコメントです。( )内の和訳はめいろまさんが行ったものですが、この和訳文面だけでは英女王の真意は分からないとめいろまさんは説きます。

では、このメッセージを意訳するとどうなるか?意訳は生粋の英国人であり大学教授のめいろまさんの旦那さんだそうです。
「われ!!!!! なにやっとんねん!! ワイらの組を舐めとんのか!!! どう落とし前つけんじゃ、ぐおら!!! なんや、お前、指詰めて落とし前つけんのか!!」・・意訳すると、上記上品な文面が、何故このようなドギツイ表現になるかは不明ですが(笑)ただ、この英王室の「本音」と「建前」を読み解かないと、なかなか、王室あるいは英国を理解することはできないなぁが結論です。また、この王室問題に限らず、日本のマスメディアが伝える、外信ニュースでどこまで、欧米の「本音」が伝わるのか?少し心配ですね(笑)

さて、この章からめいろまさんの著述で分かったことは
①2022年9月8日に亡くなったエリザベス女王の在位期間は70年。立憲君主国の
女王として名実ともに英国の君主として強いリーダーシップとカリスマ性を発揮し、「君臨し統治する」というスタイルで戦後の英国を率いてきた。

②ジョンブル魂とは、簡単に言えば「逆境に負けない不屈の精神」のこと。頑固で質実剛健、硬派でチャラチャラしない。冷静で厳しい環境でも弱音を吐かない、変わらない。そんな古き良きイギリス魂のこと。

③そんな、上記①と②を身をもって具現化した、エリザベス女王と英国内世論からすれば、米国の報道でハリー王子とメーガン妃を擁護する以下④の記事は、同意できないでしょね!→英国での、ハリー王子とメーガン妃の評価は「王室ブランドで銭儲けをしようとしている。王族肩書を商標登録。王族肩書で100以上の日常品を用意」

④「メーガン妃は、王室での人種差別をひどく受け、夫婦は自分たちを守るために離脱を決断した大いに勇気ある行動だ」→米国の報道

ジョンブル魂に触れためいろまさんですが、「イギリス的な魂も消滅してしまうのではないかと、いま、誰もが不安を募らせているのです」と述べています。

6.米国でのFIREムーブメントの動き

12月8日、めいろまさんの新刊「世界のニュースを日本人は何も知らない4」
の発売日に合わせて、近所の大型書店に積まれているか?と覗いたけど、残念ながら置いていない。Amazonで買う手もあるけど、Apple booksの電子書籍を購入。このほうが、メモ、付箋、マーカー等が手軽にできて実は便利(笑)ついでに、店内回って、書籍の動向など観察。「FIRE日本版」に関する書籍がいくつかあってコーナー化している。「へぇ〜」と驚く。以上は、めいろまさんの著作を読まなければ、気づかず素通りしていたと思う。

めいろまさんは、「FIREムーブメント」の動きについて以下のように述べています。
注 FIREとは簡単にいうと、早期引退し、経済的独立を得ること。
F→Financial  I→Independence  R→Retire E→Early

「朝から晩までせっせと働き、ストレスにさらされながら生きるライフスタイルを捨て、倹約をしながら貯蓄率を高めリタイア後は投資を活用して悠々自適に暮らす」が定義だそうです。そしてこれを実践する若い人が増えている。背景には格差拡大や雇用不安がある。
米国のスタイルは「消費社会」から「貯蓄重視社会」になるのでは?と予想。

日本でもNISAのさらなる免税緩和措置が発表され、政府が投資を推奨する流れがありますね。
めいろさんの、著作はあらゆる方面にアンテナを張り、最新の情報を提供しますが、大きなトレンドを掴む上で、有意義な情報源と思います。
 

7.日本の映画ドラマ、漫画、コンテンツビジネス

2021年7月に開催された「東京オリンピック」で、開会式のセレモニーを観察していた、めいろまさんは、盛んに「何故、開会式にポケモンを登場させる演出をしないのか?ドラクエは、日本人には伝わるけど、世界に発信するならポケモンだよ。それが国威の発揚と日本人気につながる」とTwitter上で発信していました。当時は、なるほどと思うものの、特にそれ以上の関心は持てませんでした。

めいろまさんは、著作で以下のように述べています。
「最近日本では、映画やドラマ、漫画などのコンテンツビジネスで、日本の力が非常に低下していて、近い将来、韓国や中国に負けてしまう」そういった論調に対して、そんなことはないと、めいろまさんは説きます。
①世界で最も大きな収益を生む「コンテンツフランチャイズ」のトップ25のうち、なんと10が日本発。
②2020年、アメリカの金融会社タイトルマックスが実施した調査によれば、世界で最も収益が大きいのは任天堂の「ポケットモンスター」2位は「ハローキティー」と述べてます。

以上のことから、初めて、めいろまさんが「東京オリンピック」でポケモンに拘ったわけが分かりました。めいろまさんのTwitterでも随時裏付けとなる情報が発信されています。

感想として、日本のGDPの6割は国内消費で、逆に企業がそれに胡座をかいて、世界に向けて売る意欲と工夫が、今一つ足りない。気づけば、輸出産業は「自動車産業」のみの一本足打法と言われる所以ですね。KPOPなど、韓国国内の市場は非常に小さく、最初から海外輸出を前提としたコンテンツですからね。

8.終わりに

何故、「めいろま」さんの「日本人は世界のニュースを何も知らない」シリーズが、出版不況という中で、これほど多くの人に読まれるのか?
その前に
コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻なども関係し、世界的に物価高が続いています。著述家としての「めいろま」さんが関係する、出版界も今大変な状況を迎えています。それは、紙の値上がりです。恐らく、新聞、出版界は今後業界再編、経営の見直しが進むのではないでしょうか?産経新聞の月刊誌「正論」発行人の有本氏は、紙の値上がりは40%近くまで上昇と言っています。今の時代、出版不況と言われてますが、この紙の値上がりは、この不況にさらに追い討ちをかけるのではないでしょうか?

20年くらい前までは、私たちが情報を得るには、紙媒体が主でした。今では、ネットを通じTwitterやYouTubeなどから様々な情報を得ることができます。様々(1つの事象に対して正反対の意見が交互に飛び交う)な発信がある中で、なぜ出版不況と言われる時代でも、「めいろま」さんの著作が売れるのか?ネットを含め既存のメディアの情報発信に、多くの人が、やはり満足していないのではないでしょうか?→朝日の発行部数減、テレビの視聴率低迷、テレビ離れ。

「めいろま」さんは、世界が日本をどのように見てるいるかを、実に多くの各国の論文・レポートを英語の原文で読み、あるいは英国の人々の会話からその言葉の奥を読み解き、自身の考えをまとめ、著作にしています。それが日本の既存メディアの情報発信力との差になり、多くの人に支持されているのではないかと思います。

また、マーケッティングに長け、自身のTwitterの発信から、人々が何に興味を持ち、既存メディアには出てこない、普通の人々の意見を冷静に観察しています。そこには、安倍元首相が亡くなり、沿道にお別れに集まった人々の「服装」を観察し、サイレントマジョリティーとはどういう階層の人達かというのを、分析、デモに集まるリベラル派の人たちとの違いも述べています。→これは新刊の「世界のニュースを日本人は何も知らない4」でも触れられています。

このようなマーケティングの強みが、読者の需要に反映し、40万部を超えるであろう著作のヒットになったのではないでしょうか?

まだ、色々書きたいですが、例えばイーロンマスクのTwitter改革に対する、めいろまさんの評価等、主題と離れ、長くなるのでこれで止めます(笑)
最後まで読んでいただきありがとうございました!

以上



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