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NFTとステーブルコインを用いた金融サービスCentrifugeの活用方法について

過去Centrifugeについてはノートで書きましたが、CoinlistでCentrifugeのトークンセールが行われたことで一層注目が強まったように思います。

CentrifugeのサービスであるTinlakeについては、既に起動しており、多くのプロジェクトに投資することができます。また、1800万DAI(概ね1800万ドル)以上が既に投資されています。また、投資額に応じてCFGトークンがリワードとして取得できます。

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                引用:https://tinlake.centrifuge.io/

各プロジェクトの内容は様々ですが、現実世界の金融商品をNFTに紐付け、そのNFTを権利の証明としてステーブルコインを借りることを可能にします。

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            引用:https://centrifuge.io/products/tinlake/

実際にステーブルコインによる金融商品投資の方法を見てみる

どのように行われるか、実際の例を見てみます。1754 Factory (Bling Series 1)の募集を見てみます。

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こちらでは、満期が30~90日、7.50%の利回りの金融商品となっています。600万近いDAIが既にプールに集まっています。また、商品に関する41ページものエグゼクティブサマリが示されています。当初は40万DAIの募集だったので、非常に多く集まっています。

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                         引用: Welcome to Centrifuge, Bling Series 1

具体的な仕組みはMedium記事などでも公開されています。

企業は債券を発行し、1754 Factoryという会社はお金を貸し出します。なお、1754 FactoryはDavoa Capitalという投資会社が設立した特別目的会社のようです。
次に、1754 Factoryは1つの債券につき30個のNFTとして権利分割し、それをCentrifugeに担保として預けます。
CentrifugeはTinlakeを通して一般投資家たちからステーブルコインによる投資を募集し、1754Factoryに貸し出します。

このような仕組みで、世界中にいるステーブルコインの保持者が1754 Factoryの金融商品にアクセスすることができます。現在DAIの総発行料は47億ドルを超えており、投資商品を求めている層は一定数いると考えられます。

一般投資家のKYCについて

実際の債券が関連する以上法律面が関連してきます。この仕組みで問題になるのは、一般投資家のKYCをどのようにするかについてです。CentrifugeではSecuritize iDを用いています。Securitize iDはSTOを生業とするアメリカ企業であるSecuritizeのKYC基盤です。

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  引用: https://centrifuge.hackmd.io/QXUCI0wRSLepfABBivNruw?view

Tinlakeで、Metamaskなどのイーサリアムのウォレットを接続した上で、投資するためにはSecuritize iDを用いて、ウォレットのe-KYCを行います。Securitize iDによるKYCは各国の本人確認書類に加えて、カメラをONにして本人が手続きしていることを証明すること、登録住所に住んでいることを証明するために公共料金の支払領収書などを画像で送る必要があります。

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                       引用: https://www.securitize.io/product/securitize-id

これにより投資家のKYCを行い、問題のある投資家を排除するようにしていると考えられます。

電子契約による重要事項の同意手続き

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  引用: https://centrifuge.hackmd.io/QXUCI0wRSLepfABBivNruw?view

KYC後のユーザーは、各プロジェクトに投資する際、購入同意書の電子契約が求められます。上記の図にもありますが、各プロジェクトでの投資毎に細かな規約が提示され、法律面の整理説明、税金に関する整理などが記され、同意手続きにDocuSignを用いて電子契約を行います。かなり細かく規定されることもしばしばで、規制に則って行うことを意識しているようです。

Centrifugeの目指すデジタル化

ステーブルコインで投資するプロジェクトはDeFiに多くありますが、KYCなどは行わず、また基本的に規制など関係なく運営されています。一方で、DeFiは金融の実験場として多くの技術が発達してきました。ステーブルコインもその1つです。

Centrifugeは規制に則って、現実世界への投資とブロックチェーン上の資産を結びつけようとしているようです。さらに、投資信託の運用オペレーションについて効率化する技術を諸々採用しています。

執筆時点の1754 FactoryのAPYは7.5%など、DeFi上のプロジェクトと比べると相当低く見えますが、一方で通常の金融としては悪くない利率に見えます。DeFi特有のコントラクトのハッキングリスク、rug pullリスクなどを取りたくない、運用者がはっきりとわかるところに投資したいという層にとってはCentrifugeの方向性は魅力に思われるかと思います。

加えてCentrifugeは、ウォレットのe-KYCによる一般投資家の持つステーブルコインのユースケースを与えたこと、電子契約による運用のシームレス化など、ブロックチェーンだけに限らない技術が多く採用されています。技術を用いて金融業務をより効率的に回すという方向性を目指しているかと思います。既存の金融と足並みを揃えつつ、技術による効率化、スケールを行おうとするCentrifugeはデジタル化を推し進めている企業と言えるのではないでしょうか。

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