国内外DAOを分析してみて得た知見についてまとめます

NFTmeijinのナオトです。様々なNFTの分析やコミュニティ運営を趣味として生活しています。第6回となる今回はNFTではなく、DAOの運営について解説します。特に
・DAOが機能するケースは限られる
・DAOにおいて運営の初期負担は、非DAOよりもずっと大きい
・成功したDAOとそうでないDAOの違いの1つは、最初のコミュニティ設計
について話します

DAOはどの段階で崩壊するか

幸運なことに、ここ半年の間にさまざまなDAOの深い分析をする機会をいただきました。分析の結果、ほとんどのDAOは上手くいっていないのですが、中には(少なくとも現時点では)うまくいっているケースもあります。では両者にどのような違いがあるのでしょうか

結論から言うとほとんどのDAOが失敗に終わっています。面白いことにほぼ全てのDAOが似たような流れで失敗しています。それは人数を増やした時点でコミュニティが崩壊するという形です。詳しくみてみましょう。

DAOが崩壊するまでに起きること

DAOといっても最初はfounderが存在します。どのDAOも最初は素晴らしいビジョンの元、熱意のある少数のメンバーが集まってきます。このメンバーはアーリーアダプターであることもあり、いわゆる「できる人」が多いです。DAOで楽しいのはこの最初期の段階です。ビジョンをもとに議論を重ねて具体的な方向性を策定します。

この段階である程度月日が経っていることや、少人数メンバーでこれだけ成果が出せているのだから人数を増やせばもっと上手くいくだろう、という2つの理由からメンバーをもっと増やしましょう、という流れになります。

そこまでに仕上げた成果を公開すると、「なにそれ面白そう」という期待感で一気にメンバーが加入します。この辺りからコミュニティがおかしくなり始めます。

具体的には、コミュニティで本質的でない議論が行われるようになり、議論の交通整理や新旧メンバーの間での認識の擦り合わせに多大なコストがかかるようになります。この辺りからdiscordの雰囲気が悪くなります

この認識はいわゆる「できる人」が多かった旧メンバーも同じだったようで、「できる人」のdiscordでの発言が明らかに減り始めます。「できる人」はリアルライフでも忙しいため、コミットできる時間に限りがあるのでしょう

そのため、最終的にDAOに残るのは「できない人」ばかりになります。discordが5ch化し、本質的でない投稿やチャンネルが乱立します。書き込み量もふえるため、運営側はもはや流れを追うことすら困難になります。

当然、このDAOでは良い成果物を作ることはできなくなります。そうするとDAOメンバーは成果物を作れなくなる原因を運営メンバーに求めるようになります。「もっとやる気を出せ」や「そもそもビジョンが悪い」と言われるようになります。その結果、運営側もDAOでの居心地が悪くなります

DAOの成功と失敗を分ける要因

上記のなかで何がまずかったのでしょうか。細かい原因は多数ありますが、大きな原因は2つです
・コミュニティの急拡大にDAOがついていけなかった
・参加メンバーの質を担保する必要があった

ここで世界で最もうまくいっているDAOのNounsを見てみましょう。Nounsは一日にNFTを一つだけリリースし、これを購入した人がDAOでの投票券を持つことができます。これにより急拡大を防いでいます。またNFTが高額なので、ある程度経済的に成功した人しか参加できません。

このように
・DAOではコミュニティを非常にゆっくりと成長させる必要がある
・何らかの形で参加メンバーをフィルタリングし、高い質を保つ必要があります。

というのがDAOの成功と失敗を分ける要因の一つと言えるでしょう

どのような場合にDAOが成功するか

また、DAOは上記理由からコミュニティのステークホルダーの人数を大きくすることができません(そうあるべきです)。そのため、そもそものビジョンとして人手がかかるようなプロジェクトはうまくいかないことが多いでしょう。逆にステークホルダーが少なくて済むプロジェクトはDAOがハマるかもしれません

ちなみに私が分析していたなかで、現在もDAO的に機能しているコミュニティも存在します。そのコミュニティは上記条件を満たすように設計し、小さいながらも参加者の役に立つDAOとして動作しています。

このようにうまくいったDAOであっても運営初期の負担は、通常のコミュニティ運営よりも大きいです。なぜならば、運営初期はDAO全体の議論の流れを追い、その議論を吸い上げる必要があるからです。もちろんDAOが機能するようになれば少しずつ負担は減っていきますが、時間がかかります。

このように世間では理想的なコミュニティとしてDAOが語られていますが、私個人はDAOが機能するケースは非常に限定的だと考えています。人類にはまだDAOは早すぎるのかもしれません

まとめ

今回のポイントをまとめます
・DAOが機能するケースは限られる
・DAOにおいて運営の初期負担は、非DAOよりもずっと大きい
・成功したDAOとそうでないDAOの違いは、最初のコミュニティ設計

最後に

NFTmeijinは、NFTを通したブランド強化のための戦略立案や運営、マーケティングのご相談にものっています。また、NFTに関する研修なども行っております。どちらも無料で相談をお受けしておりますので、Twitter DMまたはNFTmeijinの問い合わせフォームよりご連絡ください。

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