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SoD, 第12章、血に濡れた議事録

<アヴェルヌスにて。悪魔イラルエルを倒すと、血にまみれた巻物が手に入る。どうやら彼女は悪魔会議の書記か何かだったらしい。便宜上、いっぺんに訳す>


[この記録は、気持ちが悪いほど生温かい羊皮紙の上に、まだねばねばして鮮やかな血のようなインクで記されている]

会議 8,355
出席者:*
聖なる魂を喰らうもの
剃刀の峰の主にして貪る眼の支配者
いにしえの敵の破壊者
鏃石と骨のかけらの上を歩む貴女

他のメンバーはみな欠席

いにしえの敵の破壊者:
みなも知っているように、私はある珍しい定命の者の魂、神性を有する魂を求めること長きに渡っているが―
魂を喰らうもの:
我々はあんたの望みをよく知っている。無視しようにもできるもんかね?あんたは我々の所に戻ってきてから*というもの、物質界を再訪すること以外のことはほとんど喋らんからな。
歩む貴女:
もうこのことを蒸し返して時間をむだにするのはやめましょう。次の議題に移りません?
破壊者:
こっちの議題が先だ!それが物事の順序で、順序には従わねばならん。
剃刀の峰の主:
退屈した心には、永遠の生も重荷だな。
歩む貴女:
永遠の生でも、もう、一世紀*でしたっけ?定命の者の数え方では。この相変わらずのしつっこさには、あたし、うんざりですの。
破壊者:
状況が変わってきた。私の”うんざりな”厄介ごとも、おそらくもっと興味しんしんになってくるはずだ。もうひとり別の者が、私の求める魂を手に入れようとしている。”追放されし者*”は、そう、たしかに定命の者には違いないが、飽くなき力の夢に取り憑かれている。我々をもおびやかすに足るほどの力の。

<筆記者のメモ:御主人に挑み得るほどの力を持つ定命の者だと?あり得ない!>

歩む貴女:
彼も我々の怒りを買うまねをするほど無謀ではありますまい。
破壊者:
断言できるのかね?やつはバルダーズゲートにいる。私の獲物をつけ回している。
魂を喰らうもの:
何という増上慢!やつは協定*があんたの要求を支持していると肝に銘じるべきだ。
破壊者:
やつは一定の距離を置いている―今のところは。だが、やつが我々のものに手を出すようなら、我々の同盟が定める通り行動に移る準備をしてもらいたい。

<筆記者のメモ:彼らは知らない。彼らの誰も知らない!破壊者の計画*が実現したとき、彼らはみな破壊者の狡知に唸らされることだろう!>

歩む貴女:
我々は血をもってこの協定を守ることを誓いました。追放されし者が我らのひとりの敵になれば、彼は我らすべての敵になります。
魂を喰らうもの:
異議なし。
剃刀の峰の主:
過去はあたかも溶鉱炉で燃やされたかのように綺麗にカタがついたようだな。将来に我々の視線を向ける時だ。
歩む貴女:
まことに。次の議題に移るとしましょう。
破壊者:そう願おうか。

<筆記者のメモ:参加者らは破壊者のほうを見て、彼が譲歩したものと見なした。が、彼こそ彼ら全員のうちの最上者なのだ!ほどなく皆がその真実を悟るだろう。そして私は、彼に仕えていることを誇りをもって口にするだろう!>


*この参加者(悪魔)たちは、名前はすごいが特に固有のどれかの悪魔を指しているのではないらしい。たぶん九層のうちのどれかの層の支配者なのだろう。
*これは同じD&Dベースのゲーム Icewind Dale のストーリーに関係するもの。かつてデーモンとの勢力争いに熱中しすぎたベルヒフェットは同じデヴィル仲間から地上(物質界)に追放されたが、そこで古えの強大なアーティファクト”クリスタル・シャード(またの名をクレンシニボン)”を手に入れ、それを使ってデーモンへの復讐と地上の侵略を企んだが、冒険者(プレイヤー)一行の活躍によってそれを阻まれ、再び九層地獄に送り返されるというストーリーらしい。
*上の事件でベルヒフェットが地上から地獄に戻ってから、今でだいたいcentury 100年が経つというわけ。
*BG2のあの人。
*この協定に関しては、ずっと先にへファーナーンが言及していた。ここ参照。
*へファーナーンにケイラーを操らせてアヴェルヌスのポータルを開けさせ、そこから悪魔を率いて物質界(この世)に侵攻し、望みの魂、すなわちバールの子たる主人公の魂をいただこうという計画。だからして、ポータルを開ける血さえあれば済むと思っていたケイラーとは違い、へファーナーンは最初から主人公を悪魔の餌食にするつもりで働いてたわけ(だから手荒な手段も辞さなかったのだろう。血でポータルが開くなら死体でも開くだろうし)


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