ショーウィンドウのハーモニカ

手にとってすぐに何かの曲が奏でられる

そしてエキゾチックな図柄が彫られたその風態

銀色(あるいは金色)に光るハーモニカは主婦のおこずかいでは

背伸びしないと買えなかったけど 魅力的だった

Keyのことをよく知らなかったので 最初はD

のちにお試しレッスンで「なんでDなの?」とギターにカポを付けながら鬱陶しそうに言われた

自分の歌声に合わせたつもりだったけど

普通は最初にCを買うと今は思う

おろしたてのハーモニカを吹くときは

初めて買ったように嬉しい

お店のショーウィンドウに張り付いて楽器を眺める

それは私の個人的なロマン

私の主なステージは台所

憧れのハーモニカを何本か買い

手入れの仕方も知らず

数本はリードが痛んでしまった

それでもなんらかの曲が奏でられるようになり

勇気を振り絞って人前で演奏

今はフルキーをいっちょまえに揃えて

ブルースセッションにも参加

厚かましくもついでに歌もうたいだしたけども

聴いているのはほとんど眠っている夫


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