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【NJRPG-2ND/シナリオ】”アムニジア”に関する仮説と推論

前回までのあらすじ:イッキ・ウチコワシの革命闘士、アムニジアを洗脳し、シンジケートのエージェントへと仕立て上げよ!

ソウカイヤの無慈悲なニュービーニンジャたちにイッキ・ウチコワシのアジト襲撃が命じられる……ただし、その目的は構成員の拉致。ネオサイタマの片隅で、ソウカイヤの邪悪な検証計画が動き出そうとしていた!

これは「ニンジャスレイヤーTRPG第2版」のシステムに対応した、3~4人のプレイヤー向けのショートシナリオ記事です。

「基本のランダム作成方式」または「11ポイントスクラッチビルド」による、作成間もないソウカイニンジャでプレイすることを想定していますが、オプションを採用することでより成長したニンジャ向けのシナリオとしてプレイすることも可能な構成となっています。

◇本文中に登場する略称
NM:ニンジャマスター    → ゲームの進行役。描写などを行う。
PL:プレイヤー       → ゲームの参加者。PCを操作する。
PC:プレイヤーキャラクター → ゲーム内の主人公。メインキャラ。

◆マップデータのダウンロード

プレイ用のマップデータはGoogle スプレッドシートで作成されています。下記からローカルにダウンロードするか、ご自身のアカウントにコピーを作成してGoogle スプレッドシート上で使用してください。

マップの詳細は以降のシナリオ本文中で解説されます。

◆物語のあらまし

物語より少し前のこと、特殊な任務を帯びたソウカイヤの手練ニンジャ、オピネルはイッキ・ウチコワシの拠点のひとつを壊滅させ、そこでエージェントのアムニジアというニンジャを捕らえた。彼はアムニジアが、シックスゲイツがドラゴン・ドージョー襲撃事件で滅ぼしたドラゴン・ゲンドーソーが孫娘、ドラゴン・ユカノであることに気がつく。

オピネルは幾つかの状況証拠を照らし合わせることで、ドラゴン・ユカノが強烈な精神的ショックによって記憶喪失となり、そこにインプリンティングめいてウチコワシ革命思想が刷り込まれたのではないかという仮説を立てた。

死者を冒涜する術に長けた彼は、この仮説と共に作為的に記憶喪失を引き起こし、彼女をソウカイニンジャに仕立て上げることで、ドラゴン・ドージョーの残したミームを蹂躙する」という邪悪な遊戯をラオモト・カンに提案し、上機嫌な彼のお墨付きのもと、その恐ろしい理論の検証計画を進めようとしている。

◆ダンゴウ

「少しばかしカラテに慣れてきた程度でイキがってんじゃねぇだろうな?今回はテメェらに、繊細さが求められるオトナの苦労ってのを味あわせてやる。貴重な社会勉強の機会をくれてやるって言うんだ、感謝しろよ、エエッ?

物語が始まると、PCはソニックブームによってトコロザワ・ピラーのトレーニング・グラウンドへと呼び出される。しかし彼はすぐには姿を見せず、時間を持て余したPCが配置されている木人などで体を温め始めた頃、ようやくその場へと現れる。

もしトレーニングの類に手を付けようとしないPCが居た場合、ソニックブームはそのPCをなじった後、次のような任務を与えてくる。なお◉マークは必ず伝えられる基本情報で、◎マークはPCの質問に応じて開示される補足情報となっている。

◉これからPCたちには、愚かにもソウカイヤに敵対する反企業テロ組織「イッキ・ウチコワシ」の仮設拠点のひとつを襲撃してもらう。ただし目的は殲滅ではなく、拉致である。できる限り多くのウチコワシ構成員を生け捕りにしろ。邪魔な相手は殺しても構わないが、最低[PC数x2]人は捕獲してこい。

◉力の加減を知らないニュービーの為に、生け捕りにする道具を用意した。必要なら、目的地である雑居ビルの下に駐車してある救急車に、幾つかの道具が積載してある。自由に使え。

◉捕まえたウチコワシ構成員は救急車に乗せ、ソウカイヤの息がかかった病院の遺体安置所まで護送せよ。地下の遺体安置所で「オピネル」というニンジャが捕虜の到着を待ちわびている。到着以降は彼の指示に従え。

◎オピネルは敵対組織への継続的な破壊工作を命じられ、単独で行動しているニンジャだ。シックスゲイツではないが、その実力は低くない。つまり今回の任務は難易度はともかく、重要度は高いということを意味している。

◎オピネルは直近の任務で、ソウカイヤと因縁の深い、ウチコワシのエージェントのひとりを捕らえた。意趣返しとして、目の前で捕虜を次々と始末するという、精神的な拷問を計画しているようだ。

◆雑居ビルの一室|イッキ・ウチコワシの隠れ家

目的地であるイッキ・ウチコワシの隠れ家は、小さな雑居ビルの1フロアを申し訳程度に占拠している。「革命」と書かれたショドーが飾られていたり、UNIXやサスマタといった器材類が運び込まれたりしている点を除けば、間取りや全体的な様相は一般的なビジネス・オフィスとそう変わりない。PCはエレベーターや階段を使って、難なくここに到達することができる。

マップデータやそれぞれの部屋の処理は後述されるが、このシーンは準備フェイズに過ぎないため、NMはこのシーンを特殊な「モータルハント」として、PCが生け捕りに成功した敵の数をダイス判定で算出させても構わない。

◆モータルハント(イッキ・ウチコワシ)
PC全員に【ワザマエ】+【ジツ】−D6(最低値は1)で判定を行わせ、生け捕りにした人数を算出する。

◇非殺傷武器のオプション

マップを使用してこのシーンを実行する場合、PCは『ミネウチ』によって敵を生け捕りにする必要がある。PCが十分に強くない場合、進行を早めるため、支給品として次のアイテムの内、いずれかひとつを武器スロットに追加してからシーンを開始しても構わない。

◇トテキ・ネット
種別とスロット占有数:グレネード(射撃、1行動)、1スロット
ダメージや基本攻撃難易度:2x2の範囲に非殺傷の1ダメージを与える。
スタン・ジュッテ
種別とスロット占有数:標準近接テック武器、1スロット
装備時ペナルティ:側転難易度+1
ダメージや基本攻撃難易度:1ダメージ、NORMAL、連続攻撃上限2

装備時の獲得スタイル:
『●戦闘スタイル:電磁ショック』:近接攻撃のダメージ種別を『電磁』に変更する。『サツバツ!』は発生しないが、出目【6】を含んで攻撃判定に成功したとき、攻撃対象に隣接する敵1体にも電磁ダメージ1を与える。この戦闘スタイルは2ターン連続では使用できない。

マップデータ

マップA

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このシーンのマップは比較的小型であり、初期作成のニンジャでも連続側転や全力移動を駆使すれば、1ターンに1部屋を踏破できる構造になっている。PCが4人程度の場合、協力して中央の部屋を突破した後、四方の部屋が手分けして処理されることが想定されている。

共通のルールとして、「テーブルなど障害物」マスには移動困難な地形のルールが適用されていることに注意すること。それぞれの部屋については下記に詳細を述べる。

①エントランス

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「Ev」はエレベーター、「DN/UP」はそれぞれ下り/上り階段を示している。いずれかの方法でビルを登ってきたPCは、まず狭苦しいエントランスに迎えられる。見た目は一般的なビジネス・オフィスであり、一見してこのフロアがイッキ・ウチコワシの拠点のひとつとは思えない。

②作戦会議室

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エントランスから飛び込んだ先は、大きな長机が据えられた作戦会議室となっている。入り口の両脇は若い構成員によって守られており、机を取り囲んで計画を練っているのは比較的ベテランの構成員だ。

この部屋に配置されているトレジャーは「Aタイプ」で、ウチコワシがカチグミから押収した現金、金塊、大トロ粉末等となっている。Aタイプのトレジャーは次の表で判定を行うこと。

◇トレジャー表(D6)
1~3:
現金の入ったキンチャク袋(【万札】D3相当)
4~5:トロ粉末
6  :金塊(【万札】D6相当)

③ザゼンルーム

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作戦会議室の南側は倉庫スペースが改修されたザゼンルームとなっている。シーン開始時には、正座したウチコワシ構成員が小さなチャブ台を囲み、革命セッションを行っているが、一旦戦闘が始まると各々が武器を取り上げイクサの準備を整える。そのため、此処に配置されている敵については2ターン目から動き始めるとするのが良いだろう。

この部屋には「Aタイプ」だけではなく、「Bタイプ」のトレジャーも配置されている。これはサスマタや角材、火炎瓶などウチコワシ構成員が用いる武器類の保管場所となる。Bタイプのトレジャーは次の表で判定を行うこと。

◇トレジャー表(D6)
1~3:
火炎瓶(『バクチク・グレネード』とみなす)もしくは【万札】1
4~5:サスマタ・角材(消耗品、『攻撃フェイズ』開始時に瞬時の使用。「近接攻撃リーチ+1」もしくは「近接攻撃ダイス+1」の効果を得る。)
6  :鉤爪クサリガマ(このシナリオ中限り『ムチ』として使用可能)

④簡易トレーニング・グラウンド

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作戦会議室の東側は、タタミが敷き詰められた簡易的なトレーニング・グラウンドとなっている。ここでは体格に優れた2人のウチコワシ構成員が向かい合い、カラテトレーニングに取り組んでいる。

なお彼らはトレーニングに取り組んでいるため、他の部屋で起こっている騒動に気がつくのが遅れてしまう(先述のように、作戦会議室以降は手分けして対処することを想定しているため、何らかの理由をつけて各部屋のNPCは移動させないことが望ましい)。

⑤フリースペース

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作戦会議室の北側は、後述の通信室に繋がるフリースペースとなっている。右側のスペースは、コブチャ・サーバーが設置された給湯室やトイレなどだ。通信室に繋がる扉は電子ロックされているほか、体格に優れたウチコワシ構成員のひとりが警護を行っている。このシーンにおいて、彼は何があってもこの部屋を離れることはない。

⑥通信室

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朱塗りされたUNIXパソコンが並べられ、3人の構成員が高速タイピングで情報収集を行っている。PCがこの部屋に侵入すると流石の彼らも抵抗を試みるが、最後のひとりにならない限り、1人はUNIX操作を続ける。

◇NPCデータ:ゲリラ戦闘員|イッキ・ウチコワシ

 ノボリ旗のたもと、スカーフで鼻から下を覆った複数の戦闘ゲリラが立ち上がり、手に手にクサリガマめいた武器を頭上で振り回し始めた。叫ばれるスローガン。「革命!」「決断!」「行使!」
ー【アット・ザ・トリーズナーズ・ヴィル】より

サスマタや角材を装備したイッキ・ウチコワシ構成員は、このシーンで最も基本的な敵性NPCとなる。装備している武器により「カウンターカラテ」で受動的に倒すことができるかどうかが変わってくるため、NMは適度に装備をバラけさせることで難易度を調整し、またPLが攻撃の優先度を検討する余地を残しておくのが望ましい。

◆ゲリラ戦闘員|イッキ・ウチコワシ(種別:モータル)	
カラテ    2  体力   1
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   3  脚力   2
ジツ     –  万札   0
攻撃/射撃/機先/電脳  2/3/1/1

◇装備や特記事項
 火炎瓶x2 : 『バクチク・グレネード』とみなす。

 また次の近接武器のいずれかを装備。
 ・サスマタ: 近接武器、ダメージ1、リーチ+1
 ・角材  : 『カタナ』とみなす。

◇NPCデータ:ゲリラ戦闘員(大男)|イッキ・ウチコワシ

 髭面の大男はナックルをはめた拳を打ち合わせ、フジキドを威嚇する。上座に座るニンジャが右手を上げて指図した。「……はじめよ!」
ー【アット・ザ・トリーズナーズ・ヴィル】より

このシーンには通常の構成員よりやや強力な、大柄な構成員が最初から数人配置されている。これは単調な戦闘にアクセントを加えるための存在である。NMはPCの強さに応じて「ゲリラ戦闘員|イッキ・ウチコワシ」の幾らかをこのキャラクターに置き換えても良いだろう。

◆ゲリラ戦闘員(大男)|イッキ・ウチコワシ(種別:モータル)	
カラテ    3  体力   2
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   3  脚力   2
ジツ     –  万札   0
攻撃/射撃/機先/電脳  4/3/1/1

◇装備や特記事項
 スキル :『◉突撃』

 ナックルダスター : 近接攻撃ダイス+1

◆病院そして遺体安置所

隠れ家を掃討したPCは、生け捕りにしたウチコワシ構成員と共に、白衣クローンヤクザが運転する救急車へ乗り込み、合流地点である病院へと向かうことになる。

イミテーション担架に乗せたウチコワシ構成員を次々と運び込む白衣クローンヤクザと共にPCが遺体安置所へと向かうと、そこでは複数の遺体袋に囲まれたニンジャ、オピネルがPCを待ち受けている。この不自然な数の遺体袋は、そのジツに用いるために彼が持ち込んだものだ。

明かされる計画の概要とノー・マーシーな時間

「ジツよりも、遥かにシンプルなことに使うのだ。アレを見よ」ローブから萎びた腕が伸び、彼の背後を指差した。そこには意識を失ったまま、粗野な椅子に縛り付けられるアワレな女ニンジャの姿!

一通りのアイサツが済むと、オピネルはPCの仕事の手際を「流石ソニックブーム=サンが寄越した連中だ」などとやや大袈裟に褒め称えた後、おもむろに背後を指差す。

そこには意識を失った状態で粗野な椅子に縛り付けられた女ニンジャ、アムニジアの姿がある。オピネルはそのアワレな姿を前に、今回の計画の概要と、彼がPCに任せたいと考えている本当の任務について説明する。

◉この女はアムニジアと言う名で、イッキ・ウチコワシの危険なエージェントのひとりである。だがその正体は、シックスゲイツが滅ぼしたドラゴン・ドージョーの忘れ形見、ユカノだ。

◉興味深いことに、アムニジアは何らかの要因で記憶を失っている。そして混迷にウチコワシ革命思想に触れたことで強く感化され、そのミームをスポンジのように吸収してしまった……というのが現状であると推測される。

◉考えられる記憶喪失の要因は、強烈な精神的ショックだ(今回の場合、ドラゴン・ゲンドーソーの死が該当すると思われる)。重要なのは、この事象が再現可能かどうかだ。

◉この遺体安置所では、次々とウチコワシ構成員を処刑して見せることで、ソウカイヤの前ではイッキ・ウチコワシなど無力だと示し、アムニジアの精神を打ち砕く。こうして作為的に記憶喪失を引き起こしたうえで、彼女をソウカイヤのエージェントとして洗脳を施すというのが今回の計画の目的だ。

◉PCには持ち前の残虐性、冷酷さ、それに類する敵性を存分に発揮してもらい、アムニジアの精神を打ち砕くための処刑ショーを手伝って貰う。

◇NPCデータ:オピネル

「おれはきさまらの残虐性にとても期待をしている。その類稀な才能を存分に奮ってもらいたいのだ」死んだような無表情のまま、彼はグルグルと喉を鳴らして愉快そうに笑った。

オピネルは暗いローブと粗雑な鋼鉄メンポだけを身に着けた、死体めいた灰色のニンジャだ。不気味なことに表情はおろかまばたきもしないが、これは彼のジツの特性に由来する。

彼はベーシックなキネシス・ジツに加えて、それを応用した特殊なフドウテンセイ・ジツを用いる。これは特別な儀式細工を施した死体に乗り移り、自らの肉体として操作するというものだ。PCが対面するオピネルの肉体もまた、かつての誰かの死体なのである。

彼のローブの下には、大量の切断された腕が隠されている。戦闘時にはそれらを一斉にキネシス・ジツで操り、様々な刀剣類を握り、邪悪なセンジュ・ブッダめいた構えを取る。

◆オピネル (種別:ニンジャ、ゾンビー)
カラテ    8  体力   18
ニューロン  7  精神力  14
ワザマエ   5  脚力   3/N
ジツ     6  万札   20
攻撃/射撃/機先/電脳  8/5/4/7
回避/精密/側転/発動  8/5/5/13

◇装備や特記事項
 スキル:『●連続攻撃2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、『◉◉グレーター級ソウルの力』
     『◉忠誠心:ソウカイヤ』、『◉交渉:挑発』、『◉交渉:共感』
 武器 :『無数の刀剣類(「カタナ」とみなす)』

『●死者の体』:
 死者を自らの肉体とするオピネルは、実質的なゾンビーニンジャとして次の効果を得る。
 ・【体力】を【カラテ】の2倍もしくは【カラテ】+10で算出する。
 ・【脚力】が本来の値から-1される。
 ・「精神攻撃」種別の効果や、【精神力】・ニューロンに対するダメージを無効化する。
 ・あらゆる『毒属性』ダメージや『毒』種別の効果を無効化する。 
 ・『火炎属性』ダメージを除く、あらゆる『遠隔攻撃』に対して有効な『ダメージ軽減1』を持つ。
 ・自身の行うあらゆる『回避判定』の難易度が+1される。
 ・『サツバツ!』出目6を受けた場合、付随効果の代わりに追加ダメージD6を受ける。

『☆キネシス・ジツ』:
 タイミング:手番「開始フェイズ」、コスト:精神力1・瞬時、発動:ジツ判定(NORMAL)、種別:強化
 ローブの内側に隠し持つ、切断された無数の腕を念力操作して刃物による連撃を繰り出す。
 手番「終了フェイズ」まで一時的に次の効果を得る。
 ・自身の「近接攻撃」に『連続攻撃+2』、『リーチ+1』、『近接攻撃難易度-1』を付与する。
 ・自身の「近接攻撃」の効果種別を『射撃』に変化させる。

『★刃の嵐』:
 『★ラピッド・カラテミサイル』が発動可能となる。

『★★フドウテンセイ・ジツ』:
 タイミング:爆発四散時、コスト:精神力2・瞬時、発動:ジツ判定(U-HARD)、種別:その他
 術者が爆発四散するとき、マップ上の『儀式体』を1つ指定して発動する。
 術者は【体力】を最大値まで回復し、全ての『●部位損傷』を取り除いた状態で、
 指定した『儀式体』と入れ替わる形でマップ上に再POPする。
『☆◉テンセイ・リチュアル』:
 タイミング:非戦闘時、コスト:精神力2・瞬時、発動:ジツ判定(HARD)、種別:その他
 欠損のない死体を対象に、両腕を切断し、カラテを込めたナイフによってルーンカタカナを刻む。
 これによって作成された『儀式体』は、『フドウテンセイ・ジツ』の転生先として使用できる。

◇NPCデータ:ヒュージシュリケン(オプション)

 ヒュージシュリケンはにこやかな顔になる。「カンバギ=サン、俺は三度の飯より拷問が好きだ。お前が売っているICチップを見ただけで、それを使った拷問を100個は思いつく」。それを聞いて、カンバギは恐怖のあまり震えた。
ー【サプライズド・ドージョー】より

NMがファンサービスとして原作キャラクターを登場させたいと考えるのであれば、あるいはシックスゲイツと共に『ドラゴン・ドージョー襲撃』を経験したというバックグラウンドがある場合は、オピネルの代わりにヒュージシュリケンを登場させるという選択肢もある。

ヒュージシュリケンはドラゴン・ドージョー襲撃を経て、ドラゴン・ドージョーとニンジャスレイヤーを含めたその残党に並々ならぬ恨みを抱いており、今回の任務を喜んで引き受けるだろう。

◆ヒュージシュリケン:無慈悲なる殺人マシーン (種別:ニンジャ)
カラテ    6   体力  7
ニューロン  6   精神力 7
ワザマエ   12  脚力  6/H
ジツ     0   万札  20
攻撃/射撃/機先/電脳  7/14/7/8
回避/精密/側転/発動  13/14/14/-
◇装備や特記事項
 サイバネ:『▶︎テッコLV1』、『▶︎サイバネアイLV1』
      『▶︎生体LAN端子LV1』、『▶︎クロームハートLV1』
 スキル :『●連射2』、『◉◉ダイシュリケン投擲』、『◉ダイシュリケン防御』、『◉滅多打ち』

『◉◉ダイシュリケン投擲』:
 2ターン連続の射撃は不可。タテ、ヨコ、ナナメの1方向を宣言して『射撃判定:U-HARD』で投擲。
 射程は最大20マスで、直線上にいるキャラ全てを通過し、ブーメランめいて手元に戻ってくる。
 この直線上にいた敵全員は、自動的に2ダメージを1回受ける。『回避:HARD』。
 『射撃判定』に【6,6,6】で成功した場合、2ダメージを1回ではなく『時間差』で2回与える。『回避:HARD』。

『◉ダイシュリケン防御』:
 背負ったダイシュリケンを盾として用いる。
 ヒュージシュリケンに射撃が命中した場合、そのダメージは自動的に1軽減される。
 この方法で20以上のダメージを吸収した時点で、ダイシュリケンは破壊され、二度と使えない。

◇NPCデータ:アムニジア

「離せ……離せ無礼者!」アムニジアは首を振って暴れた。「辱めになど屈さぬぞ!私は自由闘士!決断的訓練を経て内的矛盾を滅し、精鋭化した革命戦士だ!」ニンジャスレイヤーは押さえつける!アムニジアはその腕を力一杯に噛んだ。「ヌウッ……!」ニンジャスレイヤーは呻いた。だが離さぬ!
ー【ビガー・ケージズ、ロンガー・チェインズ】より

このシナリオにおいて、アムニジアは気丈な振る舞いを続けるが、基本的には完全に無力な存在だ。彼女は卓越した拷問家であるオピネルやヒュージシュリケンの言葉に惑わされながら、PCのカラテに倒れる同士の姿に心を折られてゆく。

ただしPCがソウカイヤに敵対する立場でこのシナリオに挑戦する場合、彼女は己を奮い立たせて彼らに加勢する可能性がある。

◆アムニジア(種別:ニンジャ)
カラテ    4   体力   5
ニューロン  4   精神力  5
ワザマエ   7   脚力   5
ジツ        0   万札   10
攻撃/射撃/機先/電脳  4/7/2/4
回避/精密/側転/発動  7/7/7/-
◇装備や特記事項
 武器 :『ナガユミ』、『アサシンダガー』、『デトネイション・アローx2発』
 防具 :『伝統的ニンジャ装束(回避ダイス+1)』、『タクティカル矢筒』
 スキル:『●連射2』、『◉トライアングル・リープキック』、『◉常人の三倍の脚力』
     『◉忠誠心:イッキ・ウチコワシ』、『◉スリケン乱射』、『◉記憶喪失』
     『◉魅了』、『◉交渉:共感』、『◉交渉:誘惑』

『◉記憶喪失』:
 アムニジアはドラゴン・ユカノが記憶を失った状態であるが、一世代前の自我と記憶は未だ保存されている。
 このため、ドラゴン・ゲンドーソー(ないしはそれに近い親密度の敵)と戦闘に入った場合、
 無意識のうちに躊躇が発生してしまい、この敵に対するあらゆる攻撃の難易度が+1されてしまう。
 アムニジアがユカノであると知っている敵は、とどめをささずに気絶させることを選ぶだろう。
 このため、このような敵からアムニジアへの攻撃で【体力】が0以下になったとしても、彼女は爆発四散せず、
 その場で戦闘不能状態になるだけである(追加でカイシャクを行われれば爆発四散する)。
 仮にアムニジア以外の味方が全てマップ上から取り除かれた状態で、このような敵に奪還された場合、
 ある程度の時間をおいて、ユカノは記憶を取り戻すだろう。

『タクティカル矢筒(レリック)』:
 即応ダイスを1個消費することで、ナガユミによる射撃時に『射撃ダイス』+2を得られる。
 この効果はフェイズ中1回までしか使用できない。

『デトネイション・アロー(弾薬)』:
 暗殺や破壊工作のために、ユカノはグレネード弾を内蔵した特殊な矢を装備している。
 デトネイション・アローを使用する際は、射撃前にどちらの方法で射撃するか宣言すること。

  範囲攻撃:爆発『カトンLV1』
  ピンポイント爆破:ナガユミで単発射撃し、ダメージ確定した場合、追加の2D3ダメージを与える。

◇NPCデータ:クローンヤクザ

恐ろしい拷問の舞台である遺体安置所および病院はソウカイヤのクローンヤクザによって護衛されている。NMはPCの人数が少なすぎるような場合、数人のクローンヤクザ(チャカガン装備)を増援として配置しても構わない。

逆にPCがソウカイヤに敵対する立場でこのシナリオに挑戦する場合、イッキ・ウチコワシの構成員をクローンヤクザに置き換える。

◆クローンヤクザ(Y-12型) (種別:モータル/バイオ生物/クローンヤクザ)	
カラテ    2  体力   1
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   3  脚力   2
ジツ     –  万札   1
攻撃/射撃/機先/電脳  2/3/1/1

◇装備や特記事項
 チャカガン: 銃器、連射1、ダメージ1
 もしくは
 アサルトライフル: 銃器、連射3、ダメージ1、『●射撃スタイル:掃射3』

◇アムニジアを拷問する|準備フェーズ

このシーンにおいて、PCはまずアムニジアの精神的な抵抗力を削ぐ試みができる。例えば悪質なサケを飲ませる、ドラッグを使用するなど、正常な判断力を失わせるものがこれに該当する。

NMはPLの提案に応じてRPを交えたダイス判定を要求し、判定に成功した場合、アムニジアに「【ニューロン】判定ダイス減少」のデバフを与える。これはPCが判定に成功するたびに発生するが、判定ダイス数-2までと上限を定めるのが良いだろう。

下記は判定が必要となる準備フェーズのアクションの例だ。

卓球台セッション:何処からともなく用意された卓球台にアムニジアを拘束し、ウチコワシ構成員が見守るなか、無防備な臀部に赤い卓球ラケットによる情け容赦ないスパンキングを加える。

判定・難易度 :【ワザマエ】判定、NORMAL
判定ダイス+1を得られるスキル(知識系・交渉系それぞれ1種まで):『◉交渉:煽り』、『◉知識:卓球』
スシ・トーチャリング:何処からともなくオーガニック・トロ・スシの重箱が用意され、オピネル/ヒュージシュリケン、PC、そして捕虜となったイッキ・ウチコワシ構成員に提供される。

一方でアムニジアに供されるのは、クローンヤクザ・イタマエが調理した、カラテの籠もらぬカリフォルニア・ロール(具材はアボカドのみ)だ。江戸時代より伝わる雅な手法に、ヤクザの無慈悲さを加えた独創的な拷問が彼女を苦しめる。

判定・難易度 :【ニューロン】判定、NORMAL
判定ダイス+1を得られるスキル(知識系・交渉系それぞれ1種まで):『◉交渉:誘惑・煽り』、『◉知識:貴族の流儀・ヤクザの流儀・高級嗜好品』

◇アムニジアを拷問する|拷問判定のルール

PCはウチコワシ構成員を様々なニンジャの手法で処刑することで、抵抗力を削いだアムニジアの精神力にダメージを与えることができる。

すべてのPCは下記の選択肢からウチコワシ構成員を処刑する方法を選択し、イニシアチブ順にひとりずつ判定を行う(これを「拷問判定」と呼ぶ)。判定に失敗した場合でもウチコワシ構成員は死んでしまうが、ニンジャ性が欠如するため、アムニジアに望むような効果は与えられない。

各判定には「判定成功報酬」が用意されており、PCが成功するたびに記載されたボーナスがプールされ、全員の判定が完了した時点でそれらを自由に分配する。これらのボーナスダイスは残虐行為によるアドレナリン分泌や、冷酷な精神集中が行われたことの表現である。

タチアイ:適当なウチコワシ構成員を指名し、拘束を解いた上で武器を与え、PCのひとりと戦わせる。オピネルは「PCを倒せば全員開放すると」約束するが、まず間違いなくPCが勝つだろう。

拉致した人数の範囲内であれば、対峙する構成員を2人として、その数だけ『連続攻撃』のようにダイスを分割して判定を行っても良い。全ての判定に成功した場合、判定成功報酬が2倍となる。ただし片方でも判定に失敗した場合、「タチアイ」判定そのものが失敗扱いとなる。

判定・難易度 :【カラテ】判定、NORMAL
判定成功報酬 :即応ダイス1個

判定ダイス+1を得られるスキル(知識系・交渉系それぞれ1種まで):『◉交渉:欺き・駆け引き・誘惑』、『◉知識:イッキ・ウチコワシ』
独創的拷問殺:末端の構成員では知らないであろう情報を聞き出そうとしながら、1本ずつ指をへし折るなどの独創的手法でウチコワシ構成員を痛めつけたうえで殺す。オピネルは「アムニジアは知っているが、末端構成員は知らない」程度の情報を聞き出すことをPCに提案する。

より独創的な手法で相手を痛めつける、あるいは高度な言葉回しで苦しめる場合、判定難易度を+1して判定を行ってもよい。判定に成功した場合、判定成功報酬が2倍となる。

判定・難易度 :【ワザマエ】判定、NORMAL
判定成功報酬 :緊急回避ダイス1個
判定ダイス+1を得られるスキル(知識系・交渉系それぞれ1種まで):『◉交渉:威圧・欺き』、『◉知識:イッキ・ウチコワシ』
革命ゼンモンドー殺:ウチコワシ構成員を相手に、ウチコワシ革命思想のあら捜しをするゼンモンドーを仕掛け、精神的に痛めつけて殺す。

判定・難易度 :【ニューロン】判定x2回、NORMAL
判定成功報酬 :緊急回避ダイスor即応ダイス1個
判定ダイス+1を得られるスキル(知識系・交渉系それぞれ1種まで):『◉交渉:理路整然・煽り』、『◉知識:イッキ・ウチコワシ・宗教』

◇アムニジアの精神力にダメージを与える

アムニジアはPCが「拷問判定」に成功するたびに、【ニューロン】判定(難易度:HARD)を行う。もし「拷問判定」が出目【6,6】を含んで成功していた場合、この判定難易度は+1される。それが出目【6,6,6】の場合、アムニジアは精神力ダメージ1を受けてから、判定難易度+1でこの判定を行う。

複数回の判定が発生する場合、いずれかの判定が上記の条件を満たしていれば良い(ニューロンが高いPCが比較的活躍しやすい難易度になっている)。PCの人数が多い場合、NMは【ニューロン】判定の難易度をNORMALまで低下させても構わない。

この【ニューロン】判定に失敗するたび、アムニジアは精神力ダメージ1を受ける(最低値は0)。

◇拉致作戦が順調でなかった場合は?
生け捕りにした数が目標値を下回る場合、最終的なシナリオ評価が下がるだけで済む。しかし、生け捕りにした数がPCの人数を下回る場合、さらにオピネルやヒュージシュリケンの不興を買ってしまう。

例えばオピネルはキネシス・ジツで極めて荒々しく、残虐に捕虜の1人を殺してしまう。これによってアムニジアは自動的に精神力ダメージ1を受けるが、この衝撃が彼女の感覚を麻痺させ、それ以降にPCが行う「拷問判定」の難易度が一段階上昇する。

仮にPCがあまりにも無秩序で、ウチコワシ構成員を全く生け捕りにしてこなかった場合、実質的に任務失敗となる。ラオモトおよびシックスゲイツの怒りを買ったPCたちは簀巻きにされるなどし、ニンジャスレイヤーなどを誘き出す餌として利用される(シナリオ終了)

◆ボス戦1:イッキ・ウチコワシの襲撃

「拷問判定」の処理がひと通り完了すると、その現場である遺体安置所ないし病院にイッキ・ウチコワシが襲撃を仕掛けてくる。彼らは監視カメラ映像から救急車のナンバーを追跡して、あるいはオピネル/ヒュージシュリケンが密かに撒いていた餌に食いついて、この場所にたどり着いたのだ。

上階の病院でクローンヤクザとの戦闘を繰り広げた後、遺体安置所には武装したイッキ・ウチコワシのゲリラ戦闘員たちが押し寄せ、その背後からは銀色の装束に身を包むニンジャ、フリックショットが現れる。オピネル/ヒュージシュリケンは彼らを皆殺しにするよう、PCに指示を出すだろう。

◇戦闘オプション:NPCの援護射撃

このシーンにおいて、オピネルやヒュージシュリケンはアムニジアの確保と言葉による精神攻撃を優先するため、フリックショットとのイクサには積極的に参戦しない(便宜上マップ上にはアムニジアと共に配置されるが、攻撃対象にはできず、行動も行わない)。

代わりに、NMはNPCの援護を表現するものとして、この戦闘の間、PCは任意のタイミングで次のような特殊な攻撃を発動することができるとしても構わない。

『キネシス援護オピネルがマップ上に存在する場合に限り使用可能。刀剣を握った2本の腕を衛星めいてPCに追随させ、キネシス操作で援護射撃を行わせる。毎ターン、任意のPCひとりは『★ラピッド・カラテミサイル』が発動可能となる。発動者は毎ターン自由に変更して構わない。発動コストはPCが支払う。
『ダイシュリケン投擲援護』:ヒュージシュリケンがマップ上に存在する場合に限り使用可能。ブーメランめいた軌道のダイシュリケン投擲で敵を無慈悲に刈り取る。偶数ターン(2, 4, 6ターン目)の開始時、任意のPCは自身を起点として『◉◉ダイシュリケン投擲』を発生させる。判定は不要で、方向もPCが自由に指定できる(ただしアムニジアやヒュージシュリケンを通過する直線は指定できない)。

◇NPCデータ:フリックショット

「ドーモ、プロミネンス=サン。私は進歩的革命組織イッキ・ウチコワシの戦闘的エージェント、フリックショットです」フリックショットが線路上でオジギした。「この敗北主義的な輸送新幹線は抑圧組織の退廃的資金源であり、同時に、忌むべきブルジョワ的退廃行為の活動機関である!」
ー【アット・ザ・トリーズナーズ・ヴィル】より

フリックショット自身はそれほど強力なニンジャではないが、実質的に12個の即応ダイスを持っており、ゲリラ戦闘員と連携した危険な範囲攻撃を繰り出してくるため油断ならない。

NMは短期決戦を前提に、即応ダイスや緊急回避ダイスなど限られたリソースは積極的に消費させると良いだろう。フリックショットは戦闘スタイルとして、特に複数人を巻き込める場合『跳弾パチンコ・ジツ』を優先して使用する。

◆フリックショット(種別:ニンジャ、ボス級の敵)	
カラテ    4  体力   6
ニューロン  4  精神力  7
ワザマエ   6  脚力   3
ジツ     2  万札   10
攻撃/射撃/機先/電脳  4/6/5/4
回避/精密/側転/発動  6/6/6/-
◇装備や特記事項
 装備 :『銀色のニンジャ装束(緊急回避ダイス+1)』
 スキル:『◉謎めいたニンジャソウル』、『◉忠誠心:イッキ・ウチコワシ』
     『◉知識:カチグミエリア』、『◉交渉:煽り』、『◉交渉:鼓舞』

 『◉反ブルジョワ思想の体現』:
  フリックショットは下記の2種類の戦闘スタイルで射撃をおこなう場合に限り、
  任意の値の【精神力】を「即応ダイス」として使用・消費することができる。

 『●戦闘スタイル|パチンコ・ジツ』:
  一度に8発のパチンコ玉をショットガンめいて連続射出する。
  この手番中、次の特殊な武器で遠隔攻撃が可能となる。
  遠隔武器、本人の連射+1、ダメージ2、時間差、チェーンターゲット、回避難易度:NORMAL
 
 『●戦闘スタイル|跳弾パチンコ・ジツ』:
  同じ部屋に『反射盾』を装備した味方が3人以上存在する場合に限り宣言可能。
  「回避ダイス2」を消費することで、この手番中、次の特殊な武器で遠隔攻撃が可能となる。
  遠隔武器、本人の連射+1、ダメージ1、時間差、範囲攻撃(3x3)、回避難易度:HARD
PCが遥かに強い場合、フリックショットのカラテ・ニューロン・ワザマエをそれぞれ+2する。防御性能こそ大きくは変わらないが、彼の攻撃性能は格段に向上する。

◇ゲリラ戦闘員(盾)|イッキ・ウチコワシ

「侮るなと言ったはずだニンジャスレイヤー=サン!これが組織皆戦闘員の思想的戦闘術だ!」秘密はニンジャスレイヤーを包囲する非ニンジャの構成員にあった。見よ、彼らは手に手に「反射」と書かれた威圧的な金属板を盾のように構えているではないか。「跳弾だと」ニンジャスレイヤーは包囲を見渡す。
ー【アット・ザ・トリーズナーズ・ヴィル】より

このシーンではフリックショットの他、特殊な反射盾を装備したイッキ・ウチコワシの構成員が多数配置される。彼らはほぼマップオブジェクトのような存在で、通常のルールではPCに攻撃を仕掛けてこない。

代わりに、フリックショットが攻撃できなかったPCが存在する場合、緊張感を保つため、そのPCを中心に火炎瓶による攻撃(判定自動成功)が発生するものとする。実質的にPCはフリックショットかウチコワシ構成員、どちらから攻撃を受けるのかを取捨選択させられることになる。

◆ゲリラ戦闘員(盾)|イッキ・ウチコワシ(種別:モータル)
カラテ    2  体力   2
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   3  脚力   2
ジツ     –  万札   0
攻撃/射撃/機先/電脳  2/3/1/1

◇装備や特記事項
 火炎瓶x2 : 『バクチク・グレネード』とみなす。
 
 サスマタ : 近接武器、ダメージ1、リーチ+1
 反射盾  : 【体力】+1

マップデータ:遺体安置所

画像9

画像10

このシーンではPCが完全に包囲された状態から戦闘がスタートする。フリックショットらとの戦闘時にはあまり気にする必要はないが、マップには下記のようなギミックが存在している。

◇エレベーター
左上の「Ev」は搬入搬出用のエレベーターを示しており、マップからの脱出に使用することができる。ただしエレベーターがこの地下フロアに降りてきていない場合、誰かが隣接して『その他の行動』として「呼び出しボタンを押す」必要がある。ボタンを押してからエレベーターが到着するまでには、1D3ターンを要する。

あらゆるキャラはEvマスに到着するとエレベーターに『乗り込んだ』状態とみなされる。この時、即座にマップから脱出することを宣言できるが、他の『乗り込んだ』状態のキャラも伴うことになる。

これはつまり敵もエレベーターに乗り込めるということであり、それを恐れて先行して脱出してしまうと、他のPCはマップに置いていかれてしまうということでもある。
◇階段
左下の扉を抜けた先のスペースは、上階へと続く階段を示している。PCはここを通じてマップから脱出することもできるが、基本的には、撤退するウチコワシ構成員に塞がれてしまう、など様々な理由で2~3ターンが経過するまでは通行不能となるのが望ましい。

◆ボス戦2:現れるニンジャ殺戮者

 ニンジャスレイヤーはアムニジアを見据えた。「ユカノ……?」アムニジアはこめかみを押さえ、苦しげに繰り返した。「ユカノ…その名前は……」「記憶が無いのだな。ユカノ。話は聞いている」「お前は私を知っているのか?」「そうだ」ニンジャスレイヤーは頷いた。「迎えにきたぞ」
ー【スシ・ナイト・アット・ザ・バリケード】より

フリックショットが爆発四散すると、混乱に陥ったイッキ・ウチコワシの構成員たちはマップ左下の階段に殺到する形で撤退を始め、完全に通行を阻害してしまう。一方でそれと入れ替わるようにエレベーターが地下フロアに到着したかと思うと、そこからはニンジャスレイヤーがエントリーを果たす。(エレベーターは即座に地上フロアへと向かい始めるため、PCがこの場から即座に逃げ出す手段は一時的に失われることになる。)


ここまでの過程で精神が揺らいでいるアムニジアは、ニンジャスレイヤーの呼びかけによってドラゴン・ユカノとしてのアイデンティティを取り戻し始めるかもしれず、それはソウカイヤにとって不都合な事態だ。

オピネル/ヒュージシュリケンは指揮官を失い混迷するウチコワシ構成員を捨て置き、ニンジャスレイヤーに対処しながら、アムニジアを連れて撤退するよう指示を飛ばすだろう。PCはアムニジアを担ぎ上げ、唯一の脱出ルートであるエレベーターを目指すこととなる。

◇アムニジアを連れ去る
この戦闘では毎ターン終了時にアムニジアへ精神力ダメージ1が与えられ、【精神力】が0になるとアムニジアは悲鳴をあげて特殊な気絶状態となる。

アムニジアは例外的に常時、運搬ルールで「かつぐ」ことが可能だが、【精神力】が1以上ある場合、激しく暴れて抵抗するため、運搬者はあらゆる「移動スタイル」が使用不可となる。

ニンジャスレイヤーはアムニジアの運搬者を優先的に攻撃するが、あまりにも集中攻撃に徹すると少なからず不公平感が生まれてしまう。NMは適度にヘルタツマキなどの範囲攻撃を織り交ぜるか、隣接しているPCがいる場合は攻撃を分散する旨を予めPLに伝えてリスク分散ができるようにするのが好ましい。
◇ニンジャスレイヤーとオピネル/ヒュージシュリケン
PCが戦闘している間、ニンジャスレイヤーとNPC(オピネル/ヒュージシュリケン)は『コマンド選択式の戦闘』により毎ターン応酬を行う(ニンジャスレイヤーは例外的に、本来のイニシアチブの行動権を消費しない)。

基本的にはスキルを多く保有するニンジャスレイヤーが優勢になるようにボーナスを調整するのが良いが、PC・PLが極めて好戦的な場合、『コマンド選択式の戦闘』で発生する体力ダメージを「回避ダイスダメージ」に置き換え、撤退の代わりに撃破を目的としても良いだろう。

◇NPCデータ:ニンジャスレイヤー

 その悲鳴は一人の女が発した声であった。ニンジャスレイヤーは立ち上がった。ドラゴン・ゲンドーソーのファンダメンタル・インストラクションの記憶が、まるで乾いた土に雨水が落ちたように、ニンジャスレイヤーのニューロンに染み渡った。「フジキド!」「ユカノ!」彼は立ち上がった。
ー【シャドー・コン】より

このシナリオでは作成間もないPCを基本ターゲットとしているため、ニンジャスレイヤーについてもスターター環境向けの未熟な状態を現すデータを下記に引用している。

時系列としては、このシナリオまでに【メナス・オブ・ダークニンジャ】か、少なくとも【サプライズド・ドージョー】を経由してカラテが鍛えられている可能性が高いため、PCがある程度熟達しているならベイン・オブ・ソウカイヤのデータでニンジャスレイヤーを登場させ、大暴れさせるのも選択肢となる。

◆ニンジャスレイヤー (種別:ニンジャ)
カラテ    13  体力   13
ニューロン  7   精神力  9
ワザマエ   10  脚力   7/N
ジツ     0   万札   10

攻撃/射撃/機先/電脳  13/10/5/7
回避/精密/側転/発動  14/10/10/-

回避難易度修正: 対近接攻撃(難易度−1/ジュージツ)、対スリケン射撃(難易度−1/見切り)
ダメージ修正 : 出目【6】を含んで成功した『近接攻撃』は、『痛打+1』を得る。

◇装備や特記事項
 装備 :『家族の写真』、『パーソナルメンポ』、『伝統的ニンジャ装束』
 スキル:『●連続攻撃3』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、
     『◉ランスキック』、『◉◉憎悪:ニンジャソウルの闇』、
     『◉ヘルタツマキ』、『◉ツヨイ・スリケン』、『◉ナラク・ウィズイン』、『◉即死耐性』

◇オプション:革命組織エージェント・ニンジャスレイヤー

もしフリックショットが生存している場合、イッキ・ウチコワシとニンジャスレイヤーは一時的に共闘することになるだろう。あるいは【アット・ザ・トリーズナーズ・ヴィル】で描かれたように、ユカノを追うニンジャスレイヤーが、この時点でイッキ・ウチコワシへ一時的に所属している可能性もある。

NMは戦闘シーンを短縮し密度を上げるオプションとして、上記のようなバックグラウンドの元、ニンジャスレイヤーとフリックショットを同時にPOPさせても構わない。その場合、PLは「フリックショットらウチコワシと戦闘する」「ニンジャスレイヤーに追撃されながらアムニジアを連れてマップからの逃亡を図る」どちらかの展開を選択して戦闘に挑むことになる。

このオプションを採用する場合、NPCの『コマンド選択式の戦闘』や『NPCの援護射撃』は難易度が下がりすぎるため採用しないほうが良いだろう。

なおフリックショットと戦闘する場合、戦闘に勝利した後は、NPCがニンジャスレイヤーと戦闘している間にアムニジアを連れ出したものとして自動的にシーンを進めて構わない。またニンジャスレイヤーから逃げる場合、階段とエレベーターの両方を最初から脱出ルートとして使用することができる。

◇オプション:アムニジアを従わせる
戦闘開始時点でアムニジアの【精神力】が0の場合、その認知能力が不安定になり、PCの簡単な指示に従うようになった、としても構わない。このケースにおいてアムニジアは「通常移動」と「スリケン投擲」しか行えないが、ニンジャスレイヤーはアムニジアからの攻撃の回避難易度が+1されてしまう。

◆評価と報酬

どの段階でも、PC全員が爆発四散するかマップ上から脱出してしまうと、このシナリオは終了となる。最終評価はその時点で達成されている目標に応じて変化する。もしニンジャスレイヤーを行動不能に陥れていた場合、評価は自動的に一段階+となる。また「モータルハント(イッキ・ウチコワシ)」を採用している場合、トレジャー分の補填として報酬額を若干増額する。

なお「革命組織エージェント・ニンジャスレイヤー」のオプションを採用している場合、「フリックショットを爆発四散させた」を「ニンジャスレイヤーに立ち向かった(積極的に攻撃を仕掛けた)」などと読み替えるのが良いだろう。

PCが特別キアイを見せてニンジャスレイヤーに喰らいついた場合、彼らを斡旋したソニックブームは機嫌を良くするので、NM判断で「全員に万札:3の小遣いを与える」、「ユウジョウ判定のダイス数を+1する」などのボーナスを与えても構わない。

Aランク評価:
・十分な数のウチコワシ構成員を拉致した。
・フリックショットを爆発四散させた。
・遺体安置所からのアムニジアの回収に成功した。

報酬:余暇スロット4個、全員が【名声:ソウカイヤ】+1、DKK+5、生け捕りにした構成員の人数x1 + 40万札を山分け。
Bランク評価:
・次のタスクのどちらか片方は成功したが、片方は失敗した。
  ・十分な数のウチコワシ構成員を拉致した。
  ・フリックショットを爆発四散させた。
・遺体安置所からのアムニジアの回収に成功した。

報酬:余暇スロット4個、全員が【名声:ソウカイヤ】+1、DKK+5、生け捕りにした構成員の人数x1 + 30万札を山分け。
Cランク評価:
・次のタスクの両方に失敗した。
  ・十分な数のウチコワシ構成員を拉致した。
  ・フリックショットを爆発四散させた。
・遺体安置所からのアムニジアの回収に成功した。

報酬:余暇スロット4個、全員がDKK+5、生け捕りにした構成員の人数x1 + 20万札を山分け。
Dランク評価:
・遺体安置所からのアムニジアの回収に失敗した。

報酬:余暇スロット4個、【名声:ソウカイヤ】-1、DKK+5、シナリオ中の獲得【万札】を10没収

そして何が待ち受けるのか

「ドラゴン・ドージョーは私を攫い、偽りの記憶を植えつけていたカルト組織だ。奴らの前時代的な姿勢は、都市の現実から目を背けたただの事なかれ主義であり、ソウカイヤが築かんとするネオサイタマの闇の秩序をいたずらに乱すだけである。よって、その残党は全て抹殺する」
ー「アムニジア:エージェント・オブ・ソウカイヤ

アムニジアはシナリオ終了時の残り【精神力】に応じて、そのアイデンティティが変化する。

【精神力】が1以上残っていた場合、ウチコワシ革命思想に感化されたままか、ドラゴン・ユカノとしてのアイデンティティを取り戻す。PCが彼女を回収していたなら、ユカノはソウカイヤへの反抗的態度を崩さず、別の洗脳計画に晒されることになるだろう。

【精神力】が0になっていた場合、アムニジアは精神的に打ちのめされ、ソウカイヤのエージェントとして洗脳されてしまう。彼女は完全に記憶喪失になったわけではなく、おぼろげに過去を記憶しているが、それはドラゴン・ドージョーやウチコワシに洗脳を受け、利用されていたに過ぎないと信じ込んでいる。PCが彼女を回収していたなら、後輩ニンジャとして任務を共にする機会が訪れるかもしれない。


いずれのケースでも、今後PCは彼女の手掛かりを求めるニンジャスレイヤーに襲撃され、インタビューを受ける可能性がある。

◇ユウジョウ判定表:アムニジア(エージェント・オブ・ソウカイヤ)

下記はソウカイヤのエージェントとなったアムニジアとのユウジョウ判定表のサンプルである。NMはこれを自由に改変し、アムニジアを【精神力】が0の状態で回収に成功した場合の報酬として、ユウジョウ判定の対象とできるようにする。

最重視するパラメータ:【ワザマエ】または【名声:ソウカイヤ】

親密度1:「シンジケートの敵は排除する。それが貴様でも、私は躊躇をしない」
 報酬:『◉知識:ヤクザの流儀』/『◉知識:独立小組織』

親密度2:「君、ソウカイヤクザにならない?……なんだお前か」
 報酬:『◉魅了』/『◉交渉:誘惑』

親密度3:「救い出してくれたこと、感謝している。
      さもなくば、今も私は闇の秩序を乱す側についていただろう」
 報酬:『◉ランスキック』/『◉スリケン乱射』

親密度4:「ソウカイ・ファミリーこそが私の全て……お前が教えてくれたことだ」
 報酬:『◉忠誠心:ソウカイヤ』/『◉憎悪:ドラゴン・ドージョー』

  爆発四散:「ソウカイ・シンジケート……バンザイ!サヨナラ!」

◇ユウジョウ判定表:オピネル

このシナリオにおいてオピネルは(PCの脱出後などに)ニンジャスレイヤーに滅ぼされる可能性が高いが、彼が生存したとNMが判断した場合、このシナリオ以降はユウジョウ判定の対象にできるようになる。

最重視するパラメータ:【ジツ】x2または【カラテ】

親密度1:「きさまらがくだんの新人か?よし、モータルの殺し方を教えてしんぜよう」
 報酬:『◉知識:犯罪』/『◉滅多斬り』

親密度2:「ただ殺すな、残される者に恐怖を刻みつけよ。それがモータルの群れを破壊するコツだ」
 報酬:『◉交渉:挑発』/『◉交渉:共感』

親密度3:「ジツの準備を手伝え。腕を斬れ。モータルは文字通り、おれの血肉となるのだ」
 報酬:『◉知識:ルーン・カタカナ』/『◉知識:オカルト』

親密度4:「……ニンジャは死体がのこらんのがざんねんきわまりない」
 報酬:『☆◉カラテミサイル触媒』/『◉ニンジャソウルの闇』

  爆発四散:「バカな……!おれのジツを見破っていたのか……!」
  報酬:『**エッジ・オブ・オピネル**』
【万札:UR】:『**エッジ・オブ・オピネル**』
オピネルのカラテが残留する刀剣。謎のルーン・カタカナと、"腕"という漢字が刻まれている。

標準近接武器とみなす。通常の「カタナ」のルールに加え、以下のルールを持つ。 
 ・所持ボーナスとして【精神力】+1
 ・装備時の『ジツ発動判定ダイス』+1

 ・シナリオ中1回限り、【精神力】を1消費してフェイズ終了時までこの武器に『リーチ+1』を付与する。

◆ストーリーラインをよりマイルドにするアイデア

プレイグループがあまりノー・マーシーな展開を好まず、比較的奥ゆかしいキャラクターでプレイされることが想定される場合、全体的なストーリーラインがマイルドになるよう大きく改変してしまっても構わない。

下記はそうしたストーリーラインのアイデアのひとつだ。

1)ドラゴン・ユカノは『ドラゴン・ドージョー襲撃』以降、行方が知れず、記憶喪失の状態でネオサイタマを彷徨っている。ソウカイヤのニュービーであるPCは、ソニックブームに命じられた反抗的ヤクザクランの粛清、イッキ・ウチコワシのアジト襲撃など幾つかのケチなビズを片付けに向かう途中、偶然そのユカノと遭遇する。

2)ドラゴン・ユカノの存在こそ知らないが、ソニックブームから小金でも貰えないかと考えたPCは無抵抗のユカノをスカウトする。場合によってはPCの誰かが「アムニジア」というニンジャネームを命名することになるかもしれない。

3)ソニックブームにスカウトの旨を報告すると(よもや対象がドラゴン・ユカノとは思いもしないので)OJTの新人教育の一環として「現在のビズに同行させてヤクザの流儀を教え込んでこい」と指示を受ける。

4)このシナリオの道程のほぼ全ては、アムニジアにヤクザの流儀を実演して教育する、ややコミカルなものとなる。ウチコワシ構成員の拉致は反抗的ヤクザクランの襲撃に、アムニジアへの拷問判定はヤクザクランのオヤブンへのケジメ教育に読み替える。

5)最終的にイッキ・ウチコワシの拠点を襲撃したPCはフリックショットらと戦闘になり、場合によってはアムニジアを追ってきたニンジャスレイヤーも交えた三つ巴の戦闘に発展する。

◆カルマ:善でプレイする際のアイデア

プレイグループがストリート・ニンジャや【カルマ:善】のキャラクターを好む場合、ストーリーやシナリオ構成を大きく改変してしまっても構わない。下記はそうしたアイデアのひとつだ。

1)PCはドラゴン・ゲンドーソー、あるいはガンドーやナンシーなどニンジャスレイヤーの協力者経由で、行方不明のドラゴン・ユカノの捜索を依頼されている。かつてユカノやドラゴン・ドージョーに助力を受けた借りがある、あるいはドージョーの門下生である、としてもよいだろう。

2)「拷問判定」を手掛かりの調査判定に読み替え、PCはユカノの痕跡を追う。行き先は元シナリオどおり、ソウカイヤの息が掛かる病院である。NMは「イッキ・ウチコワシのアジト」のマップを病院に読み替え、ウチコワシ構成員をクローンヤクザに置き換えて使用する。

3)遺体安置所で待ち受けるボスはオピネル単体となり、『儀式体(遠隔ダメージ軽減1/体力2)』をマップ上に数個配置する。彼は極めて強力なニンジャであるため、時間経過で「ニンジャスレイヤーが増援に現れる」、「ユカノが正気に戻り加勢する」などのオプションを用意した上で、『儀式体』を破壊するとオピネルに1D6ダメージを与えるなどのギミックを用意する。

4)もしPCが『ドラゴン・ドージョー襲撃』などをドラゴン・ドージョー側で経験している(そして十分に強い)場合、さらにボスとしてヒュージシュリケンを登場させ、『サプライズド・ドージョー』のような展開で生まれた因縁を精算させても良いだろう。

オピネルはアースクエイクを代替する強さをイメージして作成されており、NMはここで擬似的な『サプライズド・ドージョー』の展開を構築することもできる。



🍣スペシャルサンクス・テストプレイヤー:クランデスティン=サン、T1000G=サン、古矢沢=サン、ねこぞう=サン

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