NEXLINKをつかうひとー髙野さんー

僕は死ぬまで出版社の可能性を追求したい。 | ライツ社 髙野翔さん

こんにちは!
ネクスウェイの小堤(こづつみ)です。

ネクスウェイがメインで提供している、FAXやメール、郵送DMを送れるツール「NEXLINK」。
さて今回の記事はテーマを新たに、『NEXLINKをつかうひと』と題して、ユーザーさんのことをもっと知ってもらいたいと思っています。

と言いつつFAXの使い方や、いわゆる事例のようなことは一切でてきません。そちらを期待される方はまたの機会でご容赦ください。(笑)

シリーズ『NEXLINKをつかうひと』
第一回はこの人。株式会社ライツ社 髙野翔さん
出版不況と言われるこの時代に独立し、兵庫県明石市で出版社を設立。
写真集からビジネス書まで幅広く出版し、最近では『売上を、減らそう。』が「読者が選ぶビジネス書グランプリ2020」でイノベーション部門賞を受賞。

今注目の出版社、ライツ社の代表の一人で、営業担当の髙野さんにお話を伺います。

独立という決断

小堤 今日はよろしくお願いします。まずは髙野さんがベンチャー出版社として独立した経緯を伺いたいです。

髙野 はい。前職の出版社で大塚(ライツ社代表取締役編集長)が編集長、僕が営業マネージャーをやっていて、その会社は好きでしたけど、当時の業績が良くないのもあって退職を考えるようになって。
でもそれまでできていた、好きな仲間と関西で本を出すということは続けていたいと思ったんですよ。
で、転職すると大塚とも離れるかもしれないし、営業ひとつとっても今まで少人数の出版社だからできていた、一人で企画を見つけたりとか、それが実現したりとか、営業の1から100まで全部自分でできるみたいなことが、転職して後から入った僕がやらせてもらうまでになるのは難しいんじゃないかと思ったんです。

だったら「独立する」というのが、好きな仲間と、好きな場所で、好きなように本を作って、好きな本屋さんに届けるっていうことを一番実現しやすいかなって思ったんですよ。
まあそれで、二人で運良く独立できたという感じです。

大塚さんと髙野さん

小堤 そうなんですね。前職の出版社でもやりたいことはできていたんですよね?独立して何か変わったことはありますか?

髙野 自由にやらせてもらえるという点は変わってませんが、独立したあとの方が、いろんな人に会えるようになりました。
「新しく出版社作ったんです。」と言うと、「こんなご時世に…!」みたいな感じで応援してくれる人であったりとか。
そんな出版社には会ってくれない著者さんの方が普通は多いと思うんですけど、意外と「会社作ったなら一緒にやろうか!」みたいな感じで会える人が増えたり。
出版業界の中で面白い人にも、独立後のほうが多く関わりを持てている気がして、それが一番大きいですかね。

小堤 会える人が増えたか、なるほど…!それって応援してくれる人が増えたってことなんですかね?

髙野 そうですね、私本当に偉くないので、偉そうなことを言うつもりはまったくないんですけど、腹はくくったので。
腹をくくると会える世界ってのは広がるんかなというのは思いますね。

新しいことをやる。ということ

小堤 (ことばの重みが…。)確かにそうかも知れないですね。
ぼく、ライツ社さんて、出版業界の中でいろんな新しいことをどんどんやってるなという印象があるんですが、出版業界紙 on noteとか

サイボウズ式ブックスもそうですし。

髙野さんにとって「新しいことをやる」っていうのはどんなことだと考えてますか?

髙野 んー。まず新しいことができてるつもりはまったくないんです。
まあでも、もともと出版社ってコンテンツの塊だし、それに大きい会社・小さい会社ありますが、小さい地方の出版社にも役割があると思っていて。
今まで出版社って一般的に言えば、「著者と本を作って売る」という役割だったんですけど、
僕は死ぬまでに「出版社のできること」とか、「本の可能性」を広げられたら嬉しいなという想いがあります。
それは、地方で、自分で、ちっちゃい出版社として独立したからこそ大きくなっていった想いなんです。
我々がここでやってる役割もあるんやなと思い始めて。
なので、サイボウズ式ブックスで言えば、(地方の小さな出版社が、)東京の大きなITの会社さんと新しく出版部門を立ち上げるとか。
出版業界紙on noteは、斜陽と言われて久しい出版業界から「note」で、明るいニュースを届けたいとか。
なにか出版社の新しいカタチとか、できることを増やしたいっていう想いがあるんです。それでいろんな人と会ってるから「なんか一緒にやりましょう」ってなった時に、この人と組んだらとか、新しい媒体でこういうことしたら、もっと伝わるかなとか、自分の想いが形にできるかなって思っただけですね。
もちろん大手の会社さんだったら物流を変えるとか、電子書籍の可能性を探るとか、規模の大きい事ができるかもしれないですけど、
僕には業界を一変させるってパワーはないので、ちっちゃくても何か発信して、「こういう可能性広がりました、しかも利益が出てて続いてます。」みたいなことを積み重ねた先に、
若い人が「正直、あんな会社でもできるんやったら、自分でもできるわ!」みたいに思ってもらえたら最高やなって思うんです。(笑)

ギブとかテイクとかじゃなくて、「恩返し」

小堤 いやぁ最高ですね(笑)
そうそう、ちっちゃくても、自分や自分の会社には役割があるんだと思えるとか捉えられるってめちゃくちゃ大事ですよね!
でも、想いがあって、素敵な人との出会いがあって、って他の方もそうだと思うんですけど、「なんか一緒にやりませんか」が髙野さんの周りにはすごく多いし、そこからちゃんと実現に向けて走り出せるものがたくさんあるなというイメージを持ってるんですが、なんでなんですか?

髙野 いやぁなんででしょうね。それはライツ社がどうこうというより、周りの方たちが素敵な人たちが多いだけですけどね。

小堤 んー。そういえば、私(小堤)にも他の出版社のお客さんを紹介してくださったりとか、相手のWinになるようなことをすごく率先してされる方だなと思ってるんですが、そういうこと事が他の人を惹きつけて、「なんか一緒にやりませんか」が実現してくのかな、って個人的に思ったんですが、そういうのは意識されてるんですか?

髙野 あ、それはないですね!

小堤 え!?

髙野 無いと言うか、本当に前職のときの周りの先輩に助けられてここまで来られたので。営業を教えてもらったり、面白い人を繋いでくれたりとか。それを少しでも恩返しというか、やってもらったことを自分でもやりたいなということを考えてます。そういう人が多いのがこの業界の良さだし、面白さなんじゃないかなと。
確かにそういう先輩見てると、人も集まってるし、やってる仕事も面白いし、結局そうしてる人の方が面白いことできてるし利益は出てそうな気がしますね。
ただ、それを意識してるというよりかは、恩返し!ってことですね。まあ全然まだまだできてないですけど。

小堤 他の人から受けた恩を、自分も他の人に還元したい。

髙野 そうですね。

小堤 でも、わかっていても、「会社的に利益が出ないと」とか、「テイクできる見込みがなければギブできない」とか、「ギブしたのにテイクできないじゃん」とか。そういう思考とか、思考というよりは仕組みがそうさせてる場合もあると思うんですけど、変わるにはどうしたらいいんですかね。

髙野 いや、ギブしてるつもりもないんですけど。
でも中長期的に、絶対この人と関わっていたほうが面白いとか、だから飲んで学びたいとか、そういうことをちゃんと伝えれば伝わる気がしますけどね。

出版社の営業とは?

小堤 出版社の営業って、書店さんにこれから出る本や、今売れてる本をご紹介・提案しながら、本を仕入れてもらうという仕事ですよね。この仕事をする上で心がけてることとか、大事だと思ってることってありますか?

髙野 そういうの(営業のテクニックやコツ)を聞くのに、僕は一番間違った相手だと思いますけどね。(笑)
僕は、本屋さんがすごい好きなのでいつもワクワクして営業しに行くんですけど、楽しいなとか、これ好きだなとか、ひいては本に携わる幸せとか、そういう情熱は持っていようと。情熱が全てやと思うんで。

小堤 出版社に勤める前から本とか書店が好きだったんですか?

髙野 あー。好きでしたね。詳しくはなかったけど。
(大学は)哲学科ってとこにいたので本は読んでましたし、哲学科に入るきっかけが『ソフィーの世界』って本で。
世界っていつ始まって、いつ終わるのかとか、人類はどこへ向かうのかとか、変なことを考えてたんですけど、そういう変なこと考えてる人が自分以外にもいっぱいいるってことに救われたんです。
自分の人生が変わるきっかけが、本とか、物語なんで、そういう原体験はあります。
だから「自分ってなんなんだろう」って悩んでる人の“ 救い ”とか“ 光 ”になるような本を届ける仕事ができたら最高やな。
って、いつも思って営業してます!

新しいことが良いなんて全然思わない。

小堤 ありがとうございます!
じゃあ最後に。次しかけたいこと!なんでしょうか。

髙野 なんやろな。小説と絵本はやりたいなと思いますけど。

小堤 小説と絵本…。

髙野 本の何がいいって、僕の中では物語があることなんですよ。
で、物語性が一番出るのって、小説とか絵本じゃないのかな、って。
小説は当然のごとく物語だし、絵本ってつきなみですけど、子供の世界観を深めたり、新しい世界に触れさせたり、っていうのはめちゃめちゃ素晴らしいことやと思うんで。
そういったものをライツ社で出して、面白いしかけができたらなーと。
すんません。「しかけ」はこれから考えます!(笑)

小堤 期待してます!
確かに、ライツ社さんで今まで出されてたのって、実用書とかビジネス書とか写真集で、小説とか絵本はまだなかったですね。

髙野 そうですね。自分の中のチャレンジとしては、小説と絵本を出して、今までにない売り方・届け方をするとか、新しいコンセプトの本を作るとか、新しいことでかつ、おもろいことを打ち出せたらいいなって思います。

小堤 おぉ。新しいこととかおもろいことをしようっていうのは、ベンチャー出版社だからこそ、そこにこだわるんですか?

髙野 いや。それは関係ないです。新しいことが良いなんて、全然思わないけど、まあなんか好きなんです、新しいことをするのが。そういう性格なんやと思います。

小堤 あぁ。新しいことって、新しいからやるんじゃなくて、好きだからやるんですね。すごくしっくり来ることばが聴けました。

髙野 ありがとうございます。その方が全力で体重かけられるんで。そういう方が自分の中でも一生懸命売れます!まあ偉そうに言うつもりはないですが、
「好きなことで、生きていく。」みたいな。(笑)

小堤 そうですね。(笑)

髙野 僕にとってそれが一番幸せですね。好きな著者と、好きな本作って、好きな書店さんに売って、それでご飯が食べられて、まさか飲みにも行けるなんて、言うことないですね。(笑)

小堤 いや、ほんとそうですね。今日はありがとうございました!

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