「本当にやりたいことに集中する~次世代/ティール型組織の国内NGO導入事例から」まとめ

NexTreams広報担当ロールの安田健一(やっさん)です。少し前になりますがHAPIC2021(2月15日)での「本当にやりたいことに集中する~次世代/ティール型組織の国内NGO導入事例から」ワークショップから自己組織化組織(Self-Organization)の支援事例を紹介します。

第3回目は、紹介した事例から見える共通内容とこれからの課題です。

(3事例に共通する要素:望ましい変化を促す要素)
自己組織化組織における、組織のレディネスとしての望ましい変化を促す要素としては以下となります。
➀自己変容型リーダーシップ
➁リーダーの豊富なビジネス経験と人脈
➂組織のパーパス(実現したいこと)の高さ
➃メンバーの社会貢献意欲の高さと組織パーパスの共鳴
➄新しいことや世界の多様性へのオープンさ
➅一定のITスキル

➀については、創業社長(Bowl)・創業事務局長(JEN)といったトップリーダーが自らの持つビジョンや想いを実現するために自ら変容を続け、言行一致で権限移譲を進めてきました、またJANICについても、理事長が若く自己組織化の世界観との親和性が高いということがあります。こうした自己変容型のリーダーシップスタイルがまず自己組織化組織を進めるにあたり重要な要素になります。このため、フラット化の痛み、”グリーンの罠”の実感しながらそれを乗り越えていくことができたといえます。

また、②についてもトップリーダーのみならず、組織内リーダーの経験値や人脈も大きな要素と言えます。BowlについてはNo.2が高いITスキルと実務能力で「ホラクラシー®定着」ロールとして多様なサポート実施し、JANICについては理事長、事務局長、マネジャー3人のコアチームを2人のマネジャーが積極的にリードしています。

➂と➃については、いずれの組織も社会貢献・世界に対する貢献意欲の高い目的・事業を営んでおり、組織パーパスを明確にしたことにより更なる貢献意欲の促進につながりました。いずれの組織も膨大な仕事量をこなす技量を持ち、こうした貢献意欲の高さも相まって、組織パーパスの実現を進んでいます。

➄と➅については、どの組織においても新しいことを学ぶ姿勢を持ち、メンタルモデルやNVC®など内面を扱う研修の継続実施したり、Holacracy🄬やGTD🄬などの新しい方法ややり方にも積極的にチャレンジしています。また、基本的なPCやITスキルをもっていることもこうした新しい手法を導入することの障害を越えていくことができた要因です。

(3事例に共通する要素:望ましい変化をスローダウンする要素)
自己組織化を推進するにあたり、組織におけるチャレンジ(望ましい変化をスローダウンする要素)としては以下になります。

➀ヒロイック・リーダーシップ:経験豊かで視座が高いため他者を救ってあげたくなる    →自律を阻害
➁習慣の変えにくさ(頭の理解が実際の自然な行動になるまでの時間)
➂自身の影響力の自覚しにくさ(全ポジション)
➃経験やスキル(仕事効率化、明確な言語化、ITリテラシー、自身の内面的成長など)の メンバー間のばらつき
➄多様な働き方による定期ミーティング参加と家庭の事情のバッティング、膨大な仕事量などの問題

➀については、一見頼もしく見えるリーダーシップですが、ヒロイック・リーダーシップは
自分が強者で助ける相手が弱者であるという暗黙の目に見えない構造が存在しています。これにより、他者の自律を阻害し、発達を押しとどめる可能性を持ち合わせます。

➁については➀にも関係してきますが、こうした行動が習慣となっていると、認知していても、自然に身に着いた行動になるまで時間を要します。つまり組織変化にはこうした慣性を超えていく息の長い取り組みの理解が必要です。

➂は組織内全体にいえることであり、➀とも関連しますが経験豊かで視座が高いとアドバイスをしたくなる傾向が組織内リーダーには強く出てきがちです。こうした影響は自律と成長を阻害する可能性を持ちますが、当事者は自身の影響力は自覚しにくい傾向があります。

➃については、仕事の効率化・明確な言語化・IT経験やスキルなどのメンバー間のばらつきが自己組織化を進めていく上でスローダウンへの慣性となりえます。これに加えて➄のような社会の多様性に合わせた多様な働き方や仕事量の多さが、組織運営における自己組織化への変化を抑制することもあげられます。

(今後の方向性)
以上に挙げたように、望ましい要素もチャレンジの要素もある意味裏表の関係であり、自己組織化というシステムチェンジへのチャレンジは継続的で根気のいるプロセスであることは変わりありません。

ただし、いずれの組織もトップの意識レベルが「ティール」へ移行しつつあるといえます。
それは、「世界の全体システムの中で自組織の存在理由を聴きとり、その時々に最善の方向に舵取り、それぞれのメンバーや組織全体の成長に最適な環境を整える「庭師」化」する組織運営。リーダーシップスタイルと言えます。組織内の自己組織化リーダーも自身のトップリーダーへのポテンシャルの自覚、成長を進めており、メンバーもおおむね、今もてる力を最高に発揮し、仕事の経験・スキルの獲得を進めています。その中で人生のパーパスの明確化も進んでおり、人間関係の維持、自己の内面や強みやリーダーシップの自覚・成長、自身のパーパスの実現など内面的スキルの獲得を進めて、自己組織化への旅路を進んでいるといえるでしょう。

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